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映画『四月になれば彼女は』を見に行った

TOHOウェンズディの朝。
若い頃から恋愛映画は興味がなかった(そんな幸せな話あると思う?とひねくれた考えだった)が、佐藤健さん、長澤まさみさん、森七菜さんの役柄の関係が面白そうだなと、そして休職中の身であるため、気持ちの変化に対する新たな突破口が見つかるかもしれないとの期待もあり見に行くことに。
多少の人混みにも慣れ、映画館に入るのも抵抗がなくなってきていた。

『愛を終わらせない方法はひとつしかない。それは手に入れないことだ。』
この言葉がこの映画最大のコンセプトとなっていた。え?どう言うこと??
うつ病による思考のどっ散らかりも落ち着いてきていたが、恋愛から遠ざかって何年も経っているため、初めは理解できるのか不安だった。

途中までのあらすじ

  • 結婚を控えていた精神科医の藤代俊と獣医師の坂本弥生。一緒に居る時間が当たり前になり、愛情表現も面倒になり、お互いのことに無関心になっていると弥生は感じていた。

  • そんな中、藤代俊が大学時代に所属していた同じ写真部の元カノ(伊与田春)から何度か手紙が届く。ある理由から二人は別れてしまうのだが、あの頃に二人で見たかった海外の各所へ旅をし、写真に収めている内容だった。

  • 藤代は弥生に元カノ春の話、時々来る手紙の内容も話しており、弥生もそれを興味深く聞いていた。藤代にとっては順調に結婚準備を進めていたつもりだったが、ある日突然弥生が姿を消してしまう。

  • 理由が分からず混乱する藤代。弥生は以前にも結婚直前で逃げ出し、精神科医である藤代が助けた経緯がある。

満開の時間は儚く短い

さて、ここまでで何か想像できるだろうか。
若い頃「恋愛は両想いになったら、不幸も始まるよね~」なんて、小生意気な話で友人と盛り上がっていた頃を思い出した。(笑)
これが大人の表現では『愛を終わらせない方法はひとつしかない。それは手に入れないことだ。』になるのかもしれない。
いつまでも愛し愛されたいとの思いは皆同じだが、思いが成就してもしなくても、失う不安や怖さから逃れるには「手に入れない(無関心を装ったり、冷たくしてしまったり、自ら手を引こうとしてみたり)」ことを選んでしまう人の弱さや後悔がこの映画にしっかり映し出されていた。
メンタルリハビリ中の私は、弥生のセリフや春の手紙に昔の恋愛を重ね、何度も涙が出てしまった。

映画終了後、原作小説を買いに

映画終了後、原作を直ぐに読みたくなって購入し、ランチへ。
世間は春休みで平日ながら飲食店はすでに混雑し、お店によっては行列ができはじめていた。さすがにここで本は読めないなぁと、やっと食欲が回復してきたこともあり、ここはランチに集中し、家に帰って読むことに。
原作には映画で登場しない人物や、異なる別の背景も書かれており、より深く登場人物の感情の描写がされていた。

わたしは愛したときに、はじめて愛された。
生きている限り、愛は離れていく。避けがたく、そのときは訪れる。けれども、その愛の瞬間が、いまある生に輪郭を与えてくれる。(中略)失ったものを取り戻すことはできないのだとしても、まだまだふたりのあいだに残っていると信じることができるもの、そのかけらをひとつひとつ拾い集める。

『四月になれば彼女は』川村元気 文春文庫より

この作品を見て、ちょっと重いなぁと感じるかもしれない。
もっとフランクに考えれば?とも思う方も多いと思う。でも、そのフランクさは本当の「愛(LOVE)」ではなく「好き(LIKE)」なのではないかと思う。「愛」は文字通り、「相手の心をまるごと受け入れる」を意味し、重いのも納得できる。
この映画はただの好いた惚れたの恋愛ものにとどまらず、誰もが失うものがあることの怖さをどう解釈し自分にとって納得できる感情に落とし込むかを、考えさせてくれるものだと思った。

みなさんも「あの時、実はね……〇〇だったんだよ」と思い出される出来事、あるのではないでしょうか。

映画、小説ともにお勧めですよ。
機会があれば、ぜひ見てみてくださいね。

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