【映画】「トラ・トラ・トラ!」

終戦記念日ということで、「トラ・トラ・トラ!(Tora! Tora! Tora!)」(1970・米)を観た。

タイトルは「ワレ奇襲ニ成功セリ 」という暗号。

1941年12月8日の真珠湾奇襲の開戦の話だけど。

リチャード・フライシャー、舛田利雄、深作欣二の日米共同監督なんだね。

途中、intermissionが入る長い映画だったけど、ダレることもなく緊張感が持続してて退屈はしなかった。

大日本帝国海軍による真珠湾奇襲が行われるまで、アメリカ側と日本側の出来事を交互に描いてて、だんだんと盛り上げていき、奇襲で一気に緊張感や高揚感がMAXになって放たれるという手法が大成功してると思う。そりゃあ、最新CGの「ミッドウェイ」の方がリアルだけど、画面から目が離せなくなったよ。

意外とアメリカ側が、日本の攻撃を予測してても、週末だからと休んで呑気に女性とダンスに興じていたり、最新レーダーを設置しても、何かの間違いだろうとか、確認が先と取り合わなかったり、今でいう危機管理の無さを強調されている。

さらに米政府上層部の縦割り指揮、隠蔽体質のために、日本に対する有効な対抗手段が取れなかったように描いてるけど、よくアメリカ側がこのシナリオで撮影を許したなぁ、と思う。

反して日本側は、精神主義とはいえ、末端の兵士に至るまで闘いに望む緊張感や矜持といったものを持続させている。

空母から飛び立った零戦の編隊が真珠湾に到達して、ビックリして茫然と立ってるだけの米兵の上を流して、戦艦に爆弾を投下する場面は一番のクライマックスだけど、観てる俺も興奮して血湧き肉躍るってヤツだったね。破壊の高揚感、カタルシスを感じた。映画のテンションは最高潮だ。単純に零戦ってカッコええなぁと思ってしまう。機動性抜群の零戦は、今でいうなら軽自動車だろうか。

しかし、当時はCGなんてないだろうし、デカい戦艦やたくさんの戦闘機など、どうやって撮ったのだろう?モノホンか?ミニチュアか?巨大なセットなのか?

中でも、山本五十六大将の物悲しさだけは際立っている。
「そりゃ、やれと言われれば一年や一年半は存分に暴れてご覧にいれる。しかし、二年、三年となっては全く保証はできません」と述べて、奇襲で勝利を収めた後でも「眠れる巨人を起こして、奮い立たせてしまった…」と厳しい表情をしてる。

アメリカ上層部は奇襲の前に「日本との戦争を避け得ないならば、日本からの第一撃を望む」と現場に電報を打ってる。

この映画、当初、監督は黒澤明で継続する予定だった。しかし、素行不良等で黒澤は降板させられたという。

ちなみに三島由紀夫はこの映画を絶賛している。

真珠湾奇襲は大戦で日本が勝利を収めた、ほぼ唯一の戦いだからなぁ。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。