【邦画】「八甲田山」

1977年の日本映画「八甲田山」(森谷司郎監督)。

原作は新田次郎の実話をもとにした小説。

ガキの頃、雪の降る日には、傘もささずに降る雪を受けながら、“前へススメェ!”なんてやってたなぁ。空を仰いで“天は我々を見放したぁ!”なんてね。でも、映画はちゃんと観たことなかったんだよねー。

何のために雪中行軍をやったのだろう?と思ってたら、日露戦争を前にした訓練だったと知って唖然。

ロシア軍に比べて、帝国陸軍は寒地装備や兵士への対策・教育が不足していたことを痛感、わざわざ真冬の八甲田を踏破することで、寒さや雪への対応を知るためだったと。

どんなに寒くて、吹雪であろうとも、帝国陸軍精神で乗り切れると思ってたのだ。

陸軍特有の悪しき精神主義、ここに極まれりだ。

コレで帝国陸軍・青森第5連隊他が200㌔以上のコース中、210名のうち199名が死んだのだから。

で、最後、上官が「このことは絶対に口外すべからず」だって。陸軍の汚点だから隠したいのだ。

高倉健をはじめ、昭和の名優が揃ってて、ハンパないリアルな演技は素晴らしいと思うけど、前も見えないくらい吹雪きまくって、膝まで真っ白な雪で埋まってる中を、比較的簡単な装備で、必死になって一歩一歩進んで行くシーンなんて、多分、めっちゃ過酷なロケだったんじゃないだろうか。

皆で固まって夜明けを待つ中、一人一人、バタッ、バタッと倒れていく。前に進む形で立ったまま死んでる者もいる。オカシくなって褌一丁になって倒れた者もいる。俺も寒いのは大嫌いになっちゃったけど、実際には想像を絶する極限状態だったのだろうと思う。生き残っても凍傷など酷かっただろうに。

映画の方は、極限状態の中での組織と人間の様子を描いたのだろうと思うけど、やっぱりマゾヒズムに近いヒロイズムが見え隠れしてて、そんなに感動の名作でもなかった。

途中、道案内をした村民の女の子(秋吉久美子)が、めっちゃカワユクて、行軍の兵士よりもさっさと先を行く逞しさもあって輝かしいね。

「天は我々を見放したぁ!」じゃなくて、“我々が天を無視したぁ!“だろうに。

実際には、陸軍の雪中行軍が行われたのは明治35年の1月の末くらい。だから今にピッタリの映画だ(笑)。八甲田山には、いろいろと碑があって資料館もあるらしいから行ってみたいなぁ。

画像1

画像2

画像3

画像4

画像5

画像6

画像7

画像8

画像9

画像10

画像11


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。