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「クー・クラックス・クラン」〜白人至上主義結社KKKの正体 浜本隆三著

今も、全米で約5000人の正式メンバーがいるK.K.K.。南北戦争後の南部では会員数は数百万人にも達したという。

世界が注目するバカ、反知性主義のトランプのおかげで、また白人至上主義が盛り返してきたが、このK.K.K.にしろ、フリーメーソンにしろ、なぜアメリカでは秘密結社が完全になくなることはなく一定の力を持つのか?

やはり個人の権利と自由を重んじるお国柄で、国に対して様々な保障を求めるよりも、地域や同業者、仲間で相互に助け合うという文化が昔からあったからだという。

それが結束を高めるために、同じ目的のために秘密結社化したのだ。

もともと移民の新国家であるため、フロンティア・スピリットにより先住民を征服してきたという暴力的な側面を持つのだ。

クラシック映画「國民の創生」にも出てくるK.K.K.は、南北戦争のジョン・ネイサン将軍が作ったのだと思ってたが、もっと先で、テネシー州で1866年春に6人の南軍の従軍兵士だった20代の若者が作ったという。

戦争で活気を失った町で皆を励まそうと結社を組織し、6人は頭巾を被って仮装、馬に乗って、パレードみたいなショーをやったのが始まりだという。

この仮装が、次第に夜に黒人を驚かせる遊びに変わり、やがて黒人を脅迫・リンチ・虐殺する組織へと発展していったのだ。

しかし、他にも諸説あって、秘密結社だからちゃんとした伝聞の文書が残ってるわけもなく、後に文書化された本に載ってるということだ。

単なる悪ふざけの集団だったクランは、黒人が解放されて力を持つと、白人が脅かされると勝手に危機感を持って、襲うようになったのだ。

女性だけのウーマンズ・クランや子供達のクラン・ジュニアも結成された。

そして、南軍のヒーロー、ジョン・ネイサン将軍がリーダーに招待されて担ぎ出されたらしい。

町の広場で黒人を吊るし上げて、斧で手脚を切って、最後は火炙りにして、それを皆でピクニックのお祭り気分で喜んで見てるなんて残酷すぎて凄まじい。

そんな歴史のK.K.K.だが、トップの汚職や暴行事件などを機に段々と縮小化していった。

俺は80年代のデヴィッド・デュークのK.K.K.の動向は何かで読んだことがある。確か彼はゲイで、アメリカ・ナチ党のリーダーもゲイだったと思うが。K.K.K.のネットサイトでグッズを注文したことがあるが返信がなかった。

関係ないけど、19世紀初頭の米国産業委員会の報告では、日本人は「ずるくて信頼できず不正直」とされ、中国人よりも「望ましくない人々」だったという。

人はどこにいても、外からの違ったもの、新しいものに対して躊躇する態度を持つ。次に脅かされると不安になり、敵とみなして攻撃する。そして、それを正当化するために儀式を取り入れて文化・結社化させる…。いつでも、どこでも排外主義は決してなくならないと思う。

とにかく俺好みの面白い新書だった。

脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。