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YouTubeをアップしました|【マスタリングエンジニアが選ぶ!】リファレンス音源 3選(根本智視編)

「【マスタリングエンジニアが選ぶ!】リファレンス音源 3選(根本智視編)」という、ぼくのリファレンス音源を3曲紹介したYouTube動画をアップしたそす。「そもそもリファレンス音源というのは」っていう別の動画も一緒に公開したので、それはこちらよりご覧ください

以下はYouTubeの内容を若干加筆しつつ書きおこしただけの記事なのですが、ぼく自身にYouTubeを見る習慣がないので、文章のほうがよきという方はぜひ読み進めてください。

1曲目 『TWICE - CANDY POP』

それでは1曲目です。K-POPグループTWICEの2018年のアルバム『BDZ』より、3曲目の『CANDY POP』です。

このアルバムは3名のミキシング・エンジニア、山田直樹さん、韓国のエンジニアさん、そしてトニー・マセラティが参加していますが『CANDY POP』トニー・マセラティのミックスです。マスタリングはSterling Soundクリス・ゲーリンジャーが担当しています。

『CANDY POP』ではイントロ1発目のベルの音で、倍音含めた高域の出方や明るさなどの音色をチェックします。特にヘッドホンで多いのですが、意外と高級機種でも高域が金属的な鳴りが強いモデルがあったりするので、しっかり上が伸びていて、固くなく、それでいてきちんと明るい音色で鳴っていてほしいというのがぼくのチェックポイントです。

タイトル曲の1曲目『BDZ』も好きで、曲としてはしっかり明るいポップスなのに、ベースが音楽を豊かにしている印象が良い感じです。
いわゆる洋楽の楽曲だとちょっとクールすぎるというか、こういうわかりやすく明るい楽曲っていうのはなかなか少ないので、そんな中でこの時代のK-POPはキラキラしたサウンドの中に大きなリズムとボーカルとがいい塩梅で表現されているのが非常に好きです。J-POPと洋楽の良いとこ取りな感じ。

「ヘイッ!ハッ!」とか「twice!」とかの謎コーラス(合いの手?)も最近の曲では言ってくれないんですけど、ぼくは気分が上がって好きですね。

2曲目 『Selena Gomez - Dance Again』

お次にご紹介しますのは、セレーナ・ゴメスのアルバム『Rare』です。

このアルバムは2020年のあたまにリリースされて、これももうずーっと聴いています。いつかのサウンド&レコーディングマガジンでタイトルソングの『Rare』のミックスに関するインタビューが掲載されていたんですが(※2020年5月号でした <https://www.rittor-music.co.jp/magazine/detail/3119121012/>)、ここで紹介するのは2曲目の『Dance Again』です。この曲はミックスをサーバン・ゲニア、マスタリングはクリス・ゲーリンジャーが担当しています。

この曲はボーカルスタートなので、冒頭で「センター定位異常無し!」というのをパッと聴きます。この部分では声の音質はあんまり聴いてないです。
で、30秒くらい飛ばしてリズムインするところ、聴きたいのはここです。4つ打ちのキックと、裏のベースがリズムを作っていて、モニタースピーカーやヘッドホンなどの低域の鳴り方とか解像度によっては4つ打ちのキックが主たるリズムに聴こえる場合がありますが、そうではなくしっかりベースがリズムを担っているように聴こえる環境かを聴き分けています。
自分の環境では何かしらのセッティングを変えたときのチェックとか、スピーカーやヘッドホンを試聴したりするときにはかならず聴く楽曲です。

このアルバムはめちゃめちゃ好きなので、もう1曲だけ紹介しちゃいます。4曲目の『Lose You To Love Me』です。この曲も『Dance Again』と同じくサーバン・ゲニアのミックスですね。

この曲はピアノ、ボーカル、コーラスにかなりの歪み成分が、極端に言うとガサガサっとした歪みをかなり多く含んでいて、その上で全体の音色としてはとても美しく感じる。そんなところがものすごく好きな楽曲です。

この楽曲ではイントロ部分から、歪みを含んでヒリヒリとした空気感の音像が、しっかりと大きな面で再生されているかをチェックします。あとは全体の音色ですね。抽象的ですが「歪みを多く含んでいるのに美しい」この印象を再現しているかを確認します
もう1箇所、1サビが終ってセカンドバースの途中にこの曲で一番低いベースがいるので低音の再生能力はここでチェックしています。ちなみにその箇所のすぐあとの歌詞が「あけまして Easy」に空耳します。
このアルバムは全曲良すぎるのでぜひ音量大きめで聴いてみてください。

3曲目 『t.A.T.u. - Malchik Gay』

では最後3曲目です!t.A.T.u.のファーストアルバムより1曲。これだけちょっと選び方にしても毛色がちがうんですけど、2002年のアルバムです。

このアルバム自体はトレヴァー・ホーンのプロデュースで、アルバムのリードソングは彼の曲で非常に重厚でかっこいいんですけど、

※この記事を書きながら知ったのですが、アルバム2曲目の『All the Things She Said』トレヴァー・ホーンのプロデュース)を早回しした音源が「この音源を使うと1週間以内に恋が叶う」ということでTikTokで9.3億回再生されたそうです。ぼくにはちょっとなに言ってるのかわからなかったです。<https://www.universal-music.co.jp/t-a-t-u/news/2022-09-02/>

今回紹介するのはトレヴァー・ホーンの曲ではない『Malchik Gay』という曲です。トレヴァー・ホーンのアレンジとは対極にあるようなとてもシンプルストレートなアレンジの楽曲です。
この曲でぼくが何を聴いているのかというと、イントロのギターとベースのユニゾンのリフです。ここがとにかくめちゃめちゃかっこよくて、低域もしっかり出ている。「20年前にこのサウンドか。やってくれたな。」っていうことで自分のお尻を引っ叩くつもりで聴くことが多いですね。マスタリングはボブ・ラディックが担当していて、ぼくはベースのドライブ感にボブ・ラディックのサウンドを感じるんですけど、2002年からさらに10年、20年さかのぼっても彼が手がけた楽曲たちからはそのエッセンスを感じられるんですね。そこが非常にいいなと。
ちなみにこれもいつかのサンレコのソニーのプロオーディオの歴史が特集されていた号で(※2021年4月号でした<https://www.rittor-music.co.jp/magazine/detail/3120121011/>)若き日のボブ・ラディックの写真が載っていて、パシャ。写真撮りましたね。大ファンです。

最後に

ということで今回はぼくのリファレンス音源を3曲(と言いつつ4曲)紹介しました。
最後に一つ、エンジニアを目指している人とか学んでいる学生さんとかにリファレンス音源の選び方としておすすめの選び方を一つお教えします。
それは、条件として「世界で一番売れた楽曲から選ぶこと」です。その理由は、エンジニア同士の会話なんかで「リファレンスなに使ってる?」とか「最近なに聴いてる?」とかいうのがよくあるんですね。で先輩とかに聞かれたとして、知らん曲は知らんわけで、まああんまり興味持ってもらえないんですよね。
なのでコミュニケーションのためのカードとして、各個人のリファレンス音源はあくまで自由に好きなものを選んでもらっていいのですが、そういう楽曲も持っておくといいよというのが、若干邪なようではありますが、おすすめです。

今回紹介した楽曲も含んだぼくのリファレンス楽曲のApple Musicのプレイリストを公開しています。他の曲もお耳に合えば是非聴いてみてください。(多分ぼくの「このサウンド好きそ〜」っていうのはわかりやすいんじゃないかなと思います)
それではまた次の動画でお会いしましょう。では〜〜〜。


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