初めてのリアルミーグリ

2023年の4月、日向坂46の9枚目シングルの内容について驚くべき告知があった。リアルミーグリの開催である。リアルミーグリとは、コロナ禍以前にあった握手会とコロナ禍から始まったオンラインミーグリ(アイドルとテレビ電話のような感じでオンラインで話すイベント)のハイブリットのようなもので、握手はないが対面で話せるというイベントである。コロナ禍からファンになった身としては間近でアイドルに会えるなんて夢のような機会であった。しかも9枚目シングルのセンターは推しである丹生ちゃんが初めて務める。これは行くしかない。行って一言「センターおめでとう!」と言うしかないと応募した。

抽選の結果、一枚ではあるが当選した。大学生の財力ではこれが限界であった。なけなしのお金で当てたリアルミーグリ。十数秒、いや数秒かもしれない。この一瞬は絶対にいい時間にしたい。冴えない工学部大学生が20年間生きていて、初めて「カッコいいと思われたい。見た目に気を付けなければならない!」と感じたのである。

カッコいいとなると、まず大事なのが顔である。韓国に行って整形という訳にはいかないのでせめてもの努力として髪型を変えてみることにした。いつも行く床屋では「前みたいに短くで。」としか言ったことない。しかも、「大学生になってとりあえず髪染める人多いけど結構金かかるし、無駄じゃない?」「流行り始めてからセンターわけしてるやつ、個性出してるようだけど結局量産型になって無個性だよな」と普段から髪型に対してナナメにコメントするようなやつである。超言い出しずらい。しかし、ここは丹生ちゃんのためだ!と勇気を出して話始めた。

「あのー、実は日向坂ってアイドルが好きで、数か月後に握手会的なの行くことになったので、カッコいい髪型にしてみたいんですけど、、、。」

くらいで食い気味に、

「本当ですか!いやー僕も昔AKBのオタクやってて、握手会とかも行ってたんでめちゃくちゃ気持ちわかります!それに、Tomorrowも、ともろうさんはもっと似合う髪型あるのに短くにしかしないんで、いつももったいないなと思ってました!任せてください、僕理容師免許も美容師免許もどっちも持ってるんで!絶対カッコよくしてます!本番直前にまた来てもらうとして、今日はお試しでやってみましょう!」

と言われた。めちゃくちゃ熱く、早口であった。オタク特有のあれである。以前からおしゃべりで楽しい人だとは感じていたが、まさか元AKBオタクだったとは。通りでお気に入りの床屋になる訳だ。類は友を呼ぶって本当なんだなあ。どうやら他のももクロ好きのお客さんの要望に応えてカットした髪型が界隈でバズったこともあるらしい。安心して任せることができた。
結果ツーブロックで自分でも「あれ、イケてるかも?」と思える髪型になった。髪型に対する意識を変えるためにドライヤーとワックスを買い、その日から自分でセットするようになった。


顔の次は服である。一切おしゃれをしたことないので、おしゃれなでモテる友達2人に、服を選んでほしいと頼んだ。わざわざ車を出して少し遠くの大きな商業施設まで連れてってくれると約束してくれた。「お前がそんなことを言い出すとは。なんか嬉しいな。任せろ、すでにコーデは考えてある。」とまで言ってくれた。なんといい友をもったのだろうか。まあ「アイドルのイベントのためだ。」と話したらがっかりされたのだが。
リアルミーグリの直前の祝日に商業施設に行き、丸1日かけて服を選んでもらった。オードリーの東京ドームライブの宣伝Tシャツをコーデに入れてほしいといったが余裕で却下された。普段の自分なら絶対選ばれないおしゃれなシャツとズボンを購入し大満足で帰宅した。当日の朝に髪を切ってもらう予約もしたし、もう準備万端である。

2日後の朝、起きたら喉が痛かった。あれ、エアコンつけっぱなしで寝たからかな。ベッドから出ようとしたが体が重くて動かない。あれ?おかしいな。風邪ひいたかな。なんとかベッドから出て体温を計った。

39.2℃。

どうにかこうにか病院を調べ、予約をとり、診察してもらった。
コロナ陽性だった。

自宅療養の期間からして、リアルミーグリには行けないことが確定した。今までなったことなかったのに。手洗いうがいもしてたのに。なんで今なんだ。なんで、、、。外出なんてほぼしてな、あ、、、祝日で人が多い商業施設に行った、、、。
そう、リアルミーグリのために服を買った先でコロナにかかり、リアルミーグリに行けなくなったのである。こんな本末転倒なことはあるだろうか。めちゃくちゃ悔しかった。


リベンジに燃えた10枚目シングル。リアルミーグリに応募しまた一枚当選したが、丹生ちゃんの休養によりまた会うことは叶わなかった。復帰後初のシングルが2024年4月10日に発売される。

1年越しにリベンジしてやるんだから!!!

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