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飼育下のイナゴを捕食しに来たムカデ


以前に捕獲したマメハンミョウはまだ生存している。
餌は自宅ビオトープで増やしたイボクサやカラスノエンドウ、近所の葛などを与えているが、マメハンミョウの名の通りにマメ科のカラスノエンドウや葛を好んで食べる様子がよく見られる。

クズを食べるマメハンミョウ

野外ではマメハンミョウが幼虫時代に宿主ホストとするイナゴ(の卵鞘)が数多く存在する水田周辺でよく見られ、その中でもクサネム等のマメ科水田雑草が生えている場所に群れて葉を摂食しているシーンが多く観察されている。
基本的に群れで食草に訪れるため、こうした地域で大豆を栽培すると凄まじい食害を受けるのだという。

飼育個体の雌雄は不明だったが、この記事を書く段階になって判別方法を調べた所、どうやら触角の形状が雌雄で異なるとの事だった。(この画像では不鮮明なので後日に再確認をする)
体型が細い個体だけしか飼育していないため、オスのみである可能性が高く繁殖は望み薄だが、自分はマメハンミョウの飼育そのものが初めてであるため、今回は翌年以降に繁殖に挑戦した際の練習として飼育をしている。


同所で捕獲したイナゴは何匹も産卵をしている。本日だけで5つの卵鞘が回収できた。

イナゴの卵鞘

卵鞘は硬化したコーキング剤を思わせる質感で、他の直翅目の卵鞘のように断熱性能が高い事が分かる。構造としてはカマキリの卵のように細かいスポンジ状、または発泡スチロール状となっている。

なんとなくナッツや秋の菓子を思わせる色合いをしており、かつてバッタの飼育をしていた幼少期にはこの卵鞘から秋の侘び寂びを感じた事を思い出した。


そして別日にも5つの卵鞘を回収した。
泥を落とそうと水洗いしてみたが、卵鞘作りの際に絡んで硬化した雑草の根も相まって、落花生そのものに見えてしまう。

水に浮かぶイナゴの卵鞘

これは卵鞘を作るほぼ全てのバッタに言える事だが、前述の通り卵鞘は構造が発泡スチロール状であるため、洪水で流されても水に浮く事ができる。
特にイナゴは元々、氾濫原のような環境に適応して生きていたために、卵が洪水で流されてもどこかに漂着して世代を繋ぐ事ができていた面も大きいのだろう。
そうした理由もあって、氾濫原が開発されて作られた水田のような環境はイナゴにとっても好都合である部分が大きい。

また、自分が幼い頃はこのように卵鞘が水に浮く事を利用し、飼育に使用した土を水に沈める事で土塊と卵鞘を分離していた。





イナゴはガレージにてプラケースを倒して飼育を行なっていたが、その匂いを嗅ぎつけたのか赤脚レッドレッグのトビズムカデがケースの蓋越しにイナゴを捕食しようと躍起になっていた。

ムカデはライトを照らしても意に介する事なく蓋の網目に噛みつきを繰り返していた。

この個体はイナゴ生体の匂いを頼りにここに執着しているのだろうか、それとも糞の匂いを頼りにしているのだろうか。
ここまで近づいた後は動きに反応しているような様子も見受けられる。

それはともあれ、申し訳ないがこのムカデには裏山に帰ってもらう事となった。



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