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「整備新快速」の時代!姫路と広島を新快速で繋ごう

 私がしばしば「道州制」に好意的なことを言うと驚かれる方もいるかも知れないが、都道府県の枠組みを至上視することに私は疑問を抱いているのである。
 マスコミが好んで取り上げる「県民性」など、明治時代に関東の政府が勝手に引いた境界で住民の性質まで決まるという、あり得にくい想定に基づいている。僅か150年少しの時間で住民の性質が新しく決まる、それも他の地域とは有意な違いを見いだせる程になる、という根拠はどこにもない。
 それよりも千三百年以上の歴史のある五畿八道(その内北海道は明治の設置だが)を基に行政区分を考えた方が、余程有意義であるし、その過程で如何に今の日本が「東京重視」「都会重視」かが見えてくるのである。
 私は兵庫県たつの市出身だが、たつの市は兵庫というよりも、播磨国という令制国に帰属している意識の方が強い。兵庫県の県庁所在地がある神戸市は摂津国であり、播磨国は山陽道なのに対して摂津国は畿内だ。
 これは歴史的な違いに留まらず、今でも選挙だと摂津国の領域では維新の会が強いのに対して、播磨国の領域では自民党が強い。立憲民主党は残念ながらどちらでもあまり強くないが、他の野党で言うと摂津国では社民党が強いのに対して、播磨国では社民党よりも新社会党の方が党員は多い(摂津国でも新社会党は活動しているから、これは播磨国では社民党がそれだけ弱いということかもしれないが)。
 さて、ここから本題に入るのだが、播磨の中心的な都市の一つが姫路市である。姫路市は中核市であるが、姫路市から名古屋市と広島市、どちらが近いか、ご存知であろうか?
 姫路市の場所を知っている方の多くは、ご存知であろう。そう、広島市の方が近い。
 姫路と広島は同じ山陽道であるという歴史的な繋がりがあり、さらに播磨国には今でも広島カープファンが多い。阪神タイガースと広島カープで二大政党制を築いている。
 また、方言も播州弁は名古屋弁はおろか、大阪弁とも大きく異なり、山陽道の方言の系列に入る。つまり、文化的にも山陽道の枠組みは有効である。
 そんな、距離的にも文化的にも圧倒的に近い広島市であるが、姫路駅から広島駅まで在来線で行こうとすると約6時間もかかる。
 それに対して姫路駅から名古屋駅までは在来線でも約4時間で行ける。名古屋の方が遠いのに、時間は約3分の2で行けるのだ。
 片道三時間で行ける場所を「1日交通圏」という。名古屋は姫路から見て在来線では1日交通圏とは言えないが、それでもギリギリ在来線で往復が可能な距離だし、私もしたことがある。
 ところが、より近い広島までは在来線だと半日もかかる。広島まで往復しようと思ったら、新快速を使うか自動車を使うか、の方がお得だ。
 いくら広島カープファンが多くても、これでは広島まで行けない。いや、野球ファンは新幹線代を払ってでも行くらしいが。
 私みたいな野球に興味のない人間も、原爆ドームに行きたいとは思っていたが、恥ずかしながらまだ行けていない。これも新幹線代を払う価値はあるのだから行かなくてはいけないが。
 いずれにせよ、名古屋には年に何度も行けるのに、広島に行こうと思うと大仕事である。
 その理由は簡単で、姫路から米原まで新快速が通っており、米原と名古屋の間も特別快速が通っている。
 ところが、姫路と広島の間は各駅停車の電車しかない。これでは時間がかかっても当たり前である。
 姫路と広島を新快速で結ぶとこの時間は大幅に短縮される。元々文化的に近い山陽道の一体感はさらに深まる。なにしろこちらは関東の政府が無理矢理作った兵庫県とは異なり、千三百年以上の絆がある。
 また、新快速には通勤電車としての側面もある。実際、新快速のお蔭で少々と会から離れた場所でも家が沢山建つ、ということはよくあることだ。新幹線通勤よりも新快速通勤の方が容易である。
 これは山陽道だけの例ではないだろう。今、各地では新幹線の誘致運動が盛んであるが、今ある在来線の有効活用も大切ではないか。
 新快速の整備に国が補助金を出す仕組みでも作ると、新幹線よりも安上がりに効果を出すことが出来ると考えられる。


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