【古典映画】「群衆」

1941年のアメリカ古典映画「群衆(Meet John Doe)」(フランク・キャプラ監督)。

記者のアンは、新聞社をリストラされることになって、腹いせに架空のウソの記事をでっちあげる。
記事は、不況が続き職を失うのは腐敗した政治のせいで、クリスマス・イブの夜に市庁舎のビルから抗議の飛び降り自殺を行うという内容で、ジョン・ドゥという架空の人物からの投書という形で掲載された。
この投書が新聞に載ると大反響となってしまう。
売上げを伸ばしたい新聞社は、投書した架空の人物ジョン・ドゥを誰かを雇って演じさせることにする。
新聞社は密かに面接を行い、無職の元野球選手ウィロビィを雇ってジョン・ドゥを演じさせることにする。
ジョン・ドゥは、アンが書いた演説の原稿をラジオ出演や講演会などで読み、国中の人気者となる。
さらに、ジョン・ドゥを崇拝する一部の大衆はクラブを作り、新聞社の社主はジョン・ドゥの人気を利用して、大統領選挙に出馬する準備をする…。

小さな嘘が大炎上して、すでに引くに引けなくなって、さらに嘘を政治的に利用する人々も出て来て、嘘を作った本人と演じた人間が疲弊して、本当に飛び降りる一歩手前まで行ってしまうという喜劇のような悲劇な話である。

現代にも通じるところが多々あって、嘘とイメージに左右されて、一大ムーブメントとなって、国をも動かす程になってしまうという、まさに暴走する“群衆”の恐ろしさを描いたものだ。

ジョン・ドゥを支持するクラブの集会で、ジョン・ドゥそのものが偽者で金を目的とした詐欺師だとの話が出回ると、ブーイングの嵐でジョン・ドゥを演じたウィロビィをリンチにして殺しかねない勢いで、石を投げる者も。

狂気の群衆の恐ろしさだ。ネット社会のメディア・プロパガンダを予見してたのかも。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。