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飼育下にてセアカオサムシ終齢幼虫を確認



2023/04/29
セアカオサムシ幼虫が終齢となった。
地上に現れたのがこの日だったので、恐らくは昨日や一昨日には脱皮を完了させていたのだろう。

2023/04/29撮影
セアカオサムシ終齢(3齢)幼虫


セアカオサムシ終齢幼虫と
ペットボトルキャップ


凄まじい成長速度だ。
何せこの個体が孵化したのは2023/04/18なので、10日で終齢幼虫にまで成長したものと思われる。

2023/04/18撮影
孵化目前のセアカオサムシ卵
2023/04/18撮影
孵化直後のセアカオサムシ1齢幼虫


この虫は研究史において繁殖難易度が非常に高いとされてきた虫で、昭和から現在に至るまで数多くの愛好家に採集された種であるにも関わらず、終齢幼虫にまで成長させた報告は公式、非公式共に含めても片手で数えられるほどしか存在しない…ものと思われる。
(オサムシ類は標本を目的とした採集が多いため、捕獲してすぐに薬品で〆られるケースが基本である事も飼育、生態情報の少なさに拍車をかけている気もする)


所有する日本産オサムシ図説を読む限り、杉江・藤原(1981)によりゴミムシの成虫を餌として3齢まで成長させた観察例の報告がある。
これが自分の唯一把握している公式記録だ。
非公式に関しては、ここ数年の間にいくつかの飼育者が採卵、孵化、加齢にまで至っているが、蛹以降への成長は一切確認されていない。
蛹以降の観察が行えない理由としては、この虫が専食する餌を与えられていない事によるものなのではないかと考えている。

文献では鱗翅目成虫、鱗翅目幼虫、ヒシバッタ、ミミズ、ゴミムシ等に対する数多くの捕食例が数十年前から報告されているが、自分が与えた餌は全く異なる単一の餌であり、成虫幼虫共にその生物の捕食に特化した生態も複数確認できた。
数ヶ月間欠かさず、湿地を這い、常にアオヘリアオゴミムシの考察を重ねていた経験値がここで生きているかもしれない。
しかし、それも大きくバイアスがかかった推理に思えるし、偶然加齢しただけかもしれない。

未知の開拓こそが自分の飼育趣味における1番の動機だが、それ故に「失敗するかもしれない」という思考が常に頭の大半を支配したまま趣味を行なっている。
そのため、3齢に至っても一切の安心ができないどころか、不安は日々増し続ける。
払いきれない不安のおかげで、常に数多の対策を練り上げてスキルの向上に繋げる事が可能ではあるが、不安のために趣味を行っているのではないかと錯覚してしまうほどに不安に支配されている。
仮に蛹にまで育てる事ができたのならば嬉しいが、その不安は水風船のようにさらに膨らむ事になるだろう。
昆虫は蛹の期間が1番怖い。あまりにもデリケートすぎる。



また、後から生まれた3個体の幼虫も同時に2齢幼虫へと成長した。

セアカオサムシ2齢幼虫と
1齢時の脱皮殻


だが、多忙故に餌の調達に難儀しているため、この貴重な個体たちを育て上げる事ができるのか分からない。
すでに今年の飼育が失敗する事を前提とした来年以降のプランを同時進行で進めている。



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夢日記関係だけは内容が生態に関係無いのでスルーしてください。

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