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トークセッション "Synergize - 相乗作用" in ソウル



CIYで取り扱うソウルのバッグブランド BLANKOFのデザイナー Wonはブランドの他にSlow Steady Club(以下 SSC)というショップをソウルに3店舗展開しています

ちょうど10年前、ソウルの景福宮(キョンボックン)というエリアに最初のSSCがオープンします

6年前、初めての渡韓の際に訪れて、それ以降は仕事でもプライベートでも付き合いが生まれ、悩みを相談し合ったり励まし合うような深い仲となった彼のあのショップは自分にとっても思い入れの強いショップでしたが今はもうありません

去年、彼らの最初のショップは半ば追い出されるような形で移転を強いられます

韓国において大家の立場はかなり強く借主の商売がうまくいくと次の契約更新の際に法外な家賃を突きつけ追い出しを図るのだそうです

商売がうまくいった、または有名になったショップの入っていたテナントは次の借主に高い家賃で貸すことができるから

話は変わってコロナ禍の真っ只中、CIYで取り扱うブランド The Internatiiional のデザイナー Sol から BLANKOF の Won に相談したいことがあるから紹介して欲しいと連絡が来てすぐに紹介し彼らはソウルで会ったそうです

去年5月、コロナ明けでようやく渡韓ができるようになり久々に訪れたソウルで再会したSol と乙支路(ウルチロ)エリアのギャラリーの喫煙所で長話をしました

今韓国でもっとも勢いのあるオンラインショップサイト MUSINSA からブランド買収の話を持ちかけられたというのです

でもその内容は決して喜べるものではなく彼にとって屈辱的な条件を突きつけられます

それは Sol 以外のメンバーを切って彼だけが残れというもので、彼には到底無理な話を突きつけられ断るに至ります

そして「じゃあこのエリアで商売できなくなっても知らないよ」と脅しに近い捨て台詞を相手に吐かれたそうです

悩んだ Sol はすがるようにWon に将来の不安を相談をし、また自分と向き合って彼はブランドを大きくすることよりも自分が本当にしたいことを細々でも良いからブレずにやっていく決断をします

Won と Sol の身に起きた話にとてもショックを受けたことが今回、自分がトークイベントを企画したきっかけです

死活問題に繋がり兼ねないネガティブな事象をたくましく信念を曲げず乗り越えていく彼らを近くで見ていたら彼ら自身と彼らの作っているもの、伝えたいことをもっと知って欲しいと居ても立っても居られなくなりました

そんな二人にアートとファッションのボーダーを取り払う難しい挑戦を続けている HALOMINIUM デザイナー Yumi を加え今回SSCのショップを借りてトークセッションを開催しました


トークの内容は今後SSCのYoutubeチャンネルで公開されるであろう動画を見ていただきたいので割愛しますが、個人的に強く感じたことを少し書き留めておきます

ファッションを通じて Won はライフスタイル全般を、Sol は音楽を、Yumi はアートをよりユーザーにとって身近なものにすることに尽力しています

彼らは上に書いたような困難を乗り越えながら己が信じ愛するものをファッションというフィルターを通じて人々に伝え、それぞれの人生がより豊かになる選択肢を与えてくれています

ユーザーがそれらを受け止めれるか否かは作り手とユーザーを繋ぐ自分のような立場がしなければいけない責任重大な仕事であると今回の渡韓で感じ改めて襟を正しました

彼らに限らず自分がCIYとして関わっているブランドの人々も同じように形は違えど様々な苦難を乗り越えながら人々に豊かに生きるための選択肢を与える努力をしていることを自分は知っています

今回のイベント開催を皮切りに来年は日本でも同様の企画を開催できたらと考えています

膨大な量の情報がただただ流れては消えてゆき誰の心にも長くは留まらない昨今はとても危険で、時に立ち止まって思いを言語化して共有し合いながら物事を深く正しく知っていく必要性を強く感じています

でなければ自分たちも含めインディペンデントな存在はこの世から消えて無くなってしまうので






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