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経理畑じゃない経理担当が振り返って思う「何のためにスタートアップ経理は必要なのか」という話。

InsurTechスタートアップのhokanでバックオフィスSBOをしているともこ(@sbo_tomoko)です。

hokan1期目の最終月から参画し、約4年間経理を担当してきました。
経理を知っていて経理を始めたわけではなく、必要に迫られて、SaaSスタートアップの帳簿をつけてきてみた、というのが実態です。
だからこそ、もしかすると私のこれまでの経理経験がスタートアップ経理の必要最低限なのかもしれないと思いました。

私と同じように、経理畑ではないが経理を担当しているというSBOの方はたくさんいらっしゃると思います。
何のためにするのかどうすればいいのか不安な思いを抱えるSBOの方に、
少しでも参考になればといいなと思います。


1.何のためにスタートアップ経理は必要なのか。

スタートアップの場合は特に、必要に迫られていないため月次で決算を締められていない会社も多いのではないでしょうか。
税理士や外部のプロに任せて月次決算はしているが内容はわからない、というケースも多いかもしれません。
でも、早いうちから月次で決算は締めて欲しいです。

▷いつまで現金がもつのかをリアルタイムで知るために

特に初期のスタートアップは、資金ショートさせないことが重要です。
手元の現預金残高、いついくらの出金を予定していて、売上がなくても何ヶ月間会社を維持できるのかは常にウォッチしておかなければなりません。

資金がショートするであろう時期には、資金調達をしなければなりません。そうでなければ、資金不足による倒産に陥ってしまいます。
資金調達も思い立ってすぐできるわけではありませんので、6ヶ月くらいの準備期間を設定しておく必要があります。

▷資金調達をするために

資金調達には投資や融資等の方法がありますが、いずれにせよどんな会社なのかを数字で提出して評価を受けます。事業計画の確度を証明するために、過去どのような推移で成長してきたかが見れる月次決算資料は重要になります。

スタートアップの場合は1ヶ月違うと変化は大きく現れるため、年次決算の数字だと情報として古くなってしまい、事業計画との差が大きく見えてしまいがちです。

▷使途不明金を無くすために

「基本は会社カードでの決済で、レシートは全部取ってあるし、現金での利用もない。だから問題ない。」
これはよく聞くセリフですが、こう言ったケースでも、
-うっかり私用のものをカード決済してしまっていたり
-レシートが全部取れていなかったり
-管理できていない決済があったり
ということは頻繁に起こります。

月次で決算を締めてみないと、意外と把握している金額と、銀行から出入りした金額はピッタリ一致しないもの。
月次で締めずに年次決算まで放置してしまうと、過去を探しに行くのは本当に大変なので、無駄な工数がたくさんかかってしまうでしょう。

また月次単位で少量の取引から決済内容を確認していくことになるので、根拠のない支出というのも見つけられます。そうすると、今度は契約管理をせねばとなる。月次決算を基準に管理体制は強化されていきます。

▷IPOのために

スタートアップであれば少なからず上場は視野にあるはず。上場審査準備段階で、5営業日での月次決算を目標にしても、そう簡単にはいきません。

月次決算には、売上の数字も勤怠を反映した給与の数字も必要です。取引も従業員も増えていく一方な中、月次決算はもはや経理の努力だけではどうにもならないのです。

早期の取引が少量なうちから、月次で発生する費用の回収/確認/計上の方法などを管理しておくと、5営業日で締められない原因を見つけることができ早期に対策を練ることができます。3営業日で締めることを目指ことがおすすめです。切実に。


2.経理未経験SBOが抑えておくべき3つのこと

なぜやらないといけないかの次に、どうやってやるのかという話です。
もし経理作業で困っていたら、参考にしてください。

1.資金繰り表を作成する

予実管理までする工数がなければ、まずは簡単でいいので未来の支出を予測する資金繰り表をエクセルやスプシで作りましょう。
月次推移で発生ベースではなくキャッシュの動きを見れるものにします。厳密に管理すると大変すぎるので、実現可能な管理方法にすると良いかと思います。
-現預金残高と銀行への入出金額の付け合わせを行い
-人員計画に合わせて毎月の費用を上げていく
-社保/税金/人材紹介/年払の費用などに関しては細かく出金月に入力する

だいたいこんな感じ!

【事業計画上に推移した上で、売上を加味しなくてもあと○か月キャッシュがもつ】
が、いつでも答えられるようにしておきます。

2.お金に関わる証憑を全回収する

レシート1枚くらい、面倒で諦めかけてしまうことがあるかもしれません。
でも回収担当が一度諦めてしまうと、提出者にとっての重要度はそれ以上に下がります。レシートでなく重要な請求書や契約書すら、甘く見られるようになってしまうかもしれません。
執念で催促し続け集め続けることが、未来を守ると言っても過言ではない。

そうして集め続けていると、何が原因で回収がうまくいかないのか見えてくるようになります。そうしたら、目的に合った効率的な回収方法を検討してみてください。

3.回収した帳票の根拠を確認する

入出金のためには請求書を発行したり受け取ったりします。当然それらの金額に基づいて入出金処理をするのですが、その金額の根拠は誰が確認できていますか??

スタートアップの場合にはワークフローが整っていることが少なく、誰かが見ているだろうと思っていて誰も見ていなかったということは起こりやすいと思います。

お金に関わることは契約書に書いてありますので、契約書を確認しにいきます。契約書がなければ締結しなければなりません。
また、利用していないサービスに、お金を払い続けてしまっているということも起こり得ます。

根拠の契約書があるか、金額に問題がないか、誰が何のために利用をしているのか、今も利用しているのか、予測ではなく一次情報を確認しにいきましょう。

スタートアップでなければ、これらの業務は経理以外の業務でしょう。ですがスタートアップの場合には経理がオーナーシップを持つのも良いかと思います。


最後に

最後までお読みいただきありがとうございました。
今回は、経理の方にとっては、当たり前のつまらない内容になってしまったかもしれません。
それでも、この当たり前の内容がスタートアップにはとても重要だということを伝えたいと思いました。

アーリーフェーズのスタートアップ企業は、バックオフィスニーズが高いにも関わらず、経験/報酬額/業務量/マネジメントコストなど多くの理由が重なり採用の難易度が高い状態にあります。
しかしながら、できるだけ早期に経営者と伴走するSBOを採用し、強いバックオフィス体制の構築を目指すことが成長の鍵になります。

この記事が、「未経験でスタートアップ経理」という企業と候補者の双方が抱えるハードルを少しでも下げ、ノウハウnoteとして役に立ち、SBO人材の増加と活躍につながることを期待しています。


最後の最後に。

hokanは現在経理担当のリーダー候補を募集しています。

これまでバックオフィス業務はまるっと経営管理が担当していましたが、事業/組織が成長している中、6期目を迎える節目に、経営管理を
FA(Finance&Accounting)とGA(General Administration)に分けることになりました。
これから本格的にIPO準備にも着手していきます。FAチームで経理リーダー候補としてhokanに参画いただける方を大募集しています!
 ※私はGAチームです。
少しでもご興味お持ちいただければ、カジュアル面談お願いします!


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