【邦画】「醜聞(スキャンダル)」

黒澤明監督の、1950年公開の「醜聞(スキャンダル)」。

主演は、お馴染み三船敏郎だが、他のクロサワ作品のように大声で怒鳴ってない(笑)。けっこう落ち着いて話してる。

現代に通じることもあると思うが、スキャンダルを捏造する無責任な雑誌マスコミと、人気歌手の女性との仲を書き立てられた画家(三船敏郎)の闘いだ。

画家と歌手は、たまたま同じ宿にいたところを写真に撮られて、ありもしないラブロマンス記事として雑誌に掲載される。雑誌は人気者の恋愛スキャンダルということで話題になって売り上げを伸ばす。

画家は、雑誌社に単身乗り込んで怒りに任せて編集長を殴ってしまうが、またそれが話題となって雑誌が売れる。画家は、雑誌社に対して訴訟を起こすことにするが…。

また、自分から画家のところへ売り込みに来た弁護士(志村喬)は、結核に冒された娘がいて、貧乏であって、雑誌社の男に買収されてしまう。

この弁護士は、酔うと「俺はウジ虫だ。情けない」と泣くが、結局、何回も金で雑誌社の男になびく。

始めは良いが、観てて途中からイライラしてくる。この冗長な展開が、良くも悪しくもクロサワさんだ。

最後に、良心に駆られた弁護士がワイロで貰った小切手を出して、雑誌社の敗訴となるが、良心に駆られたのも結核を患う娘の死があったからだ。

つまらない凡作だね。三島由紀夫が言った「黒澤明はテクニシャンだけど中学生並みの思想」というのは頷ける。作品に深みを出そうと手を尽くすが、それが全然実ってなくて、逆に素人のような陳腐さが現れている。当時のマスコミに憤懣やる方ない怒りを持つのはわかるが、基本、その出し方が下手っぴなのよ。「俺がクロサワだ!」で押し通しちゃったのかしら。

当時の、カミナリ族のようなオートバイを駆る三船敏郎はクールでカッコいいけどさ。

脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。