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「働きたい」と思う高校生は、そこに一人もいなかった。

あなたは、働きたいですか?

そう聞かれたら、あなたは即答できますか?

ぼくは、10年くらい前の自分だとちょっと想像しにくいんですが、「働きたい」と思っている人間です。

そして、多分なんですが、ぼくの周りにいる多くの人たちが「働きたい」人たちです。

あなたは、働きたいですか?


伊万里高校での特別授業

先日、親愛なる伊万里の友人・いわたてただすけ氏にご縁をいただき、伊万里高校1~2年生の希望者向けに特別授業を受け持たせていただきました。

選択授業『#キセキ部』 ©ニコ

#キセキ部 』とは、「地域とつながる高校魅力づくりプロジェクト」という企画において、伊万里高校が取り組んでいるものの1つです。そのコーディネーターが、先述のいわたて氏。

3年ほど前から続くこの企画、本当に面白そう!さすがデキる男、いわたて氏。


チラシに書いてもらった紹介文


さて、ぼくは「地域おこしのプロ」という立ち位置で呼ばれていますが、みなさんご存知のとおり、そんなプロはいません

はじめは「移住」というテーマをもらったんだけど、それを高校生に喋ってもあんまりおもしろくないし、なにより自分が最近全然しゃべりたいテーマじゃないので、当日勝手に変えさせてもらいました

そのテーマは、「働く」。
タイトルは、「”地域貢献”を本業にしよう。まちの主役はキミしかいない。」です。


働きたくないのは、なぜだろう。

「この中で、働きたいと思っている人はいますか?」という質問を、実際に授業の中で実際に生徒たちに投げかけました。

すると、出席してくれた30人ほどの高校生のうち、約10人に尋ねてみたところ、全員が「働きたくない」という回答でした。

「この中に、働きたいと思うひとはいますか?」

なぜだか聞いたところ、

「大変そう」
「時間をたくさん取られる」
「やりたくないことをやらないといけない」

と言った声が挙げられ、ポジティブな意見は出てきませんでした。

ぼくは、「働きたくない」と答えることが多いのは予想していたけど、100%そうなるとは思ってなくてちょっと驚きでした。

でも、「働きたくない」と思う理由は簡単で、「周りにいる大人たちがあんまり楽しそうに働いていないから」に尽きるんじゃないかと思います。(授業の当日は、ちょっとニュアンスを柔らかくして「自分がなりたい大人のモデルがいないから」と伝えました)


やりたい仕事を、自分でつくる。

ぼくが、いま仕事をするのが楽しいと思える人間になれたのは、東京や佐賀でとにかく楽しそうに働いている大人たちに出会えたおかげです。

そして、次は自分もそんな先輩になりたいので、この授業では「どんなことをやったら、楽しい仕事ができるのか。そして、高校生のいまの時点でどんなことができるのか。」を自分なりに伝えることにしました。

NPO法人灯す屋の紹介

灯す屋という団体がやっているのは、一言でいうと『地域の課題を見つけ、それを解決するための答えを考え、行動する』ということです。

誰かに必要とされることは、仕事になります。それは例えすぐには収入には繋がらず、ボランティアになるかもしれないけれど。本当に価値のあることであれば、何らかの形で自分に返ってくるはずです。そして、うまくいけばそれを本業にすることだってできます

また、楽しくない仕事はひとつもやりたくないので、どうしたら自分なりに楽しくできるのかを必死に考えます。じゃないと、継続できない。本当にこれは楽しい!と思える可能性があるものだけ、取り組むように心がけています。

地域課題を見つけて、アイディアを考える。

この授業では、灯す屋が考えた地域課題に対して、みんなにも一緒に考えてもらいました。
その上で、灯す屋が出した答えを説明しました。

一生懸命に答えてくれました。ありがとう。

今回、ぼくが出した答えとしては、「アトリエつきシェアハウスをつくる」「うちやま百貨店というまちなかイベントをやる」「ちゃわん最中というお菓子を復活させる」など。別に正解という訳ではありませんが、いずれも最終的には(多くはないけど)売上に繋がった企画ばかりです。

灯す屋が出した答えの1つ「ちゃわん最中」

あと、ぼくが大事だなと思っていることは、あんまり「地域を良くしたい」と思い過ぎないこと。「自己犠牲を払って地域貢献」というのはヒロイックで一見カッコいいですが、持続性も汎用性もないし、オススメしません。結果、地域がちょっと良くなることが出来たらいいなくらいのスタンスでちょうどいいんじゃないかなとぼくは思っています。

まとめ


高校生のいま、できること。

最後に、高校生である今、あなたたちができることは以下のとおり伝えました。

高校生ができること

信頼されるようになる、これは何をやるにもとても重要です。とはいえ、信頼されることを求めてもダメなので、日々のちいさなことをちゃんとやる。その積み重ねをしていくしかないですね。

そして、あまりみんなやってみたことがないかもしれないけど、ワクワクする妄想をたくさんしよう!それが自分にできること、できないことは関係ありません。「こうなったらおもしろそう!」をたくさんイメージして、もしそれを聞いてくれる友だちがいるならどんどん話してみるといいなと思います。

と、この2つを高校生たちに伝えて、授業は終わりとなりました。


自分が一番すきなものを伝えられるように。

授業のあと、「自分も地域を良くするために何かしたいんです。」という女の子がぼくのところに来てくれました。聞いたところ、「まだみんなが伊万里の魅力を知らなくて、何をしたらいいか分からない…」とのこと。

ぼくは「まずは、自分が一番好きな伊万里の何かを見つけて、それをたくさんの人たちに話してみよう」と伝えました。

大きなことをいきなりやるのは無理があります。
まずは、小さな第一歩から。
その一歩の積み重ねが、キミをまちの主役にしてくれるはず。

ぼくらの次世代が新しいことにどんどんチャレンジしていけるような未来の土台を、しっかりとぼくらの世代でつくっていきたいなと改めて思います。

(終)