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僕は、「魔王」を倒す冒険者たちを送り出す酒場を創る。

2018年3月7日から広島県福山市でOPENさせた飲食店「暮らしの台所 あがりこぐち」。多くの方々から「飲食店をやるんだ!!なんで!?」「意外だ!」という声をいただいています。確かに、飲食店を経営したこともないですし、わからないことだらけなので、日々、改善をしながら、お客様と向き合わせていただいております。

さて、弊社が「暮らしの台所 あがりこぐち」を始めて、この場所がどのような機能・役割をもち、この社会に浸透していくのかをお話したいと思います。

大きく分けて3つになります。
(1)魔王を倒す冒険者たちの酒場としての機能
(2)知的好奇心の爆発と相互学習の肥沃な土壌を目指す
(3)「味」「価格」の天秤に「ストーリージェニック」という評価軸

本日は、魔王を倒す冒険者たちの酒場としての機能についてお話します。

魔王を倒す冒険者たちの酒場として

僕は2015年、株式会社Ridilover(代表 安部敏樹)というソーシャルベンチャー企業でインターンとしてお仕事をさせていただきました。ざっくり、Ridiloverの仕事内容を説明すると、「社会課題の現場を旅行と手段を用いて、足を運ぶきっかけを作る」ためのツアー企画をする会社です。他にも教育旅行や地方自治体との共同事業など多くの事業展開をしているので、ぜひ、HPをご覧ください。
RIdiloverのサイトはコチラから→http://ridilover.jp/

このRIdiloverでの仕事を通じて、多くの社会課題に向き合う方々とお会いしてきました。Riloverをはじめとするソーシャルベンチャー企業はもちろんのことですが、NPO法人や大企業や地方自治体など、さまざまな組織で働く人たちと出会い、彼らが本気で社会課題を解決しようと、まさに生命を燃やして、取り組んでいる姿を見てきました。

その姿は、輝かしく、かっこよく、すごく憧れの存在でした。彼らは人よりも優秀であり、学ぶ意欲もあり、なにより愚直に前を向いていくような人たちです。

ですが、僕の中で、不安な点がありました。
「この人たちが死んだら、誰が社会を変えてくれるのだろう」
社会のために、自分が解決したい課題のために、圧倒的に働くという人たちが、もし、過労で倒れてしまったら?体調不良で職場復帰が困難になってしまったら?誰が、社会課題を解決してくれるのでしょうか?

「君がやればいいじゃないか?」

そう言われるときもあります。ですが、コンビニの数くらい大小を合わせれば社会課題と言われるモノが存在している中で、僕1人で社会全体の構造を変え、社会課題を解決することは到底無理です。解決する前に僕が寿命を迎えて死にます。それよりかは、優秀で、課題解決に対して情熱を燃やしている人たちが多くいて、彼らが全力で課題に立ち向かえるほうが、課題解決スピードは早いです。

そして、ただシンプルに全力で社会課題に向き合っている人が疲れ・ストレスなどを抱え、人間関係に悩み、誰かに助けを求めることもなく、静かにその情熱の炎が消えていくのは個人的に我慢できません。

では、僕には何ができるのか?という話で、社会課題を解決したい!と思っている挑戦者や今、こんなことを実践している!と思っている先駆者たちが集まる酒場を作ればいい!と思いました。その酒場が「暮らしの台所 あがりこぐち」です。

社会課題を人々を苦しめる魔王。そして、社会課題を解決しに(=魔王を倒す)行く人々が冒険者というように僕は設定してます。(元々、RPGが大好きなので、こういう設定にすぐなりました)

みなさんも一度くらいはゲームをされたと思います。その中で魔王を倒すために主人公たち冒険者一向は世界中を旅して、色々な人たちと出会い、力をつけて、魔王に挑み、倒し、世界に平和をもたらすというのが、一般的な王道RPGです。これは現代社会も同じことだと思っています。先に述べたように、社会課題を解決するために、様々な人から助けられながら解決するための事業に全力投球している人がいるわけです。かっこいい主人公たちです。

では、この主人公たちが危機に瀕している時に助けるのは誰でしょう?ゲームの世界では、宿屋で体力を回復し、武器屋で強力な武器を調達し、情報屋から魔王の情報を聴き出します。ゲームの世界ではあまりパッとしないキャラクターたち(通称:モブキャラ)たちが、冒険者一向をサラッと支援して、彼らが魔王を倒す手助けをしているわけです。

現代に置き換えると、最近では、ソーシャルベンチャー企業をはじめ、社会課題解決にむけて事業を進める組織に対しての援助が多くなってきました。(まだまだ足りてないけど)例えば、ベンチャーキャピタルからの出資や行政からの補助金、人材会社からの優秀な人材の紹介など、課題に関する情報を編集してわかりやすくしているメディアんど。いわゆる、武器屋と紹介屋、情報屋の機能をもった支援組織が多くなりました。

支援が徐々に増えてきて、必要な支援を受け、魔王を倒す冒険者が多く旅に出る世の中になってきていると肌で感じています。ですが、まだ、足りないと思う機能があります。それが「休息」機能です。いわゆる宿屋や飲食屋のような場所です。

多忙な毎日の中で、どうしても時間と成果に追われてしまう人々は課題解決に奔走する人だけではなく、普通にお仕事をしている人たちも同じです。(そもそも「仕事」自体が社会的に意義があり、この世界全体を動かしている必要な役割です。)彼らが倒れてしまったら、この世界をよくすることはできず、魔王に蝕まれて、世界自体がゲームオーバーです。
誰が見たいんですか、そんなバットエンド。

「暮らしの台所 あがりこぐち」は、社会課題を解決しようとしている人・これから立ち上がろうと思っている人たちが集まり、休息やお互いに対話ができる場になるように設計をしています。

彼らは課題と向き合い、傷つき、それでも立ち向かおうとするれっきとした勇者たちです。彼らを支えるために空間くらいあってもいいじゃないですか。この社会全体で、小さくとも彼らを応援できる場所があってもいいじゃないですか。

また、「暮らしの台所 あがりこぐち」にそういった勇者一行が訪れ始めると、より魔王を倒す力が集まると確信しています。
ドラゴンクエストというゲームに「ルイーダの酒場」という酒場が登場します。その酒場は「出会いと別れの酒場」と説明されています。どういった場所かというと、主人公たちがルイーダの酒場を訪れ、酒場にいる凄腕たちを紹介してもらい、主人公たちと一緒に魔王を倒しにいくという人材紹介の場所になっています。あがりこぐちに多くの冒険者・勇者たちが集まり、お互いに対話を行い、ともに歩んで行くような話が進めば、より魔王(=社会課題)を倒す可能性が進むわけです。
そのために、僕自身がきてくださる方々の情報をプロファイルする必要があります。よりよい出会いを作るためにはその人自身のことを僕が理解しなければなりません。誰がどういう思考と能力を持ち、どのような社会を作りたいと思っているのか?そして、誰と誰を繋ぎ合わせれば、シナジーが生まれ、より社会を前進させることができるのか?を常に考えながら、接客をさせていただいています。あがりこぐちでの出会いによって、"何か"が生まれ、それが社会に還元させるような仕組みを創ってくのです。
すでに、数組のマッチングに成功しており、就職や新しいプロジェクトの立ち上げに繋がっています。

「暮らしの台所 あがりこぐち」は冒険者たちの休息の地であり、また、仲間を集める場所でもあります。そのための場の設計と土壌開発に邁進している最中です。とはいえ、この場に来てくださったお客様に一番楽しんでいただくことが、目指す未来に近くなることが事実としてありますので、メニューの改善や居心地の良い空間作りに努めております。

この場所から、新しい冒険者が生まれ、先輩冒険者たちと一緒に魔王を倒しに旅に出る瞬間をこの目で見届けたいと思います。そして、彼らがまた疲れ果てたときに帰ってくる場所になり、彼らが喜びながら魔王を倒した報告をしてくれる場所になるように精進していく次第です。

さぁ、飲みながら魔王を倒す話をしよう。


暮らしの台所 あがりこぐち
営業時間:17時〜24時
定休日 :日曜日
店舗住所:広島県福山市笠岡町3-7(城下横丁内)



記事を読んでいただきありがとうございます。ただいまお店は長期休業中のため、当店のレモンサワーを封印しております。店舗継続のため、もし記事を面白いと思っていただけましたら、サポートをしていただけると嬉しいです。