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そもそもなぜトレーナーになったのか? - 運動指導者の可能性とビジョン-」野田が赤裸々に過去を語るシリーズ③

今回は、少し時間を遡って、そもそもなぜトレーナーになったのか?をお話しします。

ちょっと変な話ですが、私がトレーナーになった理由は、トレーナーになる前後で異なります。

トレーナー以前:「とりあえず食いつないでいかないといけないから」
トレーナー以後:「やってみるとトレーナーにめっちゃ可能性を感じたから」

つまり、どちらかというと肉体と運動が取り柄だったので、ひもじい生活をとりあえずなんとかしようとして始めたのが、トレーニング指導であったのです。

もともと人に何か教えるのは好きで、大学生時代に家庭教師をやったり、大学院時代は遊びでバック転を教えており、「バック転講座」だけでそこそこお小遣い稼ぎをしていた時期もありました。
なので実はトレーナーの芽はあった?わけです。

幼い頃を振り返ると、わたしが筋トレを始めたのは小学3年生のとき。
転校生だった私は、転入したクラスで微妙にいじめられた(女子に)のがきっかけで、「強くなりたい!」と思い、空手をはじめ、なんとなく筋トレも始めたんです。
マゾっ気があったのか?気づけば毎日腕立て100回と腹筋100回、背筋200回を毎日こなすようになっていました。(もちろん、今から見ればやりすぎだし効果的なトレーニングではないし、そもそも腹筋・背筋というトレーニングは無く、シットアップやバックエクステンションとかにあたるものです。)

今でも鮮明に覚えているのは、おじいちゃんの部屋に行っていきなり腕立て100回を披露し、ごほうびに1000円を貰えたこと。
ようはおじいちゃんにせびっただけなのですが、初めて自分の「肉体労働」で対価(?)を得た経験だったので、なんとも言えない喜びがありました(ただのドーバミンの効果かもしれませんw)。


そんなわけで、素質があると思っていた(?)、小学三年生の頃からなんとなくやっていた筋トレを教えて、とりあえず稼いでみよう、と思ったわけです。
大学で生物をやっていたものの、スポーツや身体科学を学んでいたわけではなかったので、トレーナーとしてはほとんど素人。それこそ、趣味で筋トレやっている人のくらいのレベルからスタートしたわけです。

トレーナーとしての活動を始めると、やばい、自分が全然何も知らない!、ということに気付きます。
骨格系や筋系といった身体の構造、筋生理や機能解剖学、ただ効果的なトレーニングを教えるだけでも勉強しないといけないことが沢山あります。
また、ただ筋肉を鍛えればいい、というわけではないこともすぐに知ることになります。
ほとんどの方が、不良姿勢、腰痛や肩こり、関節の痛みなどの不調を抱えていて、むしろそれを改善してあげる方が重要じゃない?
そのためには骨格系だけじゃなくて神経の知識も必要だし、施術や柔道整復の技術もいるやんけ、やべえ勉強しなきゃ〜!ってことで、毎日解剖学書を読み漁る生活が始まったのです。

人体について勉強するのは、とても興味深いことばかりでした。
大学で魚類や無脊椎動物を扱っていたので、それらの構造上の共通点や違い、
え、肩こりって肩が凝ってないじゃん?という基本的な発見から、
え、頭のてっぺんと足の裏って繋がってるの?とか
え、こんなに医学って腰痛すら治せてないの?とか
いろいろなことが分かるわけです。

また、特に機能解剖やトレーニング学を勉強すると、
え、よくやってるトレーニングって、実は非効率じゃない?とか
え、そもそもBIG3ってかぶってるしBIG3じゃ無くない?とか
え、あの偉い人が提唱してる理論って根本的に間違ってない?とか
腕立てスクワットひとつとっても、教科書のフォームが数十年間間違ったままじゃない?とか、
そもそもトレーニングの世界はサイエンスになってない。経験則と権威がものをいう、100年前の医学の世界じゃないか…
とかとか、いろんな矛盾に気づくわけです。

今でこそ私は栄養学にフォーカスして、「世間一般の知識は誤解や嘘が多すぎる」と批判してますが、トレーニングの世界なんてもっと酷いですからねw
あのムキムキマッチョのYoutuberも,あのど偉い方も、身体の構造はおろか、そもそも筋肉の構造も知らずに筋トレを教えてることとかザラにありますからね。
特にYoutubeとか酷くて「こういうフォームの方が効いた感じある」とか平気で言って
ますけど、「いや、トレーニングに効く効かないの"感じ"とか無いから…。感覚じゃ無くて解剖学的に効く効かないの”動き”しかないから!」と言いたくなりますよ。

例えばBIG3のスクワットとデッドリフトがそもそもおかしいし、ベントオーバーロウも存在価値よくわからないし、懸垂もラットプルダウンもスタートポジションからおかしい…トレーニングの一般書は突っ込みどころ満載です。

また、効率が悪い、ならまだしも、むしろやった方が体に悪いトレーニングというのも存在します。
え、それ絶対将来腰痛になるよ…とか、膝壊れて走れなくなっちゃうよ…とか。
例えば靴を履いてのランニングは体に悪いことはよく知られていますね。
本当に健康のことを考えれば、ランニングをやめさせて別のトレーニングでパフォーマンス向上を狙った方がいいわけです。
「ランニングして汗かいて偉いですね」と当たり障りのないことを言うより、「できるだけ都内で走る時間は減らして、その代わりに一生走ることを楽しむためのトレーニングを提案する」ことこそがプロフェッショナルの仕事と言えるのではないでしょうか。

…おっとっと…。
熱くなるとトレーニングだけで1日語れるのでこの辺でやめておきますが、とにかく、フィットネスの世界というのは、権威と思い込みによるバイアスが充満していて、めちゃくちゃ矛盾した理論や理屈ばかりで、ほとんどのプレーヤーが思考停止した世界なんだ、ということが初めてわかったわけです。

そう気付いてから、私はこの世界で生きることに俄然やる気が湧いてきました。
後参者でも勝負できる可能性が見えてきたし、なにより自分が世界に貢献するためのチャンスが貰えた、と思ったのです。
「多くの人が間違ったトレーニングや食事の知識で健康を害しているし、社会の生産性が下がっている」
「ほとんどのトレーナーがちゃんと勉強していない、思考停止している」
「この業界でサイエンスの素養を生かせば、多くの人を救えるし、そして自分も圧倒的に差別化できる」
そう確信してからは、世の中の常識に意を唱え挑戦するような態度でマーケティングや自己ブランディングをしていきました。

「あなたのスクワット、絶対間違ってます」
「某大手ジムの提案するダイエット食で健康を害してませんか?」
「ロカボは愚の骨頂。炭水化物こそ食べなければなりません」
といったような感じで。このテイストは今でもなおそうですよね笑

その挑発的な主張と東大卒、という学歴のおかげで目立つことができて、刺さる人には刺さり、質の高いお客さんに恵まれていったと思います。

それ以降、どのように自己ブランディングを活律してジムの開業に至ったかは次回に譲ります。


これまでをまとめると、実は私は何か想いがあってトレーナーをはじめたのでは無く、最初はなんとなく、というか仕方なく、だった。
でも首を突っ込んでみると、そこには可能性の海が広がっていた。

正しい運動と栄養で人を健康にできる、といえば当たり前だしそれは陳腐ですが、
そもそも今現時点で、「正しくない運動と栄養で健康を害している」人が大勢いて、それを直ちに救うことができる。
それだけで、めちゃくちゃ価値があることだと思うんですよ。
例えば、炭水化物の構造と分類を理解して、「ロカボ」と言うのは不健康の骨頂なんですよ!ということが説得できれば、その人は一生アホなマーケティングに騙されてお金と健康を浪費することがなくなるのです。
多くの人が勉強してなくて上辺だけの知識しかないから、ちょっと「ちゃんと勉強」すれば、人々の生活にかなりのインパクトを与えることができる。

しかも、それは「トレーナーだからこそできる」役割。
多くの人は、不調が顕在化するまで病院にはいかないし、医者は病気を予防するためのアドバイスなんかしてくれないからです。
だってお医者さん、喫煙者に禁煙を進めることもしないんですよ(ちゃんとエビデンスがあります)?
そもそも現在の医学には「栄養学」は含まれていません。
興味も知識も利益もないのに、どうして正しい栄養指導が望めるでしょうか?

「予防医学」という言葉が流行って久しいですが、それって誰が実践するの?

学校?→授業でまともに効いたことがないしそもそも給食がクソだよね
病院?→構造的に予防に興味ないし、薬もらったらデフレスパイラルの始まり
テレビ?→企業から金出された情報しかないよね
ネット?→PV目的のキュレーションメディアなんてもはや誰も信用してないよね
○ザップ?→みんな超信頼してていうこと聞く!でも嘘だし健康とは真逆だよね…

ってなわけで、実際に一般の人の生活に触れ、おんなじ目線で話し、場合によっては家族にも言えないことを相談される、密にコミュニケーションが取れる運動指導者こそ、真に生活介入と改善ができる存在なのです。ってか、我々しか彼らを救える人はいないわけです。

これが、私が「真の健康指導者」を目指した理由です。
トレーナーを名乗るようになった理由です。

もちろん、全ての運動指導者がそのような役割を果たせるとは、微塵も思っていません。
むしろ、その大部分は、不勉強のせいでお客様を騙し、トレーニングで追い込むことやカウントを取ることだけで時給1万円という高単価を獲得し、本質的な教育をしないことで不要にリピートを増やし、自分だけが利益を伸ばしてお客様の人生はいっこうに変わらない、そんな人ばかりだと思います。悪意とか善意とかでは無く、不勉強だと仕組み的にそうなるのです。
人々を健康に導いて自律させることができる、それが許されるのは。「正しい努力」を積んだ者だと思っています。

これが、私が「エビデンスに基づく健康指導」を追求している理由です。


運動指導者こそが、真に人々を健康に導くことができる、
その想いは、今でも変わっていません。
私たちこそが、今この瞬間から人々を健康に導ける唯一の存在、だと本当に思っています。


日本全国、一人暮らしの老人は増えており、逼迫する病床を埋める方々もほとんどが生活習慣病です。介護者の不足が当たり前となり、老人が老人同士で介護しなければならない老老介護の問題が顕在化しつつあります。
そんな中、トレーナーは飽和どころかまだまだ不足してます。
一家に一人トレーナーが必要だし、いやむしろ、国民みなトレーナーとしての教養がないと日本が破綻するのは目に見えてます。


だから、ぼくはたった一人のジムトレーナー時代から、このようなビジョンを掲げて活動していました。
「自らの 肢で立って よく働き 
 学び遊んでよく食べ眠る そんな100歳溢れる社会」

働くセンティネリアンが溢れる世の中が実現できなければ、社会は破綻するも同然です。
そのために、正しい運動と食事で心身の健康を支え、自分の脚で立って、考え学び続ける人たちを増やさないといけません。
自分の足で立って「自立」することで初めて「自律」が生まれるのです。


その理想像の実現のために、このようなミッションステートメントを行っています。

1. Be a Hero.

正しい健康の知恵と技術を探究し、お客様を幸福と健康に導くリーダーであり続けます。
2. Create Heros.

全てのお客様を健康指導者に。大切な家族や友人を守る、社会のヒーローを育成します。
3. Make Difference.

お客様の行動を変え、価値観を変え、世界を塗り替えていく。たとえ僅かでも、社会を一歩ずつより良い方向へ。

いわゆる"トレーナー"としての活動が少なくなって、最近はあまりこれらを公に使うことはなくなっていましが、今見てもわたしは、この通りの使命感を持って、ブレることなく突き進んでいるのだな、と実感します。


ビジョン、それに続くミッションの他に、大切にしている価値観であるValues、指導方針としてのCredoも定めていましたので、よかったら下記資料も参考にしてみてください。

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私のビジョン、
「自らの 肢で立って よく働き 
 学び遊んでよく食べ眠る そんな100歳溢れる社会」
には、皆が学び続けて人生を謳歌する、という目標も含まれています。

自律して働き、学び続けることを重視する理由は、現状が全くそうはなっていないからです。

身の回りの中年者・高齢者を見てみてください。
60超えたら定年を楽しみにして、80くらいになれば、あとは運任せで心臓病か癌で死ぬか…「歳取ってるからもうムリ」よ…

暦上の年齢と生物学上の年齢は変えられると信じ、社会のために100歳まで働き続けよう、と考えている方はごく一部なのではないでしょうか?

私はその原因の一つに、無知というのもあると思うのです。

人が病気になって死んだり、動けなくなる要因のナンバーワンは食生活です。
そのことを知らないから、自分が病気で死ぬのは当たり前、とか運で決まるとか考えてしまい、自分で学んで何かを改善しようと思うことができず、病院や薬に頼ってしまうのではないでしょうか。

私たちが日々の仕事の中で行う食事指導には、そのようなマインドセットを変え、一人一人がより自分の人生に責任を持つ社会に変えていける力があるんじゃないでしょうか。

わたしはそう考えてやみません。
だから今日も、学んで考え働き続けています。


次回:野田が赤裸々に過去を語るシリーズ④ 「トレーナーからジム開業までの道程」


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