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利益率の雄・オービックに学ぶ【儲かる事業の作り方】

僕は今、リディラバ事業開発チームで働いているのですが、昨日は採用活動の一環として、ミートアップを開催しました。

当たり前のことなのですが、採用活動をしているのは、チームメンバーを募集しているからで、チームメンバーを募集しているのは、より大きなチームになって、今よりも、もっと多くのプロジェクトをして、もっと多くの価値を社会に届けたいと思っているからです。

ただ、メンバーを増やして、社会インパクトだけを追求してればいいのか、と言われると、そうは考えていなくて、

・社会への貢献。

・メンバーひとりひとりの働く中での充足感。

・給与や福利厚生による生活の安定。

この三箇条(?)を成り立たせるチームを作りたいと思っています。
そして三箇条の前提になるのは、これまた当たり前のことなのかもしれないのですが、

・社会に貢献出来て、
・メンバーが充足感を感じられて、
・給与や福利厚生の原資となる利益を上げられる

事業をチームで実施しているという状況です。

そういう事業を創り上げないことには、チームや会社の持続可能性を担保していくのは相当に難しいと思っていて、まだまだ、改善の余地がある、というか、できることだらけじゃないか、という状況です。

オラ、持続可能な事業を作りたいんだ・・・。

ということで、今週は、参考になるような他社事例はないか、と思い、オービックを試しに調べてみました。そしたら、思った以上に面白かったので、以下ご紹介します。

まず、なんでそもそもオービックを調べようと思ったの、という理由は、会社の規模で言えばNECや富士通に比べると非常に小さいながら、圧倒的な営業利益率を上げ続けていることを、ちょくちょく記事などで見ていたからです。

ちなみに、直近の決算期の営業利益率は、NEC 4.1%、富士通 5.4%に対してオービックは、53.7%。時価総額は、売上3兆円のNECが1兆5,000億なのに対し、売上800億円のオービックが2兆3,000億円というジャイアントキリングが起きている状況。(2020年11月28日時点)

利益、利益、利益。利益をしっかりと上げられる強い事業を作りたい。その一心でオービックを調べてみたという次第です。

ネットで「オービック 利益率 分析」とかで検索しながら、ざざっとリサーチをしていったのですが、まずもって結論から言うと、

・NECや富士通などの大手Slerが顧客とした大企業を事業のスコープから外して、中堅中小企業を顧客とした事業ドメイン設定の秀逸さ。

・「会計」システムという顧客にとって「必須のもの」を商品の根幹に据えた商品設計の素晴らしさ。顧客の困り事が、真に迫る&根深いやつ

・時代の変化、テクノロジーの発展などに応じて商品の改善を続けるための内製化の徹底。システム構築にあたっての下請けへの発注もなければ、営業代行を使った代販システムもないって、本当にSlerですか?

・「営業がわけわからないこと言ってるよ」「エンジニアって本当頭かてぇな」みたいな営業とエンジニアの乖離を減らすためのジョブローテーション。文系理系関係なし。営業職、エンジニア職関係なしの一括採用。僕の従兄がオービックで働いていたのですが、いっっっっさいプログラミングとか分からないのに、エンジニアとして配属されたのは、そういうことだったのか。。。

・そして、驚くべきは上記一連の組織的ケイパビリティを担保していくための「新卒一括採用のみ」という人事戦略。NECよりも時価総額が大きな会社が、中途採用を行ってないってヤバないですか・・・???

という感じで、ものすごく高い営業利益率を上げる裏には、他社と全然違う、高い付加価値を実現するための事業戦略がありました。

ちなみに平均給与は900万円をこえていて、離職率は低く、このご時世でも「家族主義」を大切にしているようです。

クライアントは中小中堅企業がメイン。大企業のような豊富なリソースがなく、システムの専門部隊を抱えることができない顧客の、困りごとを解決する。そして、利益もしっかりもらう。採用ではやんちゃなやつを取るそうです。顧客となる中小企業のオヤジと楽しくしゃべることができる人じゃないとダメだから。

商談の場面とか思い浮かべるに、値交渉とかえげつなそうだけど、そのオヤジたちの企業の課題解決、システムによる生産性の向上は、ばっちり地域の雇用に繋がるだろうし、社会への貢献と、事業性の両立が、できている感じがします。

言うは易く行うは難し・・・。

これら一連のフローを構築するには、並々ならぬ思考と実践があったと推察するのですが、それでもやっぱり、こういう、独自の哲学を持つチームを作っていきたいと強く感じました。

今度、従兄に、本当のところどうなの???と聞いてみようと思います。

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<参考にした記事一覧>
※会員登録しないと読めないのがたくさん・・・(すいません)

【時価総額1.9兆円、営業利益率51%超。オービック「採用は新卒のみ」の歴史的必然/BIZ HINT】

https://bizhint.jp/report/448494

オービックはこの後「会計システムの自社開発」を始めたことで状況が変わります。ここからは、 オービック成功のもう一つのキーワード「会計システムの自社開発と販売」 に触れていきます。まず、顧客の会計システムを開発するというのはとても難易度が高いです。というのも、会計は顧客の業務フローに密接に関わる根幹部分だからです。仕訳に関わる処理は専門的な知識が必須なうえに、業界特有の取引慣行も存在しており、 会計に加えて「業界」というドメイン知識に精通していなければならない のです。単に「コンピュータが好きです」では務まらない世界で、むしろ顧客から要望を聞き出す 「要件定義」に価値が宿る分野 です。会計を組み込んだ業務システムを開発するためには何より、自社内に顧客の業務を深く理解している社員がいる必要があります。痒い所に手が届く様なシステムを開発するにはプログラミングの能力ではなく、 顧客の要望を聞き出して、期日までに製品を納入する道筋を立てるという、高度なマネジメント能力が要求される からです。そしてそれを 安定して、継続して使い続けてもらおうとすると、さらに難易度が上がります。 顧客の業務内容が他の社員にシェアされ、正確に引き継がれていなくてはならないからです。担当者が頻繁に変わっていては、顧客業界への理解が深まらず、結果として顧客からの信頼を失うことになりかねません。ここで、「新卒社員の定着率の高さ」が効いてきます。 現在のオービックの社風は「家族主義」とも言われますが、新卒採用に注力しはじめた70年代以降、社員教育を手厚く行い、育成にしっかりとコストをかけ、社員の働きやすさ、定着に重きを置いてきました。 すぐに社員が辞めてしまう会社では、顧客情報は引き継がれない、社内にノウハウが溜まらないからです。

【営業利益率5割超のオービック、逆張り経営の秘密/日経新聞】

19年3月期は売上高742億円、営業利益は379億円で前年同期から増収増益。営業利益は25期連続増加を達成した。25年前の1994年3月期の営業利益率は33.9%。その時点で既に3割を超えていたが、その後も増益を続け19年3月期には営業利益率は51.2%に。20年3月期も増収増益を見込む。

【オービック、「10年で株価10倍」の実力/日経】

システム会社は一般に、収益や利益率が季節に応じて変動しやすい。受注案件が集中する年度末の業務量をこなせるよう開発人員を配置するため、閑散期になると人員が余剰となり稼働率が低下してしまう。収益計画を立てづらかったり、ムダなコストが発生したりしていた。システム会社にとって共通の悩みだった。オービックは数年前から、受注前に顧客と綿密にやり取りしてシステムの仕様を詳細に詰めてから受注する方式を本格展開してきた。顧客に納期短縮のメリットを訴えながら、年間を通じた業務量の平準化につなげた。この取り組みにより、開発人員など経営資源を効率よく配分し、コスト低減につなげることができた。直近2年間は営業利益が2ケタ増と大幅に伸びている。収益の季節変動が小さくなっているのは、業績のブレを示す「変動係数」でみると分かりやすい。19年3月期の四半期ごとの売上高の標準偏差を平均値で割り、100倍して「変動係数」を算出してみる。NTTデータが8%、野村総研が5%、伊藤忠テクノソリューションズが21%だったのに対し、オービックは3%。業績のブレが非常に小さいことが分かる。

【利益率51.2%、あの超優良ベンダーがSIerに「落ちぶれなかった」理由/日経XTECH】

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