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YouTubeをアップしました|【インターンシップがチーフエンジニアに聞く!】 学校では教えてもらえないQ&A その② 〜プラグイン編〜

【インターンシップがチーフエンジニアに聞く!】 学校では教えてもらえないQ&A その② 〜プラグイン編〜というYouTube動画をアップしました!

サイデラ・マスタリングにインターンシップに来てくれているBOYS&GIRLS(羽ばたきだした彼らを誰に止める権利があったのだろう?)からの質問にぼくがDKJのSTNでお答えする内容になっています。

以下はYouTubeの内容を若干加筆しつつ書きおこしただけの記事なのですが、ぼく自身にYouTubeを見る習慣がないので、文章のほうがよきという方はぜひ読み進めてください。
今回の動画ではぼくも卒業した『音響芸術専門学校』の学生のジンくんからの質問3つに回答しています!動画内のぼくが半袖を着ているのに公開が12月になってしまったのは、お察しください!!

質問 ①「プラグインだけ(ITB)でマスタリングをすることができますか?」

もちろんできます!ぼく自身の場合は3〜4割くらいは「ITB」でマスタリングしますね。そもそも「ITB」とは「IN THE BOX」の頭文字で、外部ハードウェアやミキシングコンソールを使わずに、DAWとプラグインだけでミキシングやマスタリングを仕上げることを言います。

ある日のマスタリングチェーンは

例えば直近で実際にIN THE BOXでマスタリングを仕上げた作品だと、派手目なディスコビートなトラックの歌もので、この時のマスタリングのチェーンは、

  1. Tone Projects『Kelvin』(サチュレーター)

  2. Arturia『Dist TUBE-CULTURE』(サチュレーター)

  3. A.O.M.『Nu Compressor』(サチュレーターとして)

  4. Tone Projects『Basslane Pro』(低音調整)

  5. Dangerous Music『BAX EQ』(イコライザー)

  6. Pulsar Audio『8200』(イコライザー)

  7. Three-Body Technology『Kirchhoff-EQ』(イコライザー)

  8. Softube『Weiss Deess』(ディエッサー)

  9. Leapwing Audio『DynOne』(5バンドコンプレッサー)

  10. A.O.M.『Invisible Limiter G3』(ソフトリミッター)

  11. A.O.M.『Invisible Limiter G2』(リミッター) 

いっぱいインサートしちゃってるんだけど、自分の場合は一つ一つのプラグインにはそれぞれ明確に役割を持たせていてそれでコントロールをしていると。別にぼくたちの仕事は結果ありきなので、より良い音楽に仕上がるのであればITBでもぼく的には別にオッケー。クライアントさんに「え、これIN THE BOXで仕上げたんですか?」なんて首をかしげられたこともないし、逆に「アナログ機材を通して仕上げました!」とかって積極的に言うことも別にない。
だし、むしろこれからの人はプラグインをしっかり使いこなせることは必須なので、プラグインをしっかり使いこなすことから入っていくのは大賛成です!

質問 ②「ハードウェア vs プラグインは!?」

プラグインの一番の特徴は「音が変わらない」こと

個人的にはアウトボードとプラグインを対立構造にするつもりも無いんだけど、プラグインって音が変わらないのが特徴だと思っていて。アナログハードウェアのシュミレーター系のプラグインで、そのプラグインをアクティブにするだけで音が変化するものもあるけど、その変化を仮に「1」だとしたら、アウトボードは通すだけで絶対に「5とか10、20」くらい変わるイメージ(数字はイメージです)。
というのもそりゃそうで、DAWベースの話ではアナログのアウトボードを使うって場合は、DAコンバーターがあって、アナログケーブルを通って、でアウトボード通って、またケーブル通って、今度はADコンバーターがあって、でデジタルになると。音が変化しない訳がないですよね。もっと言えばコンバーターへ供給するワードクロックだったり、電源ケーブルとか電源環境とか、、、言い出したらキリがないくらいある、音が変わる要素トータルの変化が「そのアウトボードを通った音」になっているので。一つの機材だけの話ではなくてね。だから「その変化」を求めるならアウトボード、求めないならIN THE BOX、という運用ですね。

逆にいうとそのくらいの判断で運用できるくらいに特に最近のプラグインは優れているなと思っているし、あと、別にプラグインのGUI、操作画面を見てもテンションが上がらないのが逆にいいのよね。
iZotopeみたいなフラットなデザインがむしろいいと思っていて。これは自分語で「冷静と情熱のあいだ」と呼んでいるんだけど、気分だけ上がって腕ぶん回してみたいな感じでやっても結構空回っちゃって結果が付いてこないみたいなことに陥りがちだし、かといって数字だったりとか波形だったりとかだけで、頭で考えるだけでもだめ。より良い結果につながる、自分にとって良い判断がしやすい方法を選ぶっていうのもありなんじゃないかなと思います。

質問 ③「マスタリングで必ず使うプラグインや、最近ハマってるプラグインは?」

Arturia「Dist TUBE-CULTURE」をご紹介

最近よく使うのでここで紹介したいのは、Arturiaの「Dist TUBE-CULTURE」というプラグインです。これはThermionic Culture(サーミオニックカルチャー)っていうメーカーの、ここはCulture Vultureっていう真空管機材が有名なメーカーですけど、それの兄弟機種の「Ultra Vulture」という機材をベースにしたプラグイン、だとメーカーマニュアルに書いてありました。
これはぼくの最近のファーストチョイスになりやすくて、しかもチェーンの最初の方に入ることが多いので可愛いですね。

プラグインの基本セッティングとしては、ほぼほぼプリセットしてるこれ(YouTubeを参照)しか使うことはなくって、ただdry/wetの「MIX」つまみと「EQ」セクションにあるローパスフィルター、ハイパスフィルター、傾きを調整するチルトEQはその都度調整します。ただしこのEQはwet信号だけに影響があるので、「MIX」つまみは大体6%から11、12%くらいで使うことが多いので、ここでのEQはサウンド全体への影響はそれほど大きくは出ません。
で、一番気に入っている機能がこの「プレゼンス」スイッチで、「Air」「Presence」「Off」の切り替えなんだけど、特にボーカルもので声の高域このあたり(ボーカルにおける一番の高域)により色をつけたいときは「Air」で、最近の海外の楽曲にも多いドライで近いオンマイクっぽい印象にしたいときは「Presence」にしたとか、このスイッチの切り替えだけで2バージョンのマスタリングを作ったりできるみたいな勝手の良さもあるので、気に入っています。

ということで今回はプラグインに関するQ&Aに答えました。これ今回はたまたま可愛かったのでArturiaの「Dist TUBE-CULTURE」を紹介したんですが、いわゆるサチュレーション系のプラグインが好きなのは伝わったと思うので今度そのうちサチュレーション系プラグインだけの動画を作りたいな、と思いました。
それではまた次回の動画でお会いしましょう。では〜〜

(同じシリーズのその①はこちら)


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