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祖母

今日は叔母たちと一緒に銀座でお茶をした。一応、「女子会」という名目だ。昼に集合し、予約していたアフタヌーンティーの店に行く。2時間ほどゆっくりしてから、電車を乗り継ぎ、みんなで祖母の家に寄った。

私が祖母に会うのは2ヶ月ぶりぐらいだろうか。95歳だが几帳面で、叔母や私なんかよりも、よっぽどしっかりしいる。毎日手帳に日記をつけているし、薬を飲み忘れることもない。デパートのお菓子の包装紙は、角をぴったりとそろえて折りたたみ、ストックしている。

私がリビングに入ると、祖母は、すかさず私の髪型とアクセサリーを褒めてくれた。今日いちにち一緒にいた叔母たちは、そんなことには全く気づいていないようだった。今日の私の髪と指輪は、たしかにファッションポイントだった。せっかく銀座に行くのだからと、少し気合を入れたのだ。

スマホのカメラを向ければ手鏡で自分の髪型をチェックし、紅を塗る祖母。きっと無意識のうちに、まわりの人のファッションチェックをしているのだろう。不思議なことに、祖母の子どもである叔母たちは、その性質を受け継いでいないようだ。私は彼女たちが、自分の「見た目」にこだわる場面に遭遇したことがない。

祖母の意識の高さは、長生きの秘訣なのかもしれない。自分自身のことも、他人のことも、よく観察している。耳が遠くなったせいで、紙に書かないと話が通じないことが多いのに、祖母の身につけているものを褒めたときはなぜかすぐに会話が成立する。

祖母に褒められたファッションが出来た私にも、長生きの素質があるのかもしれない。身だしなみに気を使う意義を、新たに見出せた気がした。


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