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人生は、選んだものでできている

「たしかに、そうかもしれない」と私は思う。そう言われてみれば、私も人生一度はゴールデンレトリバーと暮らしてみたい。と思ったことがある気がする。

たとえば、大きな庭付きの戸建てに住んで、庭でゴールデンレトリバーが気持ちよさそうに芝生の上を走る光景。しあわせ、の具現化みたいな景色だ。どこかの映画や、漫画で見たのだろう、きっと。

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でも、ゴールデンレトリバーと暮らすことを、いざ本格的に実現しよう、と思ったことはない。し、実現のために動いたためしもない。

もし、本気でともに暮らしたかったら、まずは戸建てに(別に戸建てじゃなくてもいいのだろうが)引っ越して、つまりゴールデンレトリバーと私がゆったりと生きられるだけのスペースと許諾のある敷地、家を確保。そしてそれから、運命だと感じられるゴールデンレトリバーを探しにゆく。

見つけられたら、彼(なんとなくゴールデンレトリバーは男の子のイメージだけど、よく考えたら女の子もいいな。そういえば女の子のほうが、一緒に暮らしやすい?と聞いたことがある気がする)が心地よく過ごせるいくらかのグッズを買って、予防接種など身の回りのことを整えて、そしてしつけやらなんやらに悩みながら、彼との暮らしを始めてゆく。

その実現のために、たとえばだけど、金銭的な問題ゆえに、私はヘアケアのための高価なブランドオーガニックオイルを、ドラッグストアで大幅値引きされているオイルに変える必要があるかもしれないし、いつもは躊躇いなく注文していた冷菜とスープとメインとデザートから、デザートとついでに一杯のビールをマイナスする必要が出てくるかも、しれない。

プラス、言わずもがな家を空けることが難しくなった私は、旅行の頻度を下げる、または無くすことを考えるべきだろうし、予期せぬ彼の病を治療するため、何か大切な用事をスキップしたり、やっぱり今までとは違ったお金の使い方を選択したり、するのだと思う。

彼と暮らすことで得られるであろう幸せも、もちろん両手両足で数えて、数え切れないほどある。あるけれども、やはりたとえばだけれども、そういう現実的な諸々を鑑みたとき、または具体的には鑑みなくとも。私は「いまはゴールデンレトリバーと暮らす、てな夢は実現しなくてもいいのではなかろうか」と、意識的というよりはむしろ、無意識のうちに、取捨選択をする。

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とまぁ、これはひとつの例だとしても、おそらく私、私たちは、こんな風に日々何を掴むか、何を掴まないかという選択をしているのだと思う。

私は、選ばなかったし、今も選んでないから、ゴールデンレトリバーと住んでいないし、芸人にはなっていないし、ドイツにも住んでない。でも、選んだから金髪だし、選んだからノマドワーカーだし、選んだから一度恋を捨てたし、今もう一度恋をしている。

今日恵比寿にいたのは恵比寿に行くと決めたからだし、カレーを食べてないのはステーキを食べる、と決めたから。今月海外に行かないのは、漫画をたくさん読んでいないのは、あなたに会いに行かなかったのは、その代わりに君に会いたかったから。

すべてを掴めたら最高だけれど、私たちはきっと、キャパシティを増やさないまま全部は掴めない。でも、掴める範囲においては、私たちは実はなんだって掴める。はずなのだ。

もちろん、30歳を超えた私が、今から現役のU-20のサッカー選手になるとか、ティーンのアイドルになるとか、そういう時間を超えるみたいなことは、100%無理だと言い切ろう。けど、そうじゃなくて、たとえば世界的なコメディアンになるとか(この例は映画『JOKER』のせいだと思う)、老若男女誰しも似合いされるブランドを作るとか、そんな大きなことじゃなくても、部屋にドライフラワーをたくさん飾るとか、コーヒーは豆から挽くとか、毎日noteを書いてみるとか、朝起きたらまずは窓を開ける、とか。

私たちはそう、なんだって選べるのだ。選びさえすれば、実現に少しずつ、けれど確実に近付いてゆく。

この意味って、「だから、夢って実現できるんだよ」とかそういうことだけでもないと思ってる。いつか、いつかと思っていること。叶えたい大切そうなこと。でも、ずっと叶えていないことがもしあったら、「それは、もしかしたら本当は叶えたいと、心からは望んでいないのかもしれないよ」という知らせでもあるかもしれない。

「今を、気に入っているのから」。変えたくないから、選ばない。

そういうことも、毎日の中には隠れているんじゃないかなって。

ゴールデンレトリバー、の話から、ようここまで歩いてきたな。自分でもそう思いながら、今日も眠ろう。選ぶか、選ばないか。の話でいえば、今夜はゆっくりと眠ることを、選ぼう、私は。

いつも遊びにきてくださって、ありがとうございます。サポート、とても励まされます。