【映画】「バッファロー‘66」

ガキンチョの男の恋物語「バッファロー'66(Buffalo '66)」を観た。

主演のヴィンセント・ギャロが監督・原案・脚本・音楽を手掛ける。

一見、アナーキーな若者の、暴力に満ちた自暴自棄なライフスタイルの映画を想像するが、強がってて癇癪持ちで横暴だけど、実際には弱くて、多分純な童貞のガキンチョ野郎の淡い恋の物語だった。

経験は多くても、常に童貞気質でいる俺には、ヴィンセント・ギャロに肩入れしてしまい、一応ハッピーエンドで終わるこの映画はとっても素晴らしいものだった。

ヒロインのクリスティーナ・リッチが、ちょっとぽっちゃり系のとてもキュートなボインちゃん(古っ 笑)で、めっちゃ俺好みだし。

賭けに負けて、他人の罪を被って刑務所に入ったビリー・ブラウン(ヴィンセント・ギャロ)は、5年の刑期を終えて外に出てくる。
とりあえず実家に帰ろうと電話をするが、親には刑務所にいたことは話してなく、「政府の仕事で出張してた。実は結婚して妻がいるから連れて行く」と嘘をついてしまう。
ガールフレンドもいないビリーは、トイレを借りに入ったビルのダンス教室でレッスン中だったレイラ(クリスティーナ・リッチ)を無理矢理拉致して、自分の妻のフリをして一緒に実家に行くように脅迫する…。

実家でレイラはビリーの言う通りに上手く妻を演じたが、ビリーの両親は、息子のことを気にかけておらずに、レイラはビリーが幼い頃から両親からの愛情を受けてなかったことがわかる。
彼女は、徐々にそうしたビリーに愛情を抱くようになる。
ビリーは気難しく、何かとすぐにレイラを攻撃するが、逃げ出さずに側にいるレイラに頑なな心をほぐされていく。

実家で4人の食事の場面で、真ん中に別画面が現れて幼少期の思い出が写される演出は面白い。基本、グレーを基調にした揺れる古いカメラ撮りやスロー描写など、オシャレでアートな作風となってるけど、暴力も血もエロスもない童貞くんの恋というギャップもまた面白い。

リズム良く話は展開していくが、突然のビリーの癇癪やボウリング場での独り善がりの自慢、ファミレスで初恋の女の子に出会うところ、レイラとモーテルに入るものの、頑なにレイラを拒むシーン(ベッドに横たわるビリーがめっちゃ緊張した格好で笑う)で、ビリーが女性経験無しの童貞であろうことがわかる。

カッコつけて強がってるけど、隠れて「生きていけない」と泣いてるところは情けないというよりカワイイ。

そんなビリーをレイラは母性本能をくすぐられるのか、優しく受け入れるのだ。

オトナの男の魅力は多分、深い許容力とそこから生まれる抱擁力を持ってることだと思うが、ビリーにはそれがなくて、居丈高にレイラに振る舞うものの、好みややることが全てコドモで、コドモが駄々をこねてるみたいだ。

最後の、レイラを受け入れたビリーのはしゃぎっぷりが可笑し過ぎる。

抱き合って寝てても、レイラがビリーの頭を抱える形で、ビリーが「ママァ」と甘えてるみたいだ。

反発する人もいっぱいいると思うが、俺はものすごく共感してしまうから、やっぱりコドモなんだと思うね。

純な童貞くんの言うことを聞いて、尽くしたり、なだめたり、おだてたり、時に反発したり…レイラの深い母性に敬服だ。

レイラの乗ってるクルマはAE86?

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。