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「原稿を書かなかった日」は不安になる


2021年9月3日(金)の日記

終日、在宅にてデスクワーク。
一日中、雨。
「牛の吐息か」と思うほど、もわ~っとぬるなまぐさい湿気がまとう金曜日でした。

仕事もいまいち進まず。
インタビューの文字起こしをしていたら日付が変わってしまいやがりました。
とほほ。

文字起こしを週末にためこむクセがなおりません。
カネはよう貯めんくせに、インタビュー起こしはためてしまいます。

自分で自分に「取材が終わったらすぐに起こせよ」と、それこそ百億の昼と千億の夜くらいの回数は叱っているのですが、いっこうに改心しよりません、こいつ。

*「AI文字起こしを使わない理由」は、またいずれ。

「原稿を書く」まで駒を進められなかった日って不安になります。

不安になる原因は「稿料をいただく状態にまで至っていないから」(つまりこの日は収益がない)。
そして、不安になるもっとも大きな理由は「原稿の書き方、忘れるんじゃないか」というおそれ。

このあいだ江戸時代から続く伝統芸能「曲独楽(きょくごま)」の技芸師さんを取材したんです。


30年以上のキャリアを誇る大ベテラン。
日本で「プロは10人足らずしかいない。関西ではたった一人」という、とても貴重なおかた。

そのおかた曰く「曲独楽を職業にしてから1日も欠かさず稽古をしてきました。けれども昨年からの新型コロナウイルス禍で仕事がなくなり、気持ちがふさいでしまって、3日ほど稽古を休んだんです。すると……独楽が回せなくなったんです。ずっと当たり前にできていた芸ができなくなってしまって」

そのお話を聴いて震えました。
30年以上の芸歴がある人でさえ、わずか3日休止しただけで、その芸ができなくなるなんて。

確かにブランクがあると、書けなくなります。
「あれ、原稿って、どう書くんだったっけ」と。

ライティングするうえで「間違いなく無駄なのに、なぜか存在する」奇妙な時間があります。
それは「書きはじめるまでの、ぐずぐずタイム」。

「ノラない」「キックが効かない」「一行目が降りてこない」とかワケのわからん言い訳をして書きだせない。
これは「いったん火を落としてる」から、そうなるんでしょう。

たとえるなら、たこ焼。
鉄板に火を入れてすぐだと、うまくまん丸にならないです。
鉄に油が馴染んでおらず、捨てるレベルのたこ焼き未満な物体しかできあがらない。

このように、ひとたび仕事の火を落としてしまうと、再び起ち上げるのに時間がかかるんです(『家でたこ焼しないからわかんない』と言われたら、それまでですが)。

なので間隔があかないよう、完成させなくてもいいので毎日、商業原稿は書いておいた方がいい。
noteでこんなことを言うのもアレですが、noteみたいな好きに書けるやつではなく、日々クライアントワークに触れていないと、腕って落ちます。

ベリーベストは「一日一本、商業原稿を書く」。
かくありたいものです。

それ以上はようしません。けれども、それ以下だと不安になる。
「ちょうどよさ」を求めてさまよう、めんどくさいお年頃なんです。

▼吉村智樹▼
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