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粉となって(一次創作 詩370)

崩れ落ちた遺跡を
丁寧に見て回る
風化の影響はやはりひどく
さらさら乾いた音を立てて
わたしの眼前で滅び始めている

心地よく思えるから
ずっとここでときを過ごしたい
強くつよく願う
ここでわたしも風化の一途
それをたどれば良いのだろう

残酷なのは何よりも現実で
遺跡はあざ笑うごとく
意識ごとわたしを跳ね飛ばす
行く場所がない
居場所がない

不思議と泣きはしなかった
悦んでいたわけでもない
これが当然の帰着と
あきらめも含めて
立ち上がる


思ったときにはもうすでに
わたしの身体が粉となって
さやさやと泣きながら
微風に吹かれていく

かまうこともない
これで良かった
ひとつになれたわたしの
悦楽に近い昂(たか)ぶりも
もうずっとこれから

さらさらさやさや

(画像はPinterestより)

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