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YouTubeをアップしました|【インターンシップがチーフエンジニアに聞く!】 学校では教えてもらえないQ&A その① マスタリングとは?

【インターンシップがチーフエンジニアに聞く!】学校では教えてもらえないQ&A その① マスタリングとは?【SDM】というYouTube動画をアップしました!

サイデラ・マスタリングにインターンシップに来てくれているBOYS&GIRLS(羽ばたきだした彼らを誰に止める権利があったのだろう?)からの質問にぼくがDKJのSTNでお答えする内容になっています。

以下はYouTubeの内容を若干加筆しつつ書きおこしただけの記事なのですが、ぼく自身にYouTubeを見る習慣がないので、文章のほうがよきという方はぜひ読み進めてください。
今回の動画ではぼくも卒業した『音響芸術専門学校』の学生のジンくんからの質問3つに回答しています!

質問 ①「そもそもマスタリングとはなんですか?」

音楽を最後にもう一つ豊かにさせる工程であるということ

ぼくが考えるマスタリングの意義は、音楽を最後にもう一つ豊かにさせる工程だということです。それこそ学校の教科書や、インターネットの情報では音圧を上げたり、曲ごとの音量を整えたり、低域が高域が周波数がなんだとか、そういうことがよく書いてあります。でもそこに『音楽を扱っているんだ』という視点が抜けていることが多い。そういう意識をしっかりと持っていなくてはいけないと常に思っています。

『音楽を豊かに』とは

音楽が豊かにっていうのは具体的にはどういうことかというと、例えば、よく「ボーカルの歌詞がよく聴こえるようにしました」なんてのを言います。けど、そんなのはそもそも当たり前で、その上でこのボーカリストの歌声のどの部分、口元のイメージの低いところなのか、鼻筋のイメージのあたりなのか、どのあたりが出てた方がこのボーカリストの歌声が一番その人らしく引き立って歌が感動的に伝わるのか、とか。
あるいはぼくは音楽のリズムをより引き出したいっていう意識が強いのでそういうアプローチをすることが多いのだけど、大きなリズムを感じるようにするのか、タイトなビートを刻むように感じるようにするのか、とか。時々インターンのみんなにも聴かせるよね、「Aバージョンはゆったりと大きな後ろノリめなリズム、Bバージョンはアグレッシブな前ノリなリズム」みたいな。
「スマホで聴かれるから」とか「音圧が」とか、そういうのをケアするのはぼくらにしてみれば当たり前のことで、その上で音楽に寄り添う気持ちは決して忘れてはいけないと思います。

質問 ②「マスタリングエンジニアになるには?必要な能力はありますか?」

ぼく自身は音響芸術専門学校を卒業後、サイデラ・マスタリングのインターンシップを9ヶ月間したのちに、スタジオにたまたま欠員が出たため声をかけてもらいアシスタントになりました。そういうたまたまのタイミングというのも大いにある。必ずしも専門学校に通わなければいけないかというとそうではなくて、ただし学校で習うような知識は礎としてかならず活きてくる。

マスタリングのスキルを伸ばすためには

  1. 世の中にたくさんある素晴らしい音楽を沢山きいて

  2. 具体的にどこがどう素晴らしいのかの気付きを得て

  3. そしてそれはどう作られているのかを想像して

  4. 自分も試す

その繰り返しです。で、この「想像する」という部分のためには知識が必要になります。で、どうせうまくいかないわけで。そのトライアンドエラー、トライエラー、トライエラーを繰り返して溜まった失敗体験の中に「このやり方は自分の意図していたところじゃないけどこういう結果には繋がるな」みたいな、そういう蓄積が見つかって……。というのを繰り返すのがマスタリングエンジニアになる遠回りなような一本道かなと思いますね。

決して自身を過大評価せず、向き合ってスキルを高めていくこと。とにかく良い音楽を聴いて、気づきを得て、それを自分のものにすべく手を動かすこと。
よく音楽のエンジニアは、センスとフィーリングでなんとかなるものだと誤解されることも多いけど、けっこう泥臭いことの蓄積です。そういう意味では、そんな泥臭い繰り返しをストレスなく楽しく続けられる人が適性がある、とも言えるかもね。

質問 ③「マスタリングの楽しさや、職業としても魅力は?」

まず初めにあまり浮かれたことを言う前に

マスタリングエンジニアというのはとても責任のある仕事です。SNSで「あの曲の音が良い・悪い」とか言われていることを見かけたことがあると思うけど、その仕上がりがエンジニアにとって本意か不本意な結果かはさておき、最終的な楽曲の音を決めて固定したマスタリングエンジニアにはある一定の責任があると思っています。だからといって矢面に立って批判される必要はまったくないとは思っているけれど、とても責任のある仕事です。

それでも、マスタリングは楽しい!

それでも、マスタリングは楽しいね!自分が責任を持って決定した音が、音楽が直接リスナーに届いて、喜んだり踊ったりしてくれる反応を直接感じられるわけで。あとマスタリングっていうのは世界中の全ての良い音楽が教科書になるんですよ!絶望するくらいかっこいい曲ってあるでしょ、白目剥いて「こんな音どうやって作ってるんだ」みたいな。その全てが直接のお手本になる。こんな楽しいことはないよね。
世界には素晴らしいマスタリングエンジニアが沢山いて、絶望と、小さな自信の積み重ねとを繰り返して、「おちこんだりもしたけれど、私は元気です」みたいな、挑戦しがいのある世界だと思いますよ。

次回のYouTubeはみんなだいすきプラグインに関する質問が集まったので、プラグインをテーマにしたQ&Aをお届けします!

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