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「回転」

イギリスの古典的モノクロ・ホラー・ムービー、「回転(The Innocents)」(61年、ジャック・クレイトン監督)を観た。

田舎の古屋敷に家庭教師として雇われたミス・ギデンズがやって来る。
屋敷には、親を亡くしたマイルスとフローラの幼い兄妹がメイドに面倒を見られながら暮らしている。
ギデンズは、そのうち屋敷で、いるはずのない男や女の姿を見たりと怪奇現象に襲われる。
そして、前の従者の男が階段から落ちて死に、前任の家庭教師は自殺していたことを知る…。

古屋敷で死んだ人間が慕ってた兄妹に取り憑き、騒動を起こしてるといった有りがちの展開だが、明るい無邪気な兄妹が時折見せる狂気が、ジャン・コクトーの「恐るべき子供たち」か、同じく古典の「悪い種子」のローダを思い出させてゾッとする(そんなに過激じゃないけど)。

子供らしい天真爛漫さの中に、ふと見せる大人をからかうしたり顔の邪悪な表情…ゾゾッ。フローラの絶叫はマジで耳を塞ぎたくなる。

心理学的に分析すると、従者と家庭教師が死んだことを決して認めたがらない兄妹が、それを事実として認識・決別させようとする大人に対して、無意識に他の人格を作って表面化させて攻撃してるのだな。幼い兄妹の心の問題な訳だ。

でも、最後に、マイルスが従者の名前を叫んだら、そのまま倒れこんで死んじゃうなんて展開が急過ぎるというか未完成な感じがする。

兄妹を亡霊から守る家庭教師を演じるのは名女優デボラ・カーだけど、彼女の正面を見ているのだが、どこか遠くを眺めて、気もそぞろの、不安定な表情が上手いな。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。