見出し画像

独立後初めての作庭仕事を振り返ってみる、の巻 #0091

独立して最初の大きな仕事は、4年ほど前に友人の飲食店の庭をデザイン/施工をしたことだったのですが、この仕事は割と好きにさせてもらって個人でやることの一つの指針となったのです。

最初の仕事ってやっぱり、良くも悪くも自分の今の仕事のベースになっているよなーと思い、4年前を振り返ってみて、今の自分に活かしてみようではないか、と思う超絶自分本位なことを書きたいと思うわけです。

上山市の名店、厩戸

当初の状況

客席から見るとこんな感じ。左上方面に蔵王が見える(写真には写ってないですが、、)

当初の状況はこんな感じで、「フツーの家の庭」という感じでした。それもそのはずで、長年放置された古民家の庭だった部分。相当なジャングル状態を切り拓いてようやくここまで辿り着いたようです。
最近、庭じまいなどで放置された庭を見ているので、ここまで復帰させるのでも相当な労力だったことが想像できます。

既存木もかなり撤去したようでしたが、残したい木を何本か残す方針に。
その上で、景観を整えるのが依頼のざっくりした内容でした。

この窓からの景色は、お客さんが見る景色になるので、それなりに整える必要がありました。条件としては、北東方面に見える蔵王が隠れないようにすることと、ウッドデッキを作ること。あとは隣家の台所側のため、フェンスを設置することでした。

この条件を踏まえまして、工事がスタートしたわけです。

プランニングと着工

プランとしては大まかにこんな感じの方針にしました。

①シンボル的に季節を楽しめる大きな木を客席側に=太陽を遮りつつ緑を楽しむ。
②蔵王が見える客席左側は、背の低い植栽。
③将来的に外で楽しめるように、中央はウッドデッキと芝生。

まず水はけと日当たりの確認。
元々、お城近くの武家屋敷通りのため、土地自体は高い場所にあり、かつ家自体が少し高く配置されているため、水捌けは良好。ただし、学校の校庭に向かってやや急に勾配があるため、大雨が降るとざっと流れる。
日当たりは全体的には良いが、客席から見て右側は隣家が近く、日が入らない。ユキノシタが群生していて、だいぶ湿気が多いのも見て取れました。

本当は、日当たりの良い客席から見た左に高木を入れたかったのですが、眺望の確保のために断念。そこにはわたくし専門の背の低い草花を入れ、鉄で囲った花壇にする。
日陰にも比較的強い高木を客席右側に入れて遠近感を作り、中央の土場を上げて排水しつつ芝生を入れる、と言う案になりました。

木の仕入れと植栽

まず木の仕入れをどうするか。何しろ地元ではないので、業者を見つけるところから始めなくてはならない。これはいつも新しい土地で仕事が発生するときに、はじめにやらねばならないことの一つです。

たまたま、20kmくらいの距離の場所に、地元でお世話になっている業者さんの本店(兄弟のお兄さんがやっている)があったため、そこへ行ってみると、なかなか良い木が揃っている。ということで、木と土の仕入れが決まった。低木類は、長野で使っていた業者さんから仕入れ、芝は冬でも緑の西洋芝にしようってんで仕入れてきました。
ここまで揃えば、あとは重機のレンタル。
これまたたまたま、近くに安くバックホーを貸してくれる業者さんがいたので、ここで借りる。
ちなみに重機は本体のレンタルより回送費の方が高いのだが、この業者さんは回送費が良心的でたいそう良かった。

高木を落とす場所に穴を掘り、ウッドデッキの基礎部分も掘り上げて準備完了。

重機がある時に、木を運んでもらう

重機があるタイミングで木を運んでもらい、吊って穴に落とす。向きを決めて、固定。固定杭も、地上で支えるのはカッコ悪いので、地中杭で固める。

他の高木も入れて植栽の大掛かりな部分は完了。

人を発見することと「なんとかする」ことに関しては自信があるので、やはりここもなんとかすることができた感じですな。

初めてのウッドデッキ

難しかったのはウッドデッキ。何しろ、簡単な木製のカーポートくらいしか組んだことがなかったので、どうなるか不明だったわけです。

しかし逆に、これは構造物を扱うチャンスやな、というわけで、見よう見まねで基礎石を入れて水平を取る。が、これがまた、昔の基礎石があったり、端には少し高くなった水平がガタガタの犬ばしり(?)みたいなのがあって、高さの調整が異様に難しい。
ブロック石やモルタル、パッキンを駆使してなんとか高さの調整ができて下地を組めたわけです。

下地、めっちゃ大変でしたがな。

近隣の材木屋さんが地産地消に取り組む若手の方で、ここも良かった。
ここは施主の友人が、地元のイケてるリノベーション案件を引き受けている業者を通じて紹介してくれた方だったのだが、見た目ヒップ、喋り方神父さんみたいな人でとても良い感じだった。
この人の扱う材は、かなり良い製材のものを提供してくれたので、反りが少なく、良い品質。後で聞くと、地元の林業や材木関係者の中心的な人らしく、とてもラッキーなつながりであった。

地元の材木店、柏倉材木店さん。素晴らしい材木屋さん。

これをデッキにするため、並べていく。しかもビスを隠すために裏からビス打ちしていくので、えらい大変でしたが、苦労の甲斐あって完成!

ウッドデッキ完成!

ここに関しては、ちょうどコロナ禍で、レストランがお弁当のみにしていたのが幸いでしたね。日中も時間かけて作業できたので、工程をよくよく学ことができましたよ。(全体の写真は、冒頭の写真です)

やっぱり技術習得は、実際にやってみるのが一番良いです。
あとは、業者さん関係は地元の信用できそうな人から繋がっていくと確実、というDIG法もここで活用できたわけです。

改修後とこれから

ここは改良をどんどん重ねていっている上、新しく徒歩1分の場所に販売系の店舗が新しくできました。ここも今後、改良していきたいところです。

高木とフェンスも入れました

やっていく中で実感したのは、ウッドデッキのように「できることを増やす」ことと、「やらないことを決める」という相反することをやっていくことだということでしたね。そして、これは常に全ての現場で考えることです。

できることは、とにかく現場に対応する技術的な対応力を増やしていく感覚。
やらないことは、自分でなくて良いことを見つけていくこと。
何しろ遠方でそんなに作業時間を確保できないので、重機や木の運搬などは人に任せて自分が集中する範囲を絞っていく必要があったのです。
わたくしは、放っておくと自分でやろうとし過ぎてしまうので、この損益分岐点を発見するのがとても大事だと思うております。

実は当初、時間の確保の関係もあり、ウッドデッキは地元の工務店さんに発注しようかと考えていました。しかし、構造系は今後の糧になりそうだったので、自分の作業範囲に含めました。

結果、とても良かったですが、予算と時間との兼ね合いを見て、今後現場では常に考えなくてはならない範囲だと思うし、やるなら単価あげなくちゃね、という範囲だと思います。

ま、そんな感じです。

ではでは!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?