【映画】「こわれゆく女」

個性派俳優のピーター・フォークとジーナ・ローランズが演じる夫婦愛を描いた「こわれゆく女(A Woman Under the Influence)」(1974・米、ジョン・カサヴェテス監督)。

ジーナは「刑事コロンボ」にも犯人役(往年の大女優という設定)で出てたし、夫である監督も犯人役で出てたなぁ。

ピーターとジーナの、70年代のアメリカのドラマ映画を象徴するような、もうプンプン臭う、メッチャ濃ゆい演技を見てると、嬉しくて堪らなくなってくるね。

妻メイベルとの約束もすっぽかしてしまうくらいに忙しい中年肉体労働者のニック。
もともとメンヘラっぽいメイベルは独りで3人の子供を抱えて、だんだんと心のバランスを崩していく。
ある日、自制が効かなくて爆発してしまった彼女は、ついに入院することに。
半年後、メイベルの退院に当たって、親族や多くの友人を招き、彼女を迎えようとしたニックだったが、メイベルが皆の手前、必死に自分を抑制しようとしているのに気付いて、皆に帰ってもらい、身内だけで過ごそうとする。
ヒステリー状態になったメイベルも、ニックも遠慮することなく思いをぶつけ合う。ついに夫婦2人きりになったメイベルの顔には穏やかな笑顔が戻ってくる…。

やっぱり、ピーターとジーナ2人の熱演が光る。ピーターの予想できない突然の動き、片目義眼の表情、コロンボを想定してしまうしつこい繰り返し…仕事仲間を交えての食事の風景なんて、ジーナの自制が効かなくなった振る舞いに激昂しつつも、しっかりと彼女を支えてる。不器用過ぎるだけど、思ったことはとりあえずやってみる行動力…。

ワザと大袈裟に演技してるのか?と思わせるくらいで、汗と体臭と薄汚れた格好がこんなによく似合うとは。

ジーナ演じるメイベルは多分、夫ニックと3人の子供たちへの愛情が過ぎるために心を病んだのだろう。強迫神経症か軽い統失か。

下町のありふれた家庭の中で、飾らない純な愛情のぶつけ合いを描いた力作だと思う。

経験から、ハッキリ言って心の病に完治はない。比較的、落ち着いたら日常に戻すのだが、必要なのは周りの理解と支え、そして、何よりも愛情である。ニックはこれからもメンヘラ・メイベルと向き合っていくしかないが、彼も隠すことなく愛情をぶつけていく姿勢で今のところ、メイベルも落ち着くだろうと思われる。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。