見出し画像

林道の水溜り


2022/06/01
近所の林道の水溜りを観察する。
ここは7割のスギと3割のカシで構成された、人工林と思われるポイントだ。

2022/06/01撮影

鬱蒼とした森林だが、水溜りほどの水分を保ったポイントはそう多くない。
突発的に生まれた水場は、この林の中でも特に水分を好む生物達の憩いの場になっていた。

ヒメフナムシの一種

特に多かったのはヒメフナムシの一種。ニホンヒメフナムシだろうか。
土壌棲のフナムシで、体長は大きくても1cmほど。
フナムシが海から遠く離れた森林に生息している事に驚く人も多いが、意外とその辺の森林の落葉層を掘ってみるとたくさん見つかる生物だ。
これは庭にも多く生息している。

画像をよく見てみると、同じく甲殻類である陸棲ヨコエビのオカトビムシも隠れていた。

オカトビムシ(画像中央)

こちらも雨後になると庭でよく見られる。
ヒメフナムシと同様の環境を好むようで、本種は落ち葉を掻き分けるとピョンピョンと跳ね回って逃走をするので見つけやすい…が、それがオカトビムシであるという事前知識がないと「何かが跳ねて逃げた」としか思えないだろう。
今回使用した画像は全体像が見えにくいので、どこかのタイミングでオカトビムシをしっかり撮影しておきたい。




水溜り内ではハナアブの幼虫であるオナガウジも発生しており1.5〜2cmほどの大きさの個体が多く見られた。
オナガウジは餌生物として幾度となく自家養殖をしたので分かるが、このサイズになるにはどれだけ有機物が多くても1週間以上は必要になる。
つまり、この水溜りはしばらく前にできた物が維持され続けているという事になるだろう。

水溜り内のオナガウジ

そして画像を拡大してよく見ると、アメンボの幼虫が写っている。
鬱蒼とした林道の水溜りにアメンボがいる事には少し意外性を感じるが、移動能力を持たない幼虫(1齢?)が見られた事にはさらに驚いた。

オナガウジとアメンボ幼虫

近くに水田も存在するというのに、何故それを差し置いて成虫がここに辿り着き、産卵を行ったのだろうか。
水溜りのような一時的な水辺を好む虫ではあるが、飛翔中に上空から見えるほんの僅かな水面の反射にてこの地を発見し、一時的に住処としたのだろうか。
その際に少量の卵を産みつけたのならば辻褄は合う。

成虫は移動性が高いためか、すでにその姿は見られなかった。
アメンボは冬季の洞窟内で越冬中の個体が見つかったり、長らく雨が降らなかった真夏に庭の植木鉢の下から発見した事もある。
思いの外、水辺以外のあちこちへと移動しているようだ。

アメンボを発見した植木鉢裏
植木鉢裏で発見したアメンボ


ちなみに、アメンボは産卵から孵化までに1週間程度の日数が必要になるらしい。

となると、やはり今回見つけた水溜りは発生してから数日では干からびる事がなく、1週間以上水を保ち続けた事となるのだろう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?