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類書から、「自分の強み」を知る

「本を出したい」と言うてるわりに、「あんまり本屋には行かないんです」と返ってくるのは、どういうギャグなのかな?と思ってしまいます。

もしかしたら、書く人になりたいだけなのかも?そういう自分がただ好きなだけなのかも?


一般的に、無名すぎる個人が商業出版をするのはハードルが高いと思われがちですが、それだけで動いているわけでもないのが出版のおもろいところです。(参考記事)


とにかく、まずしなければいけないことは企画書を作ること。そして、それを出版社の企画会議に通してもらうことが必要です。

そのとき、忙しい編集者に対して「この本で伝えたいことはコレだ!」がバチッと時短でわかるものが書けるかどうか、これがめっちゃ重要です。

書籍企画書の書き方って、そんなに複雑なものではありません(パターンもそんなにない)。一回書けばコツ掴めると思うのですが、しかしながら、

「なんか書きたいな」「こういうこと伝えたい」(ぼんやり)

している段階で、企画書を書き始めると迷走します。途中で「あれ、何が書きたいんだっけ・・・」みたいなことになって時間だけが過ぎていきます。書けたと思って送っても、延々と返事がなくボツったことを悟る数ヶ月後、みたいなことにもなりかねません。


そんなわけで、問いたいのは

「企画書書く前に、本屋さんいってみた?」ということです。

例えば、ぼんやり「こういうことが書きたいな・・・(ワクワク)」と思っていても、大抵の大事なことはこの何千年の間に言われ尽くし、古典から近年のベストセラーとなって、本屋に並んでいます。

自分が思いつくことは、大体みんなが想像ついてたり、思いつくことができることです。

では、そのような世界で、「それでも伝えたいな・・・(ワクワク)」を失わずにいられるにはどうすればいいか!

それが、本屋に行くこと、すなわち、類書を調べることです。

自分が書きたいな、伝えたいなと思っていることが、どのくらい既に伝えれているのか。

どんな著者たちがそれらを伝えているのか。それらの本はどんな売れ方をしているのか、実際売れているのか。

類書から出版の「現在地」を理解する。それが企画書づくりのまず第一歩、です。

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かくいう私も実は、類書研究は得意じゃありませんでした。遅読なのもあって、全部読まなきゃ・・みたいな変なプレッシャーあったんです。

なんだけれども、なんとかして最低10冊は読むようにしています。図書館利用、飛ばし読みもゆるしながら、近しい本と触れ合います。やっぱり20冊くらいは目を通しておくのが良いかなというのが実感です。

類書から確認すること:

・「はじめに」⇨この本がどういう目的で書かれているのか、明記されていることが多いです。

・「目次」⇨どういう構成、章立てになっているか、時に書き写したりして参考にします。

・「奥付」⇨編集者(知り合いがいないか笑)、刷り部数(初版から何回刷られているか)、発行年月日も確認します。時代の空気感も、大事です。10年前と同じような本が同じように売れるとは限りません。

もちろん、文体とか、ページ数とか書き手としてチェックする項目もあるんですけれど、ざっとこれらをつかんでおくと、ぼんやりわかってくることがあるんです。

「自分が伝えたいこと」「まだ世の中に伝わりきっていないこと」「伝え方が違う」こととかが。

それは丸ごと、自分の著者としての強みになり、自分の本のオリジナリティになります。

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また、出版社や編集者さんたちは、類書たちから、そのジャンルが売れているのか、本当にニーズがあるのかを、現場を通してグッと的確に、鋭く見抜くことができます(はずです)。

少し前までは、私自身が類書研究って「自分が伝えたいもの」との違いを探ることだ、程度の浅〜い理解をしていたのですが、そうではなかったことに最近気づきました。

類書は、版元や編集者さんたちにとっては、この企画が「売れるのか」「ニーズがあるのか」の判断材料になっています。

だから、amazonで似ている本を見つけてそれを取り上げたところで、kindle本だったり、売れていなかったりする本だと、「え」ってなります。amazonのタイトルチェックだけで自費出版本を取り上げていないか、チェックしてくださいね。

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では、どのように類書を調べるか。

地方在住の私にとっては、近くに大型書店も国立図書館のようなところもないので、オンラインとリアル書店、図書館を利用します。

amazonは、ざっと売れ筋をチェックするのに使っています。ジャンルが細かすぎて、ランキングとかもあんまり当てにならない時ありますので、丸呑みはしません。なるべく大きなカテゴリーのジャンルで、どの本が上位にきているかはチェック。

あとは、タイトルや表紙デザインの研究にも役立ちますね。目立つデザインとか惹かれるコピーとかみながら、作りたい本のイメージを掴むのにも活用できます。

田舎ですが、近くのリアル本屋を見て回るのも大きなメリットがあります。

だってさ、こんなところにも配本されているわけですから!「ここに置かれているのは基本長く広く読まれている本」と考えて良いと思います。

田舎は、スピード感はないけれど、流行ったものが長く置かれたり、じっくり売れていったりします。ずっと平積みされている本なんかがは、”こういう本が全国に広がるんだなあ”という参考にもなる。どういう本を作りたいのか、田舎の本屋を応援できるような本を作ろう!というのも、アイディアの一つですね。

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以上、参考になるかどうかわからんけれども、私が類書について考えたことです。

類書とは偉大です。パイセンたちの本があるからこそ、また新しい本をつくることができる。

そして、そうした類書たちに触れていると、あくまで本づくりは関わる人たちとの共同作業であることがはっきりと見えてきます。そこにはいつも、読者という存在がいる。

お互いがWinWinにならない本をどうして届けようと思うか、いや思うまい。

まあとにかく、企画書書けない・・と思う前に、類書を読むことは決して損のない作業です。学べるし、本ってやっぱ楽しいし、他の人の本読んで、ワクワクする気持ちをエネルギーにしていってほしいです。

というわけで後で本屋に行ってこよう。








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