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noteを始めた理由

自分(=商品)を売り出すことが大事な個人事業主にも関わらず、これまで基本的にはメディアへの顔出しNG、何かの登壇も基本NG、SNSも匿名または限定公開でひっっっっそりとしていたし、その中ですらどんな仕事をしているのかを書くことも割と控えていたのですが、10年目を迎えいろいろと思うところありnoteを始めることにしました。そもそもあんまり表に出たくないタイプというのも大きいですが、以下の2つの理由で止めていて、その理由がなくなってきたからというのがあります。

1.世間の複業への理解が高まった

業務委託契約でいろんな会社の人事業務を引き受けていたり、そもそも人事とは関係ない仕事もいろいろとやっていたりするのですが、独立当初(2011年)は「○○さんはA社の人事だったはずなのに、全然違う仕事で紹介されているのは変だ」「C社の人事がD社の人事もやっているのはおかしい」という考えがベースだったので、顧客に迷惑をかける可能性も高いと思って露出NGにしていました。あれから月日が流れ、複数の企業でいろんな役割を引き受けることが少しずつ市民権を得てきて、世の中の認識が変わってきたなと感じています。

これは余談ですが、独立当初からワークシェアリングを主張しており、業務が人に紐づいておらずジョブディスクリプションをしっかり作成して運用方法を決めていれば、週3勤務でも問題ないはずだ、部長・課長だって役割分担できる(例:月火水と木金で分けるとか、午前午後で分ける)、二足三足の草鞋を履けるんだってよく言ってたんですが、当時は「上司が毎日いないなんてあり得ない」「一つのことに絞らず全部中途半端になるぞ」なんてよく言われていました。もちろんその指摘も一理あるというか、どっちがいいかという二元論で語る話ではないと思っているんですけど、それにしても世の中の認識は10年で随分と変わるんだなぁと思いました。

2.知識の開示は恐るるに足らずと気づけた

もう一つの理由は、自分の知識やノウハウを公開することに抵抗があったためです。自分の仕事が人事の専門知識を顧客に提供して対価を得る仕事(だと思っていた)ため、有償で提供しているものを公開するのは自分を安売りするし、そもそも取引先にも失礼なことだと思っていました。また、それとは別に、フリーランス・個人事業主としての仕事の作り方、戦い方を公開することも、無駄にライバルを増やすだけ、コモディティ化したものは値段が下がったり企業が札束で殴ってきたりするので先行者利益を取っていくのがフリーランスの戦い方だ!とも思っていたりしました。(今こうして文章にしてみると、殺伐としてて余裕がないですねw)

…なんですが、経験を積んでいくにつれて気づくことが増えてきて、そんなに頑なに隠す必要もないなぁって思うようになりました。

2-①新しい発見や発明なんてそうそうない

クラフト的に業務の物量をこなしていく中で、特定の法則・パターンに気づくこともあるかと思います。これは新しい発見だ!なんて思ったりすることもあるかとは思いますが、たいていのことは似たようなことを気づいたり考えてたりする人が他にもいるんですよね。似たような能力・感性を持っている人が似たような経験を重ねれば、そりゃ気づきも似てくるだろうということです。(もちろん業種や職種にもよるとは思いますが)こと私がやっている仕事においては、「俺だけの○○」なんてことはそんなに発生するものではないのです。

2-②理論はググればすぐ分かる

上記の経験則とは別の話として、人事の仕事をしていると組織論や心理学の理論を用いることが多いのですが、ほとんどググれば分かる話なんですよね。さらに気になれば論文や書籍読んだりすればいいわけで。そうやって調べれば分かる話なのに、なぜお仕事のご依頼があるのか?を考えると、単純な知識・ノウハウではない部分を提供価値と捉えて頂いていると言えるかなと。(この辺の話はまたどこかで書こう)

2-③知識・ノウハウがあるだけでは問題は解決しない

一番大事な気づきだったのがこれです。以前参加した勉強会であるコンサルタントの方が「ノウハウ(知識)よりエグゼクキューション(実行)が大事」とおっしゃっていたのですが、知ってたからってそれを使いこなせる人たちばかりではないんだなということが少しずつ分かってきました。例えば私の仕事術を駆け出しの同業フリーランスに教えたとしても、その人が同じことができるかというとそんなことなかった、とかですね。
それから、上述の提供価値も関係している話ですが、顧客の持つ課題というのは、その時のコンディション、置かれている環境、思考の癖、文化や風土etcといろんな変数が影響するのでどの解決策が適当かなんてわかりにくかったりするんですよね。それをなるべく一般化する、型化していくことを提供価値にしている人たちもいれば、オーダーメイドで相手に合わせたものを選んで、組み合わせたりチューニングしたりして提供していく人たちもいます。私の提供価値は後者だなぁと思うわけです。


上記のことに気づくようになってからは、いい意味で力が抜けたなーと。

隠す理由がなくなったということと、自分の思考の足跡として記録をしていきたかったもののSNSはその運用に向かないというところからnoteを始めることにしました。とはいえこれからも、頑なに拒否するのを止めただけで、引き続きひっそりと穏やかに過ごしてしていきたいとは思っています。

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