【古典邦画】「俺もお前も」

成瀬巳喜男監督の、1946(昭和21)年の作品「俺もお前も」。YouTubeにて。

昭和初期の“しゃべくり漫才“師、横山エンタツ・花菱アチャコが主演のサラリーマンの特性を皮肉たっぷりに描いたユーモア喜劇。

エンタツ・アチャコは、商事会社に勤める会社員だけど、2人のフツーの会話が常に掛け合い漫才だ。今とは価値観等も違うので笑えないことが多いけど、当時は映画館は爆笑だったのだろう。

そんな2人はしょっちゅう社長が主催する宴会に呼ばれる。
2人は社長のお気に入りであると思い込んでたが、ただ2人の口調が漫才みたいに面白くて場が盛り上がり重宝するというだけに過ぎなかった。
つまり社長は2人を利用していただけなのだ。
そんな2人だが、妻も子もあって、立派な夫であり父親である。
社長に命じられて、社長宅の庭掃除をし、ついには闇物質の運搬もやることになって、社長令嬢の誕生日パーティでは家族まで犠牲に。
子供達に下僕のように使われる姿を見られた2人は、やっと社長の真意を知って憤慨する…という物語。

エンタツ・アチャコの怒りに、同僚たちも同意する形となって、団結した労働組合と会社側の闘争のようになってくる。

当時、人気者だったエンタツ・アチャコを起用して、成瀬監督の特徴の一つである当時の世相を風刺したものだね。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。