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"どちらか"ではなく、"どっちも"の経営観

本稿は、2023年MIMIGURIアドベントカレンダーの最終日を飾る記事です。

MIMIGURI Advent calendar 2023のテーマ。私は6つのテーマ全てを含んで書きます

MIMIGURI創業から2年10ヶ月が経ち、今年は特に多くの方との出会いにも恵まれて、「経営で大切にしたい価値観」を深める年となりました。この節目に、私が自社の運営で大切にしたいと考えている、"どちらか"ではなく、"どっちも"の経営観についてお話しする機会を頂ければと思います。


経営のパラドックスとは

企業の運営には、コンフリクト(葛藤・対立)やパラドックス(矛盾)が常に付きまといます。短期と長期、垂直と水平、安定と変化、本社と事業部、集権と分散、株主とステークホルダー、利益と社会的責任など、2つの要素のなかで答えの無いアジェンダに向き合い続けることとなります。

パラドックスとは、一見すると正しそうに見える前提から考えを進めた結果、矛盾した結論が導かれる問題のこと

舘野泰一、安斎勇樹(2023)『パラドックス思考』、ダイヤモンド社より引用

パラドックスは絶えずに現れ、それぞれが複雑で答えが容易に見つからない問題です。しかし、焦らずに好奇心をもって問題に取り組み、解決策を練り上げます。このプロセスの中で、仲間と共に難題に立ち向かう喜びを見出すことができます。これが、組織づくりの醍醐味だと私は考えています。

1人では不可能なことを可能にするのが組織。面倒毎も生むのも組織

「人を通じて事を為す」の通り、「組織の力は、単独では成し得ないことを可能にすること」にあります。仲間と協力することで、想像を超える成果を生み出せる楽しさが組織の真髄です。しかしながら。「一人では考えられないような、面倒なことも生じうるのも組織」というのも確かな事実です。

CULTIBASE Lab「厄介なマネジメント課題の突破口 「パラドックス思考」とは何か?」より

個が為したいことと他者との関係のパラドックスこれは、組織における本質的なパラドックスであり、数多くの人々がこの簡潔でありながら、厄介な問題に頭を悩ませることとなるのです。我々は今年、「パラドックス思考」という著作を通じて、このパラドックスという概念を深掘りしてきました。

どちらかではなく、どっちものリーダーシップ

この問題に直面する際、パラドキシカル・リーダーシップ("Both/And" Leadership)という概念が役立ちます。対立や葛藤が起きた際には、つい「A or B」という二者択一の思考に陥ります。しかし、組織は人で構成される以上、2元論で上手くいくことはありません。このアプローチは単純な「あれも、これも」とは異なり、2つの要素が相互作用して付加価値を探る組織づくりを意味しています。

「A and B / C」という、より幅広い視点から解決策を模索することで、組織内で発生する面倒な問題に対しても、"どちらか"ではなく、"どっちも"で解決策を見つけることができます。このアプローチは、多様性ある集団が知恵を出しあい、共に解決策を模索するために必要なプロセスです。

CULTIBASE Lab"組織の「矛盾」を手懐けるリーダーシップの最新知見"より

企業において、こうした「A and B / C」な視点を持ち、共通の事業の問いに対して、個々の衝動/専門性の視点を通じて協力しあう組織づくりをすることは不可欠です。その過程では人間の"めんどくささ"もありながらも、絶えず実践しながら対話をすることで困難な道程を越えられます。我々は、このように泥臭く向き合える組織の土壌を耕すことを、経営変革の併走者として重視しています。

MIMIGURIが提唱するCreativeCultivationModel(CCM)は、企業が直面するこれらの普遍的なパラドックス(矛盾)を理論的に体系化し、解決策を模索するものです。

経営が直面する3つのパラドックス

以下では、現代経営が直面する「3つの主要なパラドックス」について考察します。(※複数のマルチビジネスを展開する、事業多角化段階の企業規模を前提とします)

矛盾1/事業:事業の多角化を進める中で生じるパラドックス

事業の多角化では、短期では既存事業の収益力向上、中期では保有資産を活用した新領域の開拓、そして長期的には非保有ケイパビリティの拡張と新市場開拓を目指す戦略の3つの時間軸が関わります。これに対して、イノベーションのジレンマ(成功体験からの脱却)、両利きの経営(既存事業と新規事業のバランス)、ダイナミックケイパビリティ(外部環境の変化に対応しつつ、多角化を適切に調整)など、異なる時空間を扱うことで生じるパラドックスをどのように乗り越えるかが、多角化経営の重要なアジェンダです。

次々に創造されていく、事業の多角化のパラドックスを越える理論群

さらに、外部環境の急激な変化と新興企業による破壊的技術の出現により、緻密に策定された戦略も予測通りに進むことは難しいという現実があります。しかも、クレイトン・クリステンセンによると、「多くの破壊的技術は初めは既存企業で開発されるが、見過ごされることが多い。その結果、これらの技術を持つ人材が市場に流出し、新興企業に敗北する」としています。

このパラドックスの根底には、「バリューネットワーク」の再構築の難しさがあります。新しい技術を基に、既存の成功法則に慣れ親しんだ投資家や関係者との関係性を変化させる必要があります。人間が集まると必ず生じる複雑さが、パラドックスをさらに難解にしているのです。

CULTIBASE School 組織デザイン講座より

ピーター・ドラッカーの定義によれば、イノベーションは「かつて無価値とされたものに価値を見出し、それを資源として活用するための試行錯誤」にあるとされます。事業多角化においては、これまでの多様な挑戦と経験を基に、予期せぬ未発見の価値を社内で見つけ出し、企業の戦略という絵図を変更し、継続的に再構築することが求められます。

このプロセスでは、通常の時間軸に加え、「過去」という第四の軸に焦点を当てた"対話"を皆ですることが、事業多角化の適切な調整とパラドックス克服の鍵となるのです。

人が利用の方法を見つけ経済的な価値を与えない限り、何ものも資源とはなりえない。植物は雑草にすぎず鉱物は岩にすぎない。地表にしみ出る原油やアルミの原料であるボーキサイトが資源となったのは一世紀少々前のことである。それまでは単に地力を損なう厄介物にすぎなかった。

P.F.ドラッカー(1985)『イノベーションと企業家精神』ダイヤモンド社より引用

矛盾2/組織:自由至上主義と共同体主義のパラドックス

社会哲学や政治哲学の分野では、自由至上主義と共同体主義という対立する考え方があります。自由至上主義は個人の自由と権利を重視するのに対し、共同体主義は社会的絆や共同体の哲学を優先します。かつては共同体的価値観が優勢で、地域や家族、企業の絆が重要視されていました。しかし、ともすれば村社会的な閉塞感に蝕まれる煩わしさから、この数十年間は個人の自己実現や経済的自律を求める自由至上主義が隆盛を極めました。

かつて日本の社会システムには、中二階の原理とされる共同体的感覚が強く存在していた

しかし現代では、先進国で孤独が深刻な社会問題として浮上しています。地域共同体や人間関係の空洞化が孤独感を増大させ、孤独死の増加につながっています。企業も利益至上主義のもと拡大し、個人が記号化される傾向がす強まり、人間関係の減少と組織内の分断が進み、燃え尽き症候群の増加や、大退職時代へと繋がっています。

先進国で大退職時代の危機と提唱されている

この状況において、組織における共同体の価値が再評価されています。Belonging概念、つまり個人視点では「自律した自己のアイデンティティを保持しながらも、共同体の一員としての居場所を感じること」が、重要視されています。

また、企業視点では、「自律した個が集い、共同の経済目標を追求する組織」と、「共感と絆を重視し、共有の居場所を築く組織」の整合をどう取るかであり、このパラドックスをどのように克服するかが、現代の組織づくりにおける大きな挑戦なのです。

「機能性と精神性」を「個人と経営の両視点」て両立する組織づくりが肝要

矛盾3/人材:勝利する軍隊と主観的冒険のパラドックス

企業経営では、当然ながら企業価値の向上と利益を追求することは基本であり大前提です。この半世紀、複雑な多角化経営に対処するため、軍事論が経営戦略に応用され、その中で「戦略」という軍事的なメタファーに基づき、「勝利する軍隊」としての役割を企業が担ってきました。

その責任は重たく、マックス・ウェーバーの「心情倫理と責任倫理」にもあるように、リーダーは自らの主観を重んじつつも、その行動の結果の責任。例えば「選択の機」を逸することで、他国に領土を奪われ滅ぼされるリスクを含めた「結果責任」を蔑ろにすべきではない、という指摘もあります。

軍事戦略を土台として、経営コンサルティングの方法論は創られた

しかし、経営における膨大な圧力の中で、勝利を追求する行為が目的化し「なぜ経営をするのか」という基本的な主観が時に失われてしまうことがあります。近年、経済合理性の追求が過剰になると、経営者を含む企業に集う多くの人々の「野心的な衝動」が弱まるリスクが指摘されています。この問題は、しばしばケインズの「野生(アニマルスピリット)」を引用して、その重要性が再評価されています。

ベンチャー企業の起源は、「Adventure(冒険)」という言葉にあるように、創業の動機は「より善い社会や企業とは?」という主観的な問いに根ざしています。これは、それぞれの組織や個人が持つ独自で多様な「主観的冒険心」を映し出しています。私たちは、このような「経済合理性」と「主観的冒険心」のパラドックスを踏まえて、「冒険的世界観」を組織内で解放しながら「どっちも」の選択を、現在の研究成果として提唱しています。

経済合理性と主観的冒険精神を両立させるための、企業OSのリデザインが求められている

また現代では、経営層をはじめとする全ての人々が、「経済合理性」と「主観的冒険心」という二つのパラドックスと向き合いながら、世界を生き抜く力を育むことが求められています。例えばそれは以下のようなものです。

①経済合理性の視点:"ポータブルスキル(転移可能な力)"の獲得
複数企業を通じたキャリアが一般化し、"転移可能な力(ex.思考力/対話力)"の獲得と練り上げが重要です(参考:「対話」とは何か?改めて定義を探る)

②主観的冒険心の視点:複数の共同体参加を通じ、"主観を磨く力"の獲得
主観を育み、他者の価値観も尊重する力。共同体参加と対話による学習と変容で育みます(参考:働く大人の「アイデンティティ」の悩みと処方箋)

③パラドックスを越える視点:省察的実践を通じ、"探究をする力"の獲得
行動と省察を通じて"仮説"更新し、2つの視点を行き来して試行錯誤をする力(参考:探究の戦略:ビジネスパーソンのキャリアを拡げる新しい学び方)

また、企業は"選ぶ側"から、個の学習を豊かとする"選ばれる企業"となる必要があります。その為には、実践の機会、共同学習の場、社会状況踏まえたキャリア安全性の構築、更に共にコトを成し遂げるやりがい等、複合的な職場づくりが求められることでしょう。(参考:人材版伊藤レポート2.0)


まとめ:企業のパラドックスを可視化した整合性モデル

ここまで、人が集まる組織に生じるパラドックスと、それをどのように克服するかについて考察してきました。そのような中で、MIMIGURIが今年発表したCreativeCultivationModel(CCM):整合性モデルは、「経営が直面する3つのパラドックス」をどう克服するかに焦点を当てた理論です。まさに「パラドキシカル・リーダーシップ(“Both/And” Leadership)」を発揮する事を前提にしており、経営変革をどう進め、「どちらかではなく、どっちも」の方策を議論するためのものです。

1980年代に提案された、ナドラー&タッシュマンの整合性モデルを土台に
現代企業のパラドックスを踏まえながら、考案された理論

その議論の過程では、短期的に何かを選択するとしても、長期的には両立させる選択もあるでしょう。経営変革の構想は、過去、現在、未来の時空間を考慮し、議論されるべきです。抽象的な視点と具体的な実践の間を往復しながら、多様なリーダーの視点を統合する「対話で洞察する場」を設け、両立可能な問いを探究することが重要です。

経営リーダー同士が、対話で相乗効果が生まれる関係性が築けているか

考えてみれば"人間"が集う国家は、軍事だけでなく文化、芸術、環境、福祉、教育、経済、外務など多様な要素が絡み合い形成されています。企業経営も、このような複雑な人間社会と変わらず小さな国家に喩えることができるでしょう。故に当然ながら「どっちか」を容易に選ぶ事はできず、相反する要素を両立させる知恵と絶え間ない対話を志すこととなるでしょう。そこにはとてつもない「創造力」が必要になるはずです。

私は〝経営〟というものはきわめて価値の高いものだと考えている。それは一つの芸術といってもいいほどのものである。経営を芸術などというと、あるいは奇異な感じをもたれるかもしれない。ふつう一般に芸術といえば、絵画、彫刻、音楽、文学、演劇などといったものを指し、いわば精神的で高尚なものと考えられている。それに対して、事業経営は物的ないわば俗事という見方がされている。しかし、芸術というものを一つの創造活動であると考えるならば、経営はまさしく創造活動そのものである。

松下 幸之助(1978)『実践経営哲学』PHP研究所より引用

組織づくりやマネジメントは時に「つまらない」と見なされがちですが、実際には非常に創造的で芸術的な側面を持っています。人間社会という変化が激しく、複雑でパラドックスに満ちたムリゲーの中では、"どちらか"ではなく、"どっちも"を選ぶための問いのデザインには、優れた創造性が必要不可欠だからです──とはいえ、あんまり難しく捉えすぎても「うわ〜」と波に呑まれてしまいますので、心の中でハリセンでツッコミを入れるくらいの方が、創造性は発揮されることでしょう、笑

とはいえ…

「パラドックス(矛盾)を遊ぶことは、創造的で面白い!」そのような思いを込めて、CreativeCultivationModel(CCM)には「CreativeCultivation(創造性を耕す)」という名前が付けられています。その中で、経営や組織づくりが持つその魅力と可能性を示していきたいと考えています。


CASE.MIMIGURI:矛盾を越える仮説的方策

これまで現代のパラドックスに対する私の見解を述べてきましたが、ここからはMIMIGURIの経営におけるパラドックスを越える仮説を紹介します。ここまでで既に長文ですが、あと半分(!)お付き合いください。

私が大切にしている信念は「物的資本には限界があるが、人間の可能性は無限大である」というものです。この価値観は、経営における私の判断や実践の指針となっています。

私たちは現在、「個の時代」と呼ばれる新しい時代に突入しています。この時代の特徴は、個々人の才能が企業や市場に重大な影響を与えることが可能になっている点です。技術進歩のおかげで、起業家や技術者、そして創造性を用いてパラドックスを超越するリーダーたちがイノベーションを牽引しています。

この変化に対応するため、企業は個々の才能を重視し、それを見いだす戦略を採る必要があります。このことから、現代経営においては「組織は個に従う」の視点も必要とされていると私は捉えています。

経営の変数の3つそれぞれの矛盾と、階層同士の矛盾。矛盾だらけ!

同時に、経済学者シューマッハーは、著書「スモール・イズ・ビューティフル」で、「無数の小規模な自治組織」と「大規模な組織全体の整合性」という、「自由と秩序」の矛盾を調和させる必要があると述べています。

また、変化の激しい現代社会と個々の価値観の変容を考慮して、「変化・変容をする組織」であることの重要性も見逃せません。こうした、個、組織、事業に起こりうる矛盾を含め、これらの異なる階層間の矛盾をも包みこむ組織づくりが重要だと私は考えています。


方策1/事業:問いを起点とした「分散と修繕」戦略

さて、ここから具体的にMIMIGURIの矛盾の乗り換え方を述べていきます。
1つ目の矛盾は「事業の多角化を進める中で生じるパラドックス」でした。過去・短期・中期・長期、4つの時空間をどのように調和させて、多角化の持続的変革をどのように実現するかというものです。

このプロセスでは、「コア・コンピタンス」や「コア・ケイパビリティ」を基軸に据え、複数の時間軸にわたる探索が重要な戦略となります。こうした中で、我々の「コアの能力」はコンサルティング・ファームとしての独自性です。

両利きの経営においては、センターピンとなるコアケイパビリティを利き腕にしながら
もう片腕でサブケイパビリティを探索して繋ぎ合わせる

具体を紐解けば、我々のコンサルティングファームとしての強みは、「中長期の戦略策定を通じた、経営や組織変革と、それに含まれる複合的かつ、個とチームに併走するプロジェクト遂行」にあります。ある種の企業に対する個別対応可能なワンストップ性が我々の個性と言えます。

1980年代に提案された、ナドラー&タッシュマンの整合性モデルを土台に
21世紀現代に即した変革モデルの理論開発をMIMIGURIは行っています

特に、経営変革時に焦点となる人間関係のパラドックス(適応課題)や、組織開発の場を通じて変革・変化に適応する組織学習の「理論開発」と、その実践併走を担うファシリテーション(対話型組織開発)が得意技です。その結果として、深く顧客企業と共に、相互学習をして変革を共にしていることが、我々の強みと言えます。時代の急激な変化と多角化事業の見直しのニーズにより、変革ニーズは高まっており、今後のコンサル産業動向的にも追い風は変わらずでしょう。

我々のコア・ケイパビリティ、得意技を支える組織内のプロセス優位性は、経済学者シューマッハーの影響を受けた事業再生専門家「三枝さん」による「スモール・イズ・ビューティフルの組織論」に基づきます。これは、変革コンサルチームを小規模(固定の数名から10名単位)x多職能(多様な能力や探究を持つ個々)に維持し、縦割りを"回避"し各チームが独立した裁量と簡潔性を持って、事業のサイクル「創る、作る、売る」を実行することです。それにより、「知を編む」ことで多種多様な実践提供を行う臨機応変さを可能とし、顧客経営に長く併走できる事へと繋がっています

MIMIGURI創業時から複数年、チームとその横断的支援を試行錯誤し、独自の組織プロセスを磨いています。TECHの「少人数xクロスファンクショナルxスクラム開発」をコンサルティングファームに適用したプロセスとも、言えるかもしれません。

日本型経営の基本とも言える、三枝さんの事業&組織づくりコンセプト

創業から数年経過し、コア・コンピタンス、コア・ケイパビリティの強化に伴いビジネスモデルが(A)PJベースから、ストック型。(B)少関与x複数から、B2B大型年間併走x深い関与にシフトしています。こちらを基軸にしながら、以下のポイントを焦点として関連多角化を実践をしています。

ポイント①多角化のコア・ケイパビリティに立脚して、隣接探索を行う
(A).部門や各チームが併走中の全顧客状況(顧客ポートフォリオ)。(B).コア能力支える内部プロセスの指標化(5つの事業指標)…を重要視し、それに対し"価値の鎖"を繋ぎ、相乗効果により全体付加価値の向上を狙う事を、多角化戦略の中心に据えています。

ポイント②両利きの構造で分散しつつ、調整の習慣を設ける
我々の組織は、B2B顧客に向き合うコンサル部門と、プロダクト開発を担う部門の2つから構成されています。前者は1-10フェーズ、後者は0-1フェーズであり、異なる構造と文化が必要です。この違いを踏まえ、垂直の専念/水平の調整の"時間軸の設定"で分断を防ぎ、両利きの構造を採用しています。

しかし、我々が多角化を進める際、分化と統合のパラドックスが主要な課題です。私たちのコアである、小規模チームの能力を高めるためには、自由と裁量を増す構造と文化づくりが必要です。しかし、新たな戦略の秩序とその浸透も、多角化における相乗効果を生む上で重要です。

このバランスを取ることが難しく、過度に秩序を強調すると、チームの活気が失われる可能性があります。この矛盾に対処しながら"どちらか"ではなく、"どっちも"を選び、各事業やチームが協力関係を構築することが、我々の事業づくりの主要なアジェンダと言えるでしょう。

分化と統合のパラドックスを循環動態で乗り越える

さて、文章にすると綺麗に見えても、実際の事業開発は泥臭い努力(←重要)の連続です。「分散と修繕」戦略に従い、我々は部門の多角化と小規模チームの分散を通じて、挑戦と、輝かしい失敗を重ねています。また、定期的にこれらの貴重な経験から洞察を深め、分化と統合の矛盾を踏まえながら問いを修繕し、また新たな試行錯誤へと進んでいます。

ドラッカー曰く、イノベーションは「まだ価値がないものに(挑戦と経験を通じて)価値を見出す試行錯誤」です。分析だけに頼れば戦略は同質化してしまい新たな発見は生まれないでしょう。そのためこのプロセスは、演繹的な定量的な分析を当然行いながらも、コアケイパビリティのような無形資源の価値を全員の経験から見出す「衆知の経営」が必要です。

組織の環境適応理論によれば、ダイナミックな環境に有効に適応している組織は、組織内の機能をより分化させると同時に、より強力な統合を達成しなければならない。つまり、「分化(differentiation)」と「統合(integration)」という相反する関係にある状態を同時に極大化している組織が、環境適応にすぐれているということである。

戸部 良一、寺本 義也、鎌田 伸一、杉之尾 孝生、村井 友秀、野中 郁次郎(1984)
『失敗の本質-日本軍の組織論的研究』、ダイヤモンド社

この記事にまとめた内容も、現場での仲間たちの経験を集約したものであり、凄いのは稀有な仲間達だなと思います。私たちは全員でこの試行錯誤を繰り返し、多様な経験と知見を融合させています。これからも全員で実践を重ねて、その「知」を基に事業のパラドックスを超える独自構想を自然と立ち上げていくことでしょう。

経営変革においては、仮説を立て選択を行いつつも、経験に基づき仮説を絶えず改善するサイクルが不可欠です。このプロセスは、俯瞰すると「分散と修繕」の過程として表現できます

方策2/組織:両立を諦めない「学び続ける組織」戦略

さて、2つ目の矛盾は「組織の自由至上主義と共同体主義のパラドックス」でした。この課題は、「自律した個が集い、共同の経済目標を追求する」と、「共感と絆を重視し、共有の居場所を築く」、2つの組織の両立にあります。

前者の機能的な組織づくりの背後には、コンティンジェンシー理論に基づく、「イノベーションは外部環境への適応から生まれる」という考えがあります。外部適応に基づく事業戦略と、その達成を目指す「効率的なオペレーションの追求」、及び「自律的なプロフェッショナル人材」への投資が、現代の組織構築の基盤となっています。

構造の機能的整合を噛み合わせ、生産性のボトルネックを削減する事に重きが置かれる

しかし、自由至上主義に基づいて自律した個が増えると、孤立という社会問題が生じるのは前述の通りです。同時に、過度な「効率的なオペレーションの追求」は、精神的な絆を失わせる分業を促進しました。

その結果、共同体感を喪失した企業は、アージリスの言う「ダブル・ループ学習」、つまり価値や目的の文脈的な捉え直し、環境変化に適応するための対話を困難としました。これに対処するためには、多様性と一体感を両立した共同体的組織が重要といえます。

文化の精神的整合を噛み合わせ、人と人とのセレンディピティ(偶然の出会い)を通じて予想外のイノベーションが起きるネットワークの経済性を追求する必要がある

特に多角化経営では、環境の多様性に対応するため、組織内部にも同等の多様性を持つ必要があります。組織は変化するプロセスそのものであり、組織や人も刻々と変わる現実の流れの中で、実践しながら多様性ある集団の知恵を編み続ける必要があります。

この状況において、共同体の喪失による「知の転移の欠乏」は、非効率性を引き起こし、創発型組織の必要性を高めました。この創発型組織は、単に絆を深めるだけでなく、ネットワーク経済性を通じて付加価値を生み出す共同体としての機能を果たす重要な存在です。

計画型組織と創発型組織のパラドックスをいかに乗り越えるか

機能性と精神性、効率化と付加価値、分化と統合。この矛盾に対して、我々は変化を前提とする、「学び続ける組織」という共同体の概念と、その体現となる「知を開いて、巡らせ、結びあわせる」というバリューを用いて向き合っています。これらは、野中郁次郎氏と竹内弘高氏による『ワイズカンパニー: 知識創造から知識実践への新しいモデル』で提唱された「新・SECIモデル」に影響を受けたものです。

企業の環境対応は、環境の生み出す情報・意思決定負荷に合わせて、企業が受動的に情報処理構造を調節していけば、達成できるというものではない。企業は、主体的に環境に働きかけることによって、よりよく環境に適応できるのである。コンティジェンシー理論に欠落していたものは、個人の重要性の認識と企業の主体的環境創造の側面である。

野中郁次郎(1990)『知識創造の経営: 日本企業のエピステモロジー』日本経済新聞出版より引用

この理論では、「自律した個が共同体の中でネットワーク経済性を活用して付加価値を生み出し、共通の目的を追求する」という組織が直面するパラドックスを克服するための道筋を示します。また、組織が継続的に環境に適応するために変化し続けるには、組織自体が主体的に戦略や組織構造を変化・整合させる能力を持つ自己革新組織(セルフ・オーガニゼーション)であることが必要です。我々はこれらの概念を独自に解釈し、組織運営に応用しています。

具体的に我々のバリューは、共同体を通じた実践のプロセスを示しています。個々がまず実践し、経験から得た「良さ」を、うまく言語化できなくてもいいから、他者に開く。相手は関心と好奇心を持ち、対話やファシリテーションを通じて組織に巡らせる。こうして生まれた知を、戦略や問いに還元して、結び合わせる。このプロセスを組織全体で実践することが、イノベーションを創出する、創造性の土壌を耕す事に繋がる──これが、学び続ける組織を全員で創り上げる私たちの目指す姿です。

こうした組織プロセスの豊かさと、縦・横・斜めのネットワーク経済性を高めるために、1on1やコーチングに限らず様々な組織開発施策が推進されています。例えば、毎月半日の全社総会では外部環境の変化適応と内部からの主体的適応の、"どちらか"ではなく、"どっちも"の探究をしています。

また、高視聴率の社内番組放送、ミドル向け対話型組織開発、地域交流、頻繁な社内イベントなどもあります。これらの活動は、仲間たちによる多くの自主的な挑戦に支えられており、その泥臭さも、私たちが学び続けられる組織であることを支えています。

全社総会のような儀礼的な場は、組織文化の縮図になりやすい。
MIMIGURIでは三種の目的の総会を、3ヶ月サイクルで運営をしている

また、我々は「クロスマネジメント」文化を重視しています。バーナードは組織を「2人以上の人々の意識的に調整された活動や諸力の体系」と定義しましたが、この最小単位である2人のマネジメントによって、1つのチームが運営されています。

これらの知の結節点であるリーダー達が、複数のチーム間でのネットワーク経済性を活用し、「集団の知恵」を通じて、日々の困難に協力しながら実践をしています。このサポーティヴな文化は、組織的な事業開発プロセスの促進になっているでしょう。

日本企業の強みの源泉、ミドル・マネジメントの創発戦略

こうした知識創造サイクルは、顧客と同一の、多角化・多様性に満ちた経営環境での共同体の実践と、理論開発に携わる研究機関としての活動に根ざしています。このプロセスの核となるのがCCM(Creative Cultivation Model)で、これを軸に多様な学術や実践分野をまたがる学際研究や実践の探究を組織全員で行なっています。このアプローチにより、常に新しい視点から知識の再評価が行われ、組織学習の促進に寄与しています。

更に、我々と共に長く併走させて頂いているお取引先企業の皆様、研究機関、教育機関の皆様、多くのステークホルダーの皆様との関わりから生まれるソーシャルキャピタルは、我々がパラドックスを超える挑戦を続けるための知的資本の基盤となっており、欠かせない我々の源泉です。

方策3/人材:共同体参加による「T字型の探究」戦略

さて、最後の矛盾は、「勝利する軍隊と主観的冒険心のパラドックス」というものです。経営者も含めた全員が、目的実現のための経済合理性に従う中で、主観的な冒険心が薄れるリスクが存在しています。しかし、人間は本来、他者に喜んで欲しいと願う気持ちと、自分の人生という冒険を独力で実現したいという想いを秘めているものです。この2つを両立することが、生きる活力となるものなのでしょう。

外的価値と、内的動機の矛盾で葛藤するのが人間

しかし人間は誰しも弱いものですから、少しでも躓けば、他者の目を気にして「こうあるべき」と自分に制約をかけて、主観を失うことがあります。これは、冒頭で書いた、個が望むこと(内的動機)と他者との関わり(外的価値)のパラドックスです。こうした課題を踏まえ、個の主観的な冒険心──人によりそれは異なる。研究デザイン対話関係性や、事業組織、はたまた、怒り余談、いやいやみちばたにこそ、そこはかとなくあるのかもしれない。そうした個の探究を起点に、人を通じて事を為す葛藤の乗り越え方を示すのが、2022年度版の「CCM(Creative Cultivation Model)」です。

スピノザが言うように「人は実験しながら自由になる」という考え方は、CCM(Creative Cultivation Model)の中心にあります。人間は葛藤しながらも経験を重ね、徐々に自分がトラワレている制約を手放しながら、自由に自分の物語を生きるようになります。これは、「共同体参加と他者との関わり」を通じた変容を重視する学習観と密接に関連しており、「省察的実践家」という"どっちも"を越える重要な概念を表しています。

MIMIGURIに参画する上で、重要概念となるショーンの「省察的実践家」

人々は日常的に自己の知識や技術を研鑽し、主観的な「こだわり」を見つけ、それを育んでいます。しかし、他者との関わりの中で、これを超える問題に直面すると、パラドックスや葛藤が生じます。このような状況下での試行錯誤を通じて問題解決を図り、経験を振り返ることで新たな実践知を形成し、自らの「とらわれ」を疑い、主観を豊かにします。本田宗一郎氏は三現主義(現場・現物・現実)を唱えますが、この長い人生の過程で、自己のアイデンティティを三現を通じた探究をし続ける「省察的実践力」は、現代社会を生きるうえでの最重要なポータブルスキルと言えるでしょう。

CCMが考察している、自己拡張の基本サイクル

こうしたことを踏まえて、特定分野の実践を通じてこだわりを育む実践共同体(コミュニティ・オブ・プラクティス)を重視しています。この基盤として、「スモール・イズ・ビューティフルの組織論」に基づき、2人のリーダーを中心に、共同体の視点で小規模で多様な価値観が共存するチーム(数名から10名単位)を形成しています。ここでは、顧客経営に向き合う「シビアな」緊張感と、「あたたかな」共同体意識、「好奇心溢れる」個の尊敬を共存させながら、各チームのこだわりを育みながら、パラドックスの中でチーム内で省察的実践を蓄える仕組みづくりに挑戦しています。

私も含めて、個々のアイデンティティの探究は時に揺さぶられるため、中二階的な共同体(矛盾やねじれを中和する場)での開きあいが鍵です。そこで、共同体感覚を強める「組織アイデンティティ=私たちらしさ」の概念を重視して、理念やこだわりに基づいた再解釈を小規模チーム単位で行い、共に探究を助け合っています。

また、こうした相互主観を持ち対話する、多様な小規模な共同体が増えることで、それに跨る越境学習も存在しています。この様な一連の共同体のシステムは、長い人生の中でそれぞれが探究を歩み、主観を豊かにする生涯学習の場を皆で創ることを重視したものです。

また、小規模な実践共同体を重視するのは、イノベーションが既存枠組みを超える逸脱から生まれるという観点もあります。この中で、遊び心ある「密造酒づくりや闇研究」のような創造活動に取り組むことで、イノベーションの種である暗黙知が豊かに育ちます。

その結果、その形式知化を通じたシステム化を行い、価値転換を図ると同時に、それが更なる暗黙知を促進するプロセスとなるのです。このように知を開いて、巡らせて、結び合わせる前段階での活動が、メインストリームを2つ、3つと増やす鍵となるでしょう。

こうした一連のプロセスは、小規模単位の共同体の問い(理念)を基に、個々を支援する共同体的な組織づくりを進めるとともに、事業を通じて収益を生み出し、イノベーションを探索する、"どちらか"ではなく、"どっちも"のT字型探究です。

この過程では、個別化(小集団)だけでなく、普遍化(隣人や全集団)との両立をする知恵を実践で得ることも必要です。経営の小集団が個別化のみに偏れば悲惨になるのと同じく、あらゆる小集団がそれを視野に入れる必要があります。こうした理想と現実の融合を踏まえ、小さな単位で経営全般のT字型探究をする経験を積むと、規模が大きくなっても経営は相似形のため、その経験は役立ちます。このような"どっちも"の試行錯誤を通じて、顧客理解を深め、経営変革に向けた実践知を全員で学び、深めているのです。

共同体においても、T字型の探究を重視しています

色々述べて参りましたが、私たちは資源が限られた"未成熟"な冒険的企業(ベンチャー)であり、全員で泥臭く組織づくりの土壌を耕すことで何とか成り立っています。理想と現実の矛盾がここにもありますが、人生で複数の企業を経験するのが当たり前の現代でも、MIMIGURIと長期的な関係を築きたい、そう思える共同体づくりを皆で目指したいなと考えています。

マッキンタイアは、「実践の究極の目標は『共同体の卓越性の基準』を達成すること」と述べていますが、個人の時代における自分らしさの追求と、共同体に属し発展を遂げるパラドックス(葛藤)を超える両立の挑戦が、次世代の組織づくりの新たな展望となるでしょう。


まとめ:経営観と経営構想

さて、アドベントカレンダーのトリという事で気合を入れすぎ、気づけば20,000文字の長文になってしまいました。そんなこんなで、以下に多角化環境における、様々な矛盾と、MIMIGURIが取り組むこれらの矛盾への対応策のアジェンダをまとめました。

多角化経営の観点において、突きつけられるアジェンダ

CCM:整合性モデルに従い整理を行うならば、変化を前提とする多角化と多様性環境において、共同体のパラドキシカルなファシリテーションを通じて、顧客企業や社会の創造的土壌を耕す。これが、MIMIGURIの現段階の仮説的な取り組みと言えます。

CCMに基づいた方策の全体像整理

こうした経営視点で頂くご質問に、「現段階で多角化のマネジメントを行う理由」があります。その折には、「屋久杉」を例にご説明しています。通常、杉の寿命は約500年ですが、屋久島の縄文杉は2,000年を超えることも珍しくありません。その理由は、一般的な生育環境よりも性質の異なる環境のため、ゆっくりと時間をかけて育つのだそうです。これにより、年輪が密になり、木の芯が強くなり、堅牢な大樹に成長するのです。

2000歳の樹齢もあるという、屋久島の縄文杉

一般的には、初期には単一事業で急成長を遂げ、後期には経営構造や文化の大規模な変革を経て持続的成長へと転換するものですが、我々は初期段階から多角化と多様性に着目し、顧客理解を深めるためだけでなく、企業が長期的な視点で直面するであろうパラドキシカルな問いに初期から取り組んでいます。我々のアプローチでは、単一事業に比較して向きあう葛藤も増えますが、企業が後期段階で直面する「構造と文化」の継続的な変化と整合に早期からの対応により、それが結果として生態系の密度を高めるという仮説に基づいています。このような方法で、我々は持続可能で発展し続ける組織を目指しています。

企業5段階で言えば、後期3~5段階目の課題に今から向き合っている

また、研究機関としての難問に挑み、それを解くには、焦らず長期で変化の年輪を積み重ね、様々な要素の相乗効果を生み出すプロセスを創りあげる、学び続ける文化が初期から必要だからと考えています。とはいえ、仮説通りにいかず、想定外の大失敗も起こりうるかと思います。しかし、そうした事があっても試行錯誤を通じて、屋久杉のように持続的で力強い樹木になるであろうと信じています。

持続成長を遂げる企業に共通に見られるのは、たゆまぬ自己変革の姿である。その自己変革を促すのは、社会的使命を重視する経営理念や、長期的視点からの意思決定である。加えて、個を尊重しながらも共同体意識を育む必要がある。

野中 郁次郎、リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所(2010)
『日本の持続的成長企業 ―「優良+長寿」の企業研究』、東洋経済新報社

こうしたMIMIGURIの超・長期ビジョンは以下の知の生態系を創り、創造性の土壌を耕す(CULTIBATE the CREATIVITY)ことです。

(1)複雑な経営環境の中で、パラドックスを越えて創造性を発揮する企業への変革を通じて経済活動を活性化させること。
(2)生涯学習の促進と、社会において、創造性豊かなファシリテーターを増やす、"質の高い教育をみんなに"届けること。
(3)これらの基盤とすべく、CCMの学際領域研究をより拡張させながら、社会、経営、事業、組織、人材の矛盾を乗り越える、研究活動がより促進され、社会に知的資本が蓄積されて開かれた状態を創ること。
この様な知の生態系を、創り、繋げて、育むことを掲げています。

上記は、多くの多様な活動に関わる企業や行政、教育機関、研究機関、多様なステークホルダーの皆様との連携を深め、知の生態系のファシリテーションに寄与する存在となることを目指すものです。この取り組みは、理念を単に掲げるだけでなく、社会的・経済的・各種の資本的にも具現化することで真の価値を生み出すものであり、組織内での省察的実践を通じて向き合っていくことが我々の目標です。

MIMIGURIが、超・長期をかけて実現をしたい、知の生態系

最近、横山光輝氏の「項羽と劉邦(漫画)」を全巻読みましたが、劉邦のリーダーシップの秘訣は「袋のような存在」であった事だそうです。つまりは、稀有な才能を持つ人々の知恵を受け入れられる点が良かったとか。そうした姿勢は正にファシリテーターだなと思います。今後も多様で多彩な人々の知恵を包含して、皆さまとの相互触発を楽しみながら、私自身の主観をより拡げ、深めて、パラドックス溢れる企業経営を"どっちも"のファシリテーションで乗り越えていきたいと思います。


人間とは、面倒くさいけど愛らしい存在である

ここまで組織や経営におけるパラドックスについてまとめてきました。その複雑さを考えると、一人でやる方が簡単だと思うかもしれません。しかし「人間はめんどくさいが、愛らしい存在」であり、それが集まってできる組織もまた、面倒ながらも愛らしいものです。

私や共同代表の安斎勇樹も、面倒さを率直に言葉にし、その上で「でも愛らしいよね」という視点を忘れずにいます。その程度の軽やかさを保ちながらも、好意と関心を忘れない。その中程度な、重すぎず、軽すぎない距離感が経営上のパラドックスに対処する第一歩なのではないでしょうか。

さて、MIMIGURI Advent Calendar 2023が、今日で幕を閉じます。過去25日間にわたって、さまざまなメンバーが自分たちの視点からMIMIGURIの活動や魅力、そして挑戦や探究の旅について心をこめて語ってくれました。

それぞれの記事には、個々の景色と彩り豊かなナラティヴが詰まっています。これらの記事を通じて色んなMIMIGURIの姿を深めることができるでしょう。いつもMIMIGURIは物語りを糧に生きる「獏」のような組織だなと思います。これからも多様な物語りを糧にしながら、あるがままに変化・変容を遂げていくことでしょう。

もしよろしければ、こちらから他の記事もぜひ読んでみてください。きっと引き込まれて、ついつい眺めてしまうことでしょう。それでは、皆さまメリークリスマス!

色んな価値観・視点・ナラティヴが溢れており、シンプルに読み物として面白いのでぜひ!

参考文献

  • MIMIGURI(2023)「ヒトと組織に強い経営人材になるための『新時代の組織づくり』」https://mimiguri.co.jp/ayatori/webinar-ccm/

  • Cultibase(2020)「「両利きの経営(ambidexterity)」を推進する3つのアプローチ」https://www.cultibase.jp/articles/1143

  • Cultibase(2020)「組織学習はどのようにして進むのか:連載「組織学習の見取図」第3回」https://www.cultibase.jp/articles/1917

  • Cultibase(2021)「探究の戦略:ビジネスパーソンのキャリアを拡げる新しい学び方」https://www.cultibase.jp/videos/7980

  • Cultibase(2021)「「多様性のあるチームが創造的な成果を生む」は本当か:創造性研究にみるチームづくりのヒント」https://www.cultibase.jp/articles/4502

  • Cultibase(2022)「組織の「矛盾」を手懐けるリーダーシップの最新知見」https://www.cultibase.jp/videos/10317

  • Cultibase(2022)「「創造的逸脱」のデザイン:イノベーションを育む組織の在り方を考える」https://www.cultibase.jp/videos/10538

  • Cultibase(2022)「2022年版「Creative Cultivation Model(CCM)」とは:組織の創造性をマネジメントするための見取り図」https://www.cultibase.jp/articles/10109

  • Cultibase(2023)「「対話」とは何か?改めて定義を探る」https://www.cultibase.jp/videos/14089

  • Cultibase(2023)「私たちは何者か?組織アイデンティティ研究に学ぶ“一体感“のマネジメント」https://www.cultibase.jp/videos/14537

  • Cultibase(2023)「働く大人の「アイデンティティ」の悩みと処方箋」https://www.cultibase.jp/videos/14497

  • 塩瀬 隆之、安斎勇樹(2020)『問いのデザイン: 創造的対話のファシリテーション』、学芸出版社

  • 安斎勇樹(2021)『問いかけの作法 チームの魅力と才能を引き出す技術』、ディスカヴァー・トゥエンティワン

  • 舘野泰一、安斎勇樹(2023)『パラドックス思考 ─ 矛盾に満ちた世界で最適な問題解決をはかる』、ダイヤモンド社

  • 安斎勇樹(2023)「相反する2つの「遊び」の両立が、組織の創造性を刺激する」https://note.com/yuki_anzai/n/nfa1e018dc1ab

  • 安斎勇樹(2023)「キャリアに偶発性を呼び込み、複数の専門性を獲得するには?冒険的なキャリアデザインを支える「戦略的トラベリング」の提案」https://note.com/yuki_anzai/n/n039ff0248424

  • 安斎勇樹(2023)「学び続ける組織文化をつくるために、MIMIGURIで実践している5つのこと」https://note.com/yuki_anzai/n/ncc420e09bd1c

  • 安斎勇樹(2023)「学習は「知識やスキルの獲得」だけではない。学習論研究からひもとく、多様な「学習観」」https://note.com/yuki_anzai/n/n02727d0cd591

  • 安斎勇樹(2023)「なぜナレッジマネジメントはうまくいかないのか:組織に眠れる"もうひとつの暗黙知"の重要性」https://note.com/yuki_anzai/n/n7f9a90b53ff4

  • MIMIGURI(2022)「なぜMIMIGURIは研究機関になったのか?──“創造性の土壌を耕す経営モデル”の実現と普及に向けた挑戦。」
    https://mimiguri.co.jp/ayatori/research-institute/

  • 松下 幸之助(1978)『実践経営哲学』PHP研究所

  • 戸部 良一、寺本 義也、鎌田 伸一、杉之尾 孝生、村井 友秀、野中 郁次郎(1984)『失敗の本質-日本軍の組織論的研究』、ダイヤモンド社

  • F・アーンスト・シューマッハー(1986)『スモール イズ ビューティフル』、 講談社学術文庫

  • 野中郁次郎(1990)『知識創造の経営: 日本企業のエピステモロジー』、日本経済新聞出版

  • クレイトン クリステンセン(2001)『イノベーションのジレンマ 増補改訂版: 技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』、翔泳社

  • 沼上幹(2003)『組織戦略の考え方―企業経営の健全性のために』、ちくま新書

  • ゲイリーハメル, C.K.プラハラード(2001)『ダイナミック・ケイパビリティ戦略ーイノベーションを創発し成長を加速させる力』日経BPマーケティング

  • 本田宗一郎(2005)『やりたいことをやれ』、PHP研究所

  • P F ドラッカー(2007)『ドラッカー名著集5 イノベーションと企業家精神』、ダイヤモンド社

  • 沼上幹、軽部大、加藤俊彦、田中一弘、島本実(2007)『組織の〈重さ〉: 日本的企業組織の再点検』、日経BPマーケティング

  • リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所、野中 郁次郎(2010)『日本の持続的成長企業 ―「優良+長寿」の企業研究』、東洋経済新報社

  • ピーター M センゲ(2011)『学習する組織――システム思考で未来を創造する』、英治出版

  • デビッド・J.・ティース(2013)『コア・コンピタンス経営: 未来への競争戦略』、ダイヤモンド社

  • 三枝匡(2016)『ザ・会社改造--340人からグローバル1万人企業へ』、日本経済新聞出版

  • 安藤 史江、浅井 秀明、伊藤 秀仁、杉原 浩志、浦 倫彰(2017)『組織変革のレバレッジ: 困難が跳躍に変わるメカニズム』、白桃書房

  • 見田 宗介(2018)『現代社会はどこに向かうか-高原の見晴らしを切り開くこと』 、岩波新書

  • 伊丹敬之(2019)『平成の経営』、日本経済新聞出版

  • 伊丹敬之(2019)『人本主義企業―変わる経営変わらぬ原理 』、日本経済新聞出版

  • 安藤 史江(2019)『コア・テキスト組織学習 (ライブラリ経営学コア・テキスト)』、新世社

  • 戸部良一、寺本義也、野中郁次郎(2020)『国家戦略の本質 世界を変えたリーダーの知略』、日経ビジネス人文庫

  • 野中 郁次郎、竹内 弘高(2020)『ワイズカンパニー―知識創造から知識実践への新しいモデル』、東洋経済新報社

  • 國分功一郎(2020)『はじめてのスピノザ 自由へのエチカ』、講談社現代新書

  • 野中 郁次郎、竹内 弘高(2020)『知識創造企業(新装版)』、東洋経済新報社

  • ジョン・メイナード・ケインズ(2021)『超訳 ケインズ『一般理論』』、東洋経済新報社

  • マッキンタイア(2021)『美徳なき時代【新装版】』、みすず書房

  • 北岡伸一、野中郁次郎(2021)『知徳国家のリーダーシップ』、日本経済新聞出版

  • チャールズ・A・オライリー, マイケル・L・タッシュマン(2022)『両利きの経営(増補改訂版):「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く』、東洋経済新報社

  • 伊丹敬之(2022)『中二階の原理 日本を支える社会システム』、日経BP 日本経済新聞出版

  • 宮台 真司、野田 智義(2022)『経営リーダーのための社会システム論 構造的問題と僕らの未来 (至善館講義シリーズ)』、光文社

  • 石井 光太郎(2022)『会社という迷宮――経営者の眠れぬ夜のために』、ダイヤモンド社

  • 野中 郁次郎、川田 英樹、川田 弓子(2022)『野性の経営 極限のリーダーシップが未来を変える』

  • マックス ヴェーバー(2022)『職業としての政治』、岩波文庫

  • 杉田 浩章(2023)『10年変革シナリオ 時間軸のトランスフォーメーション戦略』、日経BP

  • 野田 智義(2023)『コンテクスト・マネジメント~個を活かし、経営の質を高める~』光文社

  • 三枝匡(2023)『決定版 V字回復の経営 2年で会社を変えられますか? 「戦略プロフェッショナル・シリーズ」第2巻』、角川書店単行本

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