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ともきち的操作研修での説明パターン

わたしはこれまでビジネスソフトの操作研修をメインに、電子カルテや患者認証、自治体向け財務会計ソフトの導入教育などを経験してきました。

スライドを元に説明する、いわゆる講義形式の研修も経験していましたが、ハードやソフトの機能操作を習得するための研修というのは、講義形式のものとは研修や説明の組み立てが違うもの、と思っています。

わたしが特に専門にしていた操作研修において、いつも心がけていた「説明パターン」があるので、ここでご紹介したいと思います。

業種や研修内容によって多少違うとは思いますが、インストラクションに今悩まれている講師の方に、参考として読んでいただけると幸いです。

① 今から何をするのかを宣言する。
② ①はどういう機能で、例えばどういうことに使えるのかを説明する。
③ そのためのメニュー・ボタンは何を使うか説明する。
④ ③のある場所を確認する。
⑤ 演習する。
⑥ 演習終了後は正しくできているか?エラーが出ていないか?等の確認
⑦ 補足の説明や注意事項などを追加する。質問があれば受ける。
⑧ ①が終わったことを宣言する。

さらに初心者向けと経験者向けでは配慮するポイントも変わります。

例として、対面の集合研修でExcel初心者(初学者)向けにSUM関数の説明をする際はこのような感じというのを紹介します。
(※先に関数とは何か?や関数の入力方法についてのレクチャーは終えたものとします)

「ここからSUM関数について説明します。」

「SUM関数とは合計を求める関数で、・・・」
(SUM関数って何かを説明します)

「ではSUM関数の挿入の仕方を先に紹介します。
 今回は先ほど確認したホームタブのオートSUMボタンを使います。」

④「念のためもう一度ボタンの場所を一緒に確認しましょうか。
 ホームタブの・・・」
(一緒にボタンの位置を確認します)

「では実際に演習しましょう。今開いているファイルのこの表は・・・」
 (表にどういうデータが入っていてどういう作りになっているかを説明。
 そして、どの部分にどのデータの合計を求めるのかを把握してもらう)
 「それではセル○○にSUM関数を挿入しましょう。ホームタブの・・・」
 (③で確認したボタンを使用し関数挿入。)
 「挿入したらEnterキーで確定しましょう。」
 (初心者さんは確定をうっかり忘れてしまう場合もあるので念押し)
 「これでセル○○から○○までの合計が求められました。」
 (今何をやったのか、を理解してもらうための念押し)

「では前の講師画面をご覧ください。」
(目線の誘導は口頭でちゃんと伝える)
 「SUM関数を挿入したセルには、計算結果である123が表示されました。
 数式バーには実際に挿入したSUM関数が表示されていますね。
 皆さん前と同じになっていますか?
 違う数値だったり文字だったりが出ている人はいませんか?」

 (エラーというワードは初心者には恐怖心をあおる場合もあるので
  ある程度Excelが使えてると実感できるようになるまで使わない。)
  (エラーが出ていても恥ずかしくて挙手できない受講者もいるので、
  受講者の表情や挙動も確認。気になる受講者がいたら
  サブ講師に合図し、そっとサポートしてもらう)

「みなさんOKですね。ではここから3つ補足します。
 必要に応じてメモしておいてください。
 まず、・・・」

 (補足をするときは「少し補足します」ではなく、いくつ補足をするのかを宣言する。)

「SUM関数についてはここまでです。」
 (ここで一区切り。っていうのを宣言する)

適所、省いたところもありますが、だいたいこのような感じです。

この説明パターンを繰り返し、受講者も慣れてくると、
今から何の機能を知るのか?
どういうときに使う機能なのか?
その機能はどのボタンを使うのか?
をおぼえやすくなります。
さらに、操作したあとは間違っていないか?エラーが出ていないかの確認も自己でしてくれるようになったり、補足としてあといくつ知っておくとよいのか?も把握しやすくもなります。

そしてこの説明パターンはインストラクターにもメリットがあります。
わたし自身、頭の中が整理され、無駄な言い換えやTOO MUCHな説明がなくなりました。
さらに説明に段階を踏んでいるので、各ポイントで受講者の操作や理解状況を確認しやすくなりました。
いろんな説明方法を研究したり試してみたりしましたが、わたしはこの流れが操作研修には一番効果的だったと実感しています。

ただし注意しておきたいこともあります。
同じような流れが続くために研修全体が単調になりやすいという点です。
おんなじリズムの音楽を延々聞いているような感じなので、
受講者がパターンに慣れると飽きが出やすくなったり眠くなったり
しやすいです。
たまには変拍子を入れて、惰性回避すると良いです。

例えば、問いかけから始めること。
「皆さんが日頃使っているExcelファイルでこういうグラフを見たことはありますか?」とか
「商品コードを手入力したら、勝手に隣のセルに商品名が表示された、ってことありませんか?」など。

または、もしもシリーズから始めたり。
「いきなりですが皆さんの上司からこうお願いされました。”この表の中身を集計しとてくれっ。よろしく”。 さあどうしましょう。」
みたいに、ちょっと”考える”ことを冒頭に持って来ると良いです。

操作研修において受講者から「よくわからなかった」という感想が出るのは、今何をしてるのか?を理解できずに言われたことだけやっていたというケースがほとんどだったと実感しています。
そういう研修をしないためには、まずこれから何するのか?を最初に提示して、順序を追って説明・演習に誘導するというのを心がけてみてはどうでしょう。順序を組み立てることで、おのずと「ここでは何を説明すべきか」も決まるので、”わかりやすい説明”にもつながると思います。

これを読んでくだったインストラクターの方、講師の方への一助になれば幸いです。


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