トランスジェンダーの子供たちのために、大人である私たちが考えなければならないこと。トランスの子供を利用したデマゴーグについて。

いきなりですが、ツイッター上で下記のような、私からすれば極めてバカバカしいとしか言いようが無い論法を開陳している人がいました。
「10歳の子供の性自認を肯定して性転換ホルモンを与える」ことを認めると「10歳の子供と大人がセックスすることを認め」ることになるなどというバカバカしい論法です。
今回はこれが何故バカバカしいのかを詳しく見ていくとともに、そのことを踏まえてトランスジェンダーの子供のために、大人である私たちが何を考えなければならないか、を見ていきたいと思います。

まず、私はこのノートで語る事柄について、性同一性障害(ただしこの診断名は近い将来消えることが確定的になっています)に関するガイドラインさえ読んでいない、いうなれば自国のトランスジェンダーの人達がどのような形で医療ケアを受けているかにさえ一切関心が無いばかりか、トランスジェンダーの子供の権利を、単なる思考実験・自身の賢しらさをひけらかすためだけに利用している、あるいはトランスジェンダーの権利を後退させるためだけに利用している人達と、議論する価値は無いと思っています。
それはもはや議論では無く、一種の非対称戦……つまり単なるデマゴーグもしくは差別扇動でしかないからです(これは、ガイドラインや当事者の実状に精通している人達が、トランスジェンダーの子供たちにとって何が最適な医療であるか?を議論するのとは真逆の行為です)。

子供の自己決定権について

書き出しのような無茶苦茶な理屈をこねる人は、このような事を言っていました。

つまり、子供に性に関する自己決定権など無いのだから「トランスジェンダーの早期治療を認めることは子供に自己決定権を認めることになり、そうすれば子供と大人がセックスするのを認めることになる」などと言っているのです。

また、このような記事もあります。
一見両論併記の形を取っていますが、実状は明らかにアンチトランスが"正しい"という組み立てになっていると見なさざるを得ない、差別的な記事です

https://www.agenticglobal.com/dictionary/rv-genderidentity/

性別二元論を絶対視した上で「性別の多様性、ノンバイナリー・ジェンダー、その他の無意味なナンセンス」などと言っている時点で、この記事の意図は明白と言っていいでしょう。

ツイートの人物については、私からすればあまりに荒唐無稽かつこじつけでしかなく、特に前掲のツイッターの人物は、性同一性障害のガイドラインさえ読んでいない(つまり実際に未成年の性別違和当事者に対して医師がどのような手順を踏んでいるかさえ知識が無い)ことが明白でしたので、議論の相手をしませんでした(冒頭で言った通りです)。
そうしたらまるで往年の2ちゃんねるかのような「質問に答えない=負け」というような子供の喧嘩をしかけてきたので、呆れてしまったのですが……(こんな感じ。答える価値が無いとはっきり回答しているのに、何回目とか何の意味があるんでしょうね?)

さて、子供の「自己決定権」について、世界はどう言っているでしょう?おそらく世界で子供に関する最も重要な条約である「子どもの権利条約」はこのように書いています。

第2条
1.締約国は、その管轄の下にある児童に対し、児童又はその父母若しくは法定保護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、種族的若しくは社会的出身、財産、心身障害、出生又は他の地位にかかわらず、いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、及び確保する。
2.締約国は、児童がその父母、法定保護者又は家族の構成員の地位、活動、表明した意見又は信念によるあらゆる形態の差別又は処罰から保護されることを確保するためのすべての適当な措置をとる。

第12条
1.締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。
2.このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。

第13条
児童は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。

「子どもの権利条約」の全文訳に関してはこちらから読むことができます。

つまり、子供は意思を表明する権利があり、それによって差別を受けない権利がある、と明白に定められています。
では、国内での子供の自己決定権に関してはどのような研究があるでしょうか?
家族法を研究している山口亮子は2007年にこのように論じています。

氏は「自己決定権」を

自己決定権という権利は非常に高度なものであり,大人でさえ自分がどのような進路を取るべきなのか,どのような治療をすべきかあるいはしないのか,常 に迷い失敗しながら選択して生活している。人が自己決定時に躊躇を伴うのは,その責任も自分で負わなければならないからである。

という風に指摘し、生得的に持つものでは無く育てられていくものであり、かつその選択に対して自己の責任が伴うものである、と規定し、子供においては

その重い権利を,ましてや自らの思いや考えに耳 を傾けられていない子どもに与えさえすれば,子どもの権利を尊重したことになる, というのは大きな誤解である。

と指摘した上で、

子どもには一人で放り出される自己決定権ではなく,自らの思いを無視 されず,その叫びを聞いてもらう,話し合いのテーブルにつくという権利が必要なのである。

としています。
つまり、たんに子供に大人と同じ形での「自己決定権」を与えることは、必ずしも子供のためにならないとした一方で、その代わりとして、その意志をはっきりと尊重され、大人の社会に発信し、その意志が無視されない権利が必要である、という風に指摘しています。

このような研究で重要なことは、果たして子供には自己決定権が存在するのかしないか、ということではありません
子供の意見を尊重し、それを「児童の最善の利益」(「子どもの権利条約3条」)は何かを考慮しつつ、子供の発達に最良の形で、子育てに反映させて子供を育てる責務が大人側にあるのだ、ということです。
「子どもの権利条約」では、子供の意志表明について年齢や成熟度に従って相応に考慮されるものであると定めているのは、引用の通りです。

さらに言えば、実際の社会では、子供は限定的ながら自己決定権を行使しています。それは大人になってフルサイズの自己決定権を得た時の、予行練習であり、子供の発達に必須の、重要な経験でもあるのです。
子供には自身のお小遣いを何に使うかを決める権利があります。それと同様に、自身の幸福を追求し、不要な苦痛から逃れる権利があるはずです。

そのような中で、「大人と子供のセックス」が特に問題視されるのは、子供の自己決定権をタテマエにした、大人による(大人と子供という両者の立場の勾配を利用した)子供への性搾取や性的虐待が世界中で横行しているという事実があるからにほかなりません。
そして多くの被害当事者が成人後に「あれは虐待であった」と考え、またそのような性的関係が「児童の最善の利益」と明らかに合致しないものである、という明白な事実が存在するためです。

児童のトランスへの治療に関するデマゴーグ

もし未成年のトランスジェンダーへの治療を同じ論法で問題視するならば、当事者児童に対する医療が、医師という大人による恣意的な誘導に基づいたもので、かつ過去に治療を受けた成年の多数が「その治療は虐待であった」と考えている……つまり未成年への治療が「児童の最善の利益」と明らかに合致しない状況にあるという事実関係に基づかなければならないでしょう。

しかし、実態としてそのような事実は、日本においても他国においてもありません
たとえばトランスに関して、移行そのものに後悔しているという層は、成年期からのトランスを含めても、わずかに0.4%というデータがあります。
おまけに、実際に移行を後悔した人の多くは「周囲の無理解・差別に心折れた」というのが実態なのです。

未成年のトランス当事者が、自己の性同一性を尊重されなかった結果、自殺に追い込まれるケースは、けして珍しいことではありません。
海外のケースですが、2例、参考として出しておきます。

実際、トランスジェンダーの子供は、明白な自殺の高リスク群であることが知られています。
このような事実からは「医師が子供をかどわかして不要な性別移行をさせて後悔させている」どころか「社会が差別によって移行を阻み、当事者の心を折っている」という構図が見えてきます。
そのような中でトランスジェンダーへの治療を、児童への性暴力と結びつけるのは、あまりにも無茶苦茶なこじつけであるといえます。

さて、本邦の性同一性障害ガイドラインには、4版から未成年の治療ガイドが加えられています。
現在最新版であるガイドラインの第4版改定版は、以下のリンクから参照できます。

そこでは、児童には成年への診断基準に加えて「児童思春期例の診断には、児童思春期精神医学の専門家にも意見を求めることが望ましい」と付け加えられたうえで、未成年への身体治療に関しても、定められています。
また、未成年の身体治療について、何故定められるようになったか、ガイドラインはこのように書いています。

第 2 版ガイドライン以降、ホルモン療法は 18 歳以上の希望者に実施することとなっている。しかし、性同一性障害患者とりわけ性転換症者では、二次性徴の発来(およそ 12 才前後)に伴って自認する性別と身体の性別ギャップの広がりから混乱をきたし、学童期に不登校、引きこもり、虞犯行動、自殺企図など数々の問題を引き起こすことがある。

この指摘から見えてくることは、児童への診療・治療は、医師やメディアが唆しているどころか、実際に二次性徴に苦しんだ当事者の実体験に基づく経験的な要請によるものである、ということです。
このような観点さえ無い人間が「性転換を10歳の子供に教えられることは無謀を超えて、明白な犯罪だ」などという保守的かつアンチトランスなデマゴーグ記事だけを元にどうこう言うのは、当事者からすれば議論ですら無い、悪質な差別扇動でしかありません

なお、この手の話でしょっちゅうやり玉にあがるブロッカー治療に関して、ガイドラインはこのように解説しています。

この治療は可逆的であり、薬剤の中止で正常な二次性徴が再開する。また、この製剤は思春期の進行を遅らせるため、思春期早期に開始した場合は長期間使用できず、患者周囲を含めた思春期発達の状況を見ながら、使用を中止して身体の性の二次性徴を再開するか、本人の性自認に沿ったホルモンの使用に切り替える必要があるかの判断を、数年のうちに求められる。諸外国の調査研究では、思春期初期に二次性徴の発来を抑制しホルモン療法や性別適合手術につなげた MTF のケースは、成人期以降に初めてホルモン療法を受けた後に性別適合手術を受けたケースに比べて身体の男性が進んでいないため社会適応度が高く生活の質が良いことが報告されている。また、FTM のケースでも月経が停止し乳房の発育を抑制する一方で骨端線が閉じず身長が伸びるなど、身体的違和感を軽減することが可能であり、結果として精神的な安定をもたらすことで社会適応を改善する効果が期待できる。

つまり、投薬は基本的には可逆的なものであり、医学的に当事者にとってプラスの影響があるというエビデンスが存在している、ということです。(参考記事として一つ挙げておきます)

この記事の元になった論文は、selfishproteinさんが紹介してくれています。

子供は大人と異なり完璧な自己決定権を育んでいない、成長過程の存在です。だからこそ選択を先延ばしにするブロッカー投与が第一選択とされているわけです。
そのような中で、10歳の子供がいきなり女性ホルモン・男性ホルモンを投与されるなどという事はおよそあり得ないわけで、そのような言説自体が差別扇動を目的とした明白なデマであると言わざるを得ません。

医学的な臨床、そこから得られる事実を無視して、さらに性ホルモン治療とごっちゃごちゃに混ぜたうえで、作用・副作用の中で不妊性ばかりを問題視するのは、あまりに愚かな暴論であると言わざるを得ません。
それどころか、現在どのような臨床上の措置・対応が行われているのかさえ知らずに自己決定権だけを云々するのは、私からすれば何の意味も無い、完全に無意味な思考実験でしかありません。

トランスジェンダーはメディアが生み出したものではない

また、このような主張があります。トランスジェンダーなどといういかがわしい概念をメディアが流布するから、無垢な子供が勘違いして危険な治療をするのだ(だからそのような概念を広めるべきではない)……という主張です。

私からすればこれは「勉強なんか教えるから女がつけ上がるんだ」などと言っているような、今となっては博物館級の性差別主義者と同じ理屈でしかありません。
あるいは「同性愛なんてものが普及したら異性愛者が同性愛者になる」と言っている人とも、やはり同類であると言わざるを得ないでしょう(こちらについては、こないだ似たような事を言ったどこかの区議がいましたが……)。

忘れてはならない事は、私も含めたトランスジェンダーと呼ばれる人達は、メディアが作りだしたものでは無く、過去連綿と続く歴史の中に存在し続けているのだ、という点です。

それはヒポクラテスのような太古の記述もそうですし、インドのヒジュラのように、現代の西洋社会の価値観とは別の形で階層化されている社会もあります。これらに限らず、こういった記録は地球上の各地にあります。
ただし、これらを近代西洋社会的なカテゴリーであるトランスジェンダーと安易に同一視することも、また問題がある行為であるという点は、あえて言い添える必要があるでしょう。

それらを参照せずとも、近代西洋社会のトランスジェンダー史黎明期における医療が、医師側の発案では無く、当事者側からの強い要請に基づいたものであった、というのは、当時のやりとりからも明らかです。
たとえばカリフィアの『セックス・チェンジズ』では、そのような当事者が、なんとか身体治療への道を開こうと多くの精神科医に掛け合った歴史的経緯が、細かく記されています。
その事実は、「左派メディアがトランスを生みだしている」などという主張が明白な誤りであるという歴史的事実を、私たちに提供してくれます。

そのような事実に基づいて、これからも一定数生まれてくるであろうトランスジェンダーの子供たちのために、どのような治療があるかの知識を与え、また時には明るい未来があるのだというロールモデルを提示することが重要であるのは、言うまでも無いことだと、私は考えます。
そしてそれを行う責務が、今を生きる大人にはあると考えます。

なお、「子どもの権利条約」では子供の知る権利が保障されているのは、前述の通りです。子供たちはジェンダーアイデンティティという概念を知り、自身がどう生きるかを考える権利があるはずです。

トランスジェンダーの子供の人権は十全に守られていない

さて、では実態に基づいた話をしましょう。
私たちの世界において、身体違和を抱える児童の権利は十全に守られているといえるでしょうか?

先ほど引用したように、トランスを断念した多くの人にとって、その最大の理由は、周囲の圧力と差別によるものです。
日本のLGBTに関する研究においても、身体違和を抱える子供は、シスヘテロの子供のみならず、他のLGB属性と比べてもいじめや暴力にさらされる可能性や頻度が高いことがわかっています(LGBTの学校生活に関する実態調査(2013)等)。なお、この研究では、特に出生時に男性として割り当てられた子供のほうが、リスクがより高いことがわかっています。
それは児童間によるものだけではありません。たとえば出生時に男性として割り当てられた子供が、学校規則に基づいて頭髪を切ることを拒んで暴力的な制裁を受け、結果として教育の機会を奪われたり、出生時に女性として割り当てられた子供が、制服規則を拒んで教育の機会を奪われたりといった事例がそうです。
先に引用した「子どもの権利条約」に基づけば、子供は自身の髪の長さを決定する自由があるはずです、自身の服装を決める自由があるはずです。
それを、意志に反して頭髪を無理やり切ったり、制服規則に従わない生徒に著しいペナルティを課すことは、しつけの範囲を超えた明らかな虐待であると、言わざるを得ないでしょう。

ここからはもう少し当事者の実際に踏み込みます。
当事者の中には、診断や治療が行える病院が通院可能範囲に無い、あるいは存在していても親が理解してくれない(もしくは診察費を出してくれない)等々の理由からガイドラインに基づく治療を受けられない、という状況に対して、自己判断で反対性のホルモン薬を自己投与する、しているあるいはしていた、という人達がいます(中には、ガイドライン診療のあまりの慎重さに嫌気して、待ち切れずに使う当事者もいますが……)。
場合によってはガイドラインが定める基準である18歳に満たない未成年者が、これに踏み切るケースも聞かれます。
多くの場合個人輸入を行う形で入手する形になり、ガイドラインに基づく治療に比べれば安価です。また診断という手順をすっ飛ばすため、行いたくなった時にすぐに行えるという素早さがあります。
しかしこの行為は、場合によっては摂取量が適切ではないため副作用を引き起こす可能性があり(その事をチェックする検診さえ無い)、また精神科の診断を経ないため、適切なメンタルケアを受ける機会がほとんどあるいは全く無い、といった問題もあります。
この行為の是非に関しては、私は今回意見を表明することを差し控えます。

また、親がトランスに理解があり、また金銭的に余裕がある場合には移行が比較的容易に進む一方で、親がトランスに理解を示さなかったり、金銭的な余裕が無い、あるいは金銭を負担することを拒否した場合、移行が大きく困難になる、という現実があります。
特に児童期の治療に関しては、親権者である親が診察を拒否した場合、事実上不可能になります(そのことは、前述した当事者児童の自殺にも繋がっています)。

さらに、二次性徴後に身体移行を進めた当事者の中には、より早期の治療を行っていればより現在の苦痛が軽減されていたはずだ、と考える人は少なくありません(その考えが正しいかどうかは別として……。ただ、早期治療が成人後の生活の質の向上にプラスのエビデンスがあるのは前述の通りです)。
前掲の記事においても、「対象者の16.9%は二次性徴抑制療法を受けることを希望したが、実際に治療を受けたのは2.5%に過ぎなかった」というデータが紹介されています。
多くの当事者にとって、二次性徴期以前の身体治療は、受けて後悔した早すぎた治療ではなく受けられずに後悔する高嶺の花、であり続けているという事実は、広く認識されるべきでしょう。

以上のことから見えてくることは、トランスジェンダーの子供にとってこの社会の現実は、トランスに対する偏った情報を与えて医師や社会が不可逆的な治療を唆しているどころかむしろ、公的な支援や社会の理解・サポートが不十分な中で生まれた環境に強く左右され、その次第では適切な医療にたどり着く事さえできず性同一性も尊重されず、自身の重要な声さえ聞いてもらえない結果、人によっては完全に自己責任である逸脱的な治療へ踏み出すというものであり、「メディアがトランスを生みだしている」などという陰謀論とはかけ離れた現実があります。
情報面で言えばむしろ、正しい情報がちゃんと広まっていないがゆえに、当事者が怪しい情報に焦りを募らせて自己判断の逸脱的な治療へ踏み出したり、あるいは親がコンバージョンセラピーのような極めて有害かつ危険な行為に子供を送り出したりしてしまっている、というのが実態です。
重要な点は、そのような差別的かつ問題のある社会に現にトランスジェンダーの子供が今現在も生きている、ということです。

今を生きるトランスジェンダーの子供のために

ここまで見てきたように、「10歳の子供の性自認を肯定して性転換ホルモンを与える」ことは「10歳の子供と大人がセックスすることを認め」ることであるというような論法は、トランスジェンダーの子供の実状を完全に無視した、明白にアンチトランスを目的としたデマゴーグ・差別扇動であると言わざるを得ません。

前述した記事をもう一度掲載します。

もし、真に子供の権利を考えているならば、子供である彼ら彼女ら(そして男性女性に当てはまらない人達)が自死した原因は、社会が押しつける身体性に基づく性規範に従わなかったからだ、などとは口が裂けてもいえないはずです。

トランスジェンダーの子供たちの権利を真に考えることは、トランスジェンダーの権利に物申したいがためだけに、子供を思考実験の道具にすることではないはずです
そのような"議論"は当事者にとって一切の利益にならない、まさに有害無益としか言いようが無い明白な差別行為です。

長くなりましたが、この記事が、私たち今を生きる大人が、これからを生きるトランスの子供たちのために何ができるのか、事実に基づいた話をする手助けに少しでもなれば、幸いです。

また、日本国内でも児童の性別違和で悩む子供や、その親御さんに向けたサイトはあります。もし児童の福祉に興味があるなら、是非こういった活動をどう支援するか、考えていただければ幸いです(寄付をしたりもできます)。


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