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Kuro『翡翠 (hisui)』制作で役立ったプラグイン5選&改めてSpliceの話

 Kuro『翡翠 (hisui)』EPリリース&リリパお疲れ様でした(Photo by Kana Tarumi)。

 EPではビートの一部&全体のミックス担当しました。詳細クレジットは下記を。

 今回は配信のみリリースなので、リンクなどはこちら。

 で、今回制作で役立ったプラグイン5選です。今年11月末にあるであろうブラック・フライデーの参考になると幸いです。

⓪Ableton Live 10

 こちらはプラグインではないですが、ご存知Ableton Live。ビートメイクからミックスまで、全部Ableton Liveで行いました。ぶっちゃけミックスは(ある程度)どのDAWでも良いと思うんですが、ビートメイクだとAbleton Live、特にSamplerが使いやすいんですよね。

(12分30秒〜のトランジェント機能今知った……)

 M3「Mother」とM4「You used to love me like) Water Feat. GOODMOODGOKU」の軸となるビートは、Spliceの長めのサンプルをSamplerでエディットして作っています。元ネタそのままというのがどうしても苦手で(聞く分にはむしろ好きなんですが)、サンプルのピッチを変えたりチョップしたりしたいんですが、まさにその用途のためのものという感じ。
 またドラムなどのリズム類も基本Spliceのワンショットを元に、Samplerでピッチを良い感じにして使っています。大体ちょっと下げると欲しい音になることが多いです。

①Spaced Out(BABY Audio)

 BABY Audioのリバーブとシークエンス・タップ・ディレイ、モジュレーションの三つの機能を一つにしたFXプラグイン「Spaced Out」です。

 M1「High feat. Campanella」はKuroが一人でトラック制作行った曲で、様々なシンセが重なっているんですよね。Op-1とProphet 6、Proteus 2000は確実に使っているはず。さらにそこにコーラスも10本以上。ミックスとしては飽和しているような圧を出しつつ、飽和させないのが目標でした。そんな時に広がりを出すため、とりあえずセンドでSpaced Out送るなどしました。単純なリバーブよりちゃんと滲んで広がる感じが使いやすかったです。

②Decapitator(Soundtoys)

 サチュレーション・プラグインです。なんだかんだ一番役だったかも?

 パンチが足りないなという時に緩やかに使いました。特にボーカルに使うと程よく前に出してくれる感じが良かったです。
 前は同じくSoundtoysのSie-Q(EQですが、ドライブも搭載)使っていたんですが、生音系だとちょっと硬いところも引っかかりやすい気がして、全体的にこちらに移行。

③EchoBoy(Soundtoys)

 Soundtoysのデジタル・ディレイです。Ableton Liveのディレイも優秀だし、WavesのH-Delayも良かったんですが、曲中に欲しくなる何かしらの「あの音」系のディレイ(Space Echoとか)が沢山入っています。

④R2(Exponential Audio)

 今までリバーブは同じメーカーのPhoenixVerbだったんですが、Kuroが自身の制作でR4を使っているとのことで、今回はその下位のR2を主に使用。

(こちらはR4、大体セールしているので安いタイミングで)

 Kuroは結構ハイファイというか電子音的なニュアンスも多いので、リバーブもよりクリアなものを使用したイメージです。ローファイ的な埋め方よりもリバーブの響きで埋めたい箇所が多かったので、各所に使っています。

⑤TrapDrive(Diginoiz)

 Trap制作用ディストーション・プラグインです。昔無料配布されていた時手に入れたんですが、まさかこんなに使えるとは……!
 良い感じでざらざら歪みます。派手にかけるとトラップというか、もはやガバみたいな音になるんですが、今回は本当に薄く使用。歪みつつも解像度が荒くならない雰囲気なのが良いんですよね。ドラム系で使いました。


 5選でした。見返すとローファイ系をあまり使わなかったんですね。ミックスで結構硬めに着地した音像を、マスタリングでyasu2000さんにアナログっぽいニュアンスを付与してもらって完成です。

その他:Spliceの話

 プラグインに助けられつつ、もう一つ大活躍したのはSpliceでした。Spliceは、ざっくりいうとサブスク型の音楽制作・サンプル販売サービスです。ロイヤリティ・フリーのサンプルが、セットではなく1つごとに購入可能なのが強みです(通常だと「808のワンショット集」みたいなので購入することが多い)。

 今までだと、この動画の音をまるっと全部購入する必要あり、値段もそれなりにしたんですが、Spliceではそれぞれ分けて購入可能、価格もそれゆえに安くなってます。もちろん全部まとめて購入することも可能。サンプルの種類もかなり多く、生音系やヒップホップ、レゲトン、アフロハウスなどはもちろん、アンビエントやモジュラー系エクスペリメンタル、テクノやhyperpopまで様々です。

 今回シェイカーを色々な曲に入れているんですが(M5「Pain」以外入れてるはず)、曲のノリにあったシェイカーのループをSpliceで探して、みたいなことが出来たのが良かったです。意外にシェイカーのノリって千差万別なんですよ。またドラムのワンショット系も用途にあったものを探せば、ミックスの手間が減りますね。

 と言いつつ、M3「Mother」でスティール・パンを演奏したんですが、自分の演奏した音が入ると一気に曲のニュアンスが出るんですよね。シェイカー類も録音した方が実は良かった(少なくとも自分でやった感は出た)可能性はあります。録音環境整える必要あるので、ここらへんは後々の課題。

 今回はM1のみKuro一人で、それ以外は共作という作りだったんですが、他の人の作り方/エディットの仕方がわかるのが面白かったです。今後こういう形のやり方増やしていきたいですね。ミックスも楽しかったので、色々やっていきたい……!

Photo By Kana Tarumi

 ちなみにリリパではドラム&マニュピレーター担当しました。自分でミックスした音源なので、どこで何が鳴っているか、ライブだとどうすればいいか結構なんとでもなるのが良かったですね。クラップはミュートせずに、生音スネアと一緒になっていいんじゃないか派です(フィルのところだけミュートしたりはしますが)。

Kuro『翡翠 (hisui)』はこちらから↑

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