「智恵子抄」

「童貞」ぢゃない「道程」の高村光太郎の詩集「智恵子抄」。

愛妻、智恵子の様子や、彼女に対して募る想いなどを書き綴った詩。

画家であった妻の高村智恵子は、多分、今でいうメンヘラ。

元々病弱な身体で自殺を図ったこともあり、統合失調症(精神分裂症)を発症して、早くに肺結核で死んだ。

光太郎は、そんな智恵子を“人類の泉”と讃えるくらいに、強烈に全生涯を貫いて愛したようで、結婚以前から死後まで、30年間の長きに渡って書かれた愛の詩が満載だ。

言葉を駆使して、これだけ智恵子夫人への愛を謳うと、読んでるこっちまで、好きな人への強烈な想いが湧いてきて胸が苦しくなる。

さらに、智恵子夫人が統失だったとなると過去のことが…。

「智恵子が死んだら僕はとても生きてゆけない。どうすればいいの?」→「あなたはまだいる其処にいる。あなたは万物となって私に満ちる」→「智恵子の裸形をわたくしは恋ふ」→「わたくしはやがて天然の素中に帰ろう」…。

言葉が好きになってくると、詩の意味や良さがわかってくるんじゃないか。俺もようやく少しわかる様になってきたと思う。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。