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エースを多くとれるプレーヤーが勝てるのか?~エースの割合と勝敗~

こんにちは、トモヒトです。

今回は、エースを取ることと勝敗の関係について考えていきます。
「エースはどのくらいの割合なのか」や「勝敗との関係」について、スタッツをもとに見ていきます。

今回のデータも、スポーツナビ(https://sportsnavi.ht.kyodo-d.jp/tennis/schedule/atp/)から2020~2022年のデータを取得しました。


獲得ポイントに占めるエースの割合と勝敗

まずは、獲得ポイントに占めるエースの割合(=エース数/合計獲得ポイント)と勝敗の関係をみてみます。

獲得ポイントに占めるエースの割合とポイント獲得率の関係
(result=0は敗者、result=1は勝者を表す)

ポイント獲得率とエースの割合の観点では、相関はないように見えます(相関係数=0.1139)。
この結果から、獲得ポイントに占めるエースの割合が高いほど、ポイント獲得率が高くなるという傾向があるとはいえないようです。

また、ポイント獲得率に占めるエースの割合で40%を超えることはほとんどないというのも注目点です。
逆を言えば、ポイント獲得率の60%以上は、相手のエラーによるものであることを表しています。

次に、勝敗ごとにエースの割合の分布を見ていきます。

勝敗別エース割合の分布
(result=0は敗者、result=1は勝者を表す)
勝敗別エース割合の確率密度関数
(result=0は敗者、result=1は勝者を表す)

勝者と敗者でエース割合を比較すると、勝者の分布が右に寄っているように見えます(マンホイットニーのU検定では、P値が4.940097628128418e-30とかなり小さな値となっております)。
中央値と平均値はそれぞれ、
勝者:中央値=6.667、平均値=7.978
敗者:中央値=5.660、平均値=6.872
となっています。

次は、プレーヤー単位で年間平均を見てみます。

プレーヤー別エース割合とポイント獲得率・勝率の関係

右肩上がりのようにも見えますが、相関係数をみると0.2432相関があるとはいえないです。

エース/エラー比と勝敗

次は、エース/エラー比と勝敗について見ていきます。
今回は、エラー数を「相手の獲得ポイント数-相手の取ったエース数」として、エース/エラー比を算出します。

エース/エラー比とポイント獲得率
(result=0は敗者、result=1は勝者を表す)

エース/エラー比とポイント獲得率に、相関はないように見えます(相関係数=0.3697)。
ただし、エース/エラー比が高いほど(=エラー数に対するエース数の比率が高いほど)、ポイント獲得率の下限が上がっているのは重要だと感じました。

今回のデータでいえば、エース/エラー比が0.4近辺でポイント獲得率の下限が50%となっています。
ポイント獲得率が50%以上で勝率は9割以上となるため、エース/エラー比0.4は1つの目安になるかと思います。

勝敗ごとのエース/エラー比の分布
(result=0は敗者、result=1は勝者を表す)

勝者の方が、全体的に分布が右に寄っています。
エース/エラー比が0.1以上で勝者が敗者を上回り、エース/エラー比が高くなるほど範囲内での勝者の比率が高くなっています。

エース/エラー比の相手との比較

このグラフは、横軸が自分のエース/エラー比、縦軸が相手のエース/エラー比を表しています。
自分のエース/エラー比と相手のエース/エラー比の関係をみると、エース/エラー比で相手を上回るほど勝者が集中しているように見えます。
これは、自分のエース/エラー比から相手のエース/エラー比を引いた値での勝敗別分布をみると、より分かりやすくなります。

勝敗別でのエース/エラー比差分の分布

エース/エラー比の活用

今回の結果を、試合にどのように当てはめるか考えてみたいと思います。
「エース/エラー比で相手を上回る」という観点でみると、「自分のエース/エラー比を高める」と「相手のエース/エラー比を下げる」を考えることになります。

まず、「自分のエース/エラー比を高める」という点では、「エース数を増やす」と「エラー数を減らす」が影響してきます。
ただし、エース数を増やすためにリスクを上げすぎれば、エラー数が増えてエース/エラー比が上がらない(下がる)可能性があります。
反対に、エラー数を減らすためにリスクを取らなければ、エース数が上がらず、相手に攻撃の余裕を与えてエラー数が増える可能性もあります。
つまり、リスクを必要以上に上げすぎない、リスクを取るタイミングが適切かといった、「リスク管理」がカギとなります。

「相手のエース/エラー比を下げる」という点では、先ほどの反対で「いかに相手がリスクを上げすぎた状態に持ち込むか」がカギとなります。
これは、相手に体勢やポジションで厳しい状態を作り出せるか、相手が返しにくいショットでミスを誘うかとなります。

まとめ

今回は、エースが勝敗に与える影響を考えてきました。

エース/エラー比の観点で勝率を考えると、以下の点がポイントとなります。
・エース/エラー比が0.4以上か(0.4を下回る場合でも、できるだけ高い値となっているか)
・エース/エラー比で、相手よりも高い値となっているか

エース数やエラー数(=相手の獲得ポイント - 相手のエース数)は比較的わかりやすいため、指標として取り入れやすいかと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。
ご意見ご感想あれば、コメントにお願いします。

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