ともぞうの性別放浪記 その1

初めまして。ともぞうと申します。FtMトランスジェンダーの社会福祉士です。
 今は、非正規で相談業務をしつつ、横浜で『FT/MX』という、FtM、FtX、性別に何らかの違和感を感じる女性の為の自助グループを10年ほど主催しております。
 このたび、ご縁がありましてSCAさんのメールマガジンにセクシュアルマイノリティについてや、自分が自助グループを運営して感じたことなどを綴る機会をいただきました。私のつたない文章を通して、改めてセクシュアルマイノリティの人々がいたって普通で身近にいる人間だということを知って頂き、またどういったところで支援が必要なのかをお伝えできればと思っております。また、自助グループの持つ力にも着目し、社会資源としての自助グループの活用についてもお話できればいいなと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。

 最近「LGBT」という言葉をよく目にされたり、耳にされることが多いのではないでしょうか。「LGBT」とは何の略かご存じの方も多いと思いますが、おさらいを兼ねて説明をさせていただきます。
 Lはレズビアン。自分が女性であるという気持ちを持ち、同じく自分が女性であるという気持ちを持つ人を好きになる人のことを指します。必ずしも、身体が女性とは限りません。なぜ?と思われる方も多いと思いますが、その理由は後でご説明します。
 Gはゲイ。自分が男性であるという気持ちを持ち、同じく自分が男性であるという気持ちを持つ人を好きになる人のことを指します。ゲイも同じように必ずしも身体が男性だとは限りません。
 Bはバイセクシュアル。恋愛対象になるのが、男性女性どちらでも、と言う人のことを指します。ただし、一度に男女どちらともつきあえるとか、性的に奔放というわけではありません。バイセクシュアルの人たちは、たとえば自身が女性の場合、女性とつきあうとレズビアンとして、また男性とつきあうと異性愛者として他の人からレッテルを貼られてしまい、自分自身がバイセクシュアルであるというアイデンティティを確立するのが難しい面があります。
 Tはトランスジェンダー。私もこの中に入ります。日本では「性同一性障害」という言葉の方が知られていますが、本当は性同一性障害というのは、トランスジェンダーというカテゴリーの中の一部分を指しています。
 簡単に説明すると、生まれた性別に対して自分自身が何らかの違和感を持ち、身体的もしくは社会的に反対の性別へ所属しようとする人達のことを言います。
 反対の性別に所属するために、必ずしも手術をして戸籍を変えて、といったことをするわけではありません。自分がより自分らしくいられるために、反対の性別の服装をするだけで満足する方もおられますし、外見を近づける為に、ホルモン補充療法や、胸などの切除だけで満足される方もいます。本当に、ご自身がどこで納得されるかは千差万別です。
 トランスジェンダーの中で、生まれた性別が男性で、女性へ性別を移行しようとする方(または、戸籍上も女性へ変わった方)をMtF(Male to Female)といい、生まれた性別が女性で、男性へ性別を移行しようとする方(または、戸籍上も男性へと変わった方)をFtM(Female to Male)といいます。

ここで問題です。テレビでよく見かける『おネエ系』と呼ばれる方々、たとえばマツコ・デラックス、ミッツ・マングローブ、はるな愛、KABA.ちゃん、は全員MtFなのでしょうか?答えは、「本人が自分をどちらの性別と考えているかによる」です。

テレビでの発言などを見ている限りでは、マツコやミッツはゲイ、はるな愛やKABA.ちゃんはMtFでは、と思いますが、本人に確認してみないと本当のことは分かりません。

 男性と思われる人が、女性のような格好をしていたからと言って、必ずしもその方が女性として自分を扱って欲しいという方ばかりではありません。ゲイ男性の中でも女装をする方もいます。そういう方は、自分は男性であると思っています。
 では、トランスジェンダーの人たちの恋愛対象はどちらになるのでしょうか?

MtFなら男性、FtMなら女性、と思いがちですが、実はこれも千差万別です。
MtFで女性が好きな方(MtFレズビアン)、FtMで男性が好きな方(FtMゲイ)、どちらも好きになる方(MtFバイセクシュアル・FtMバイセクシュアル)もいます。
 ゲイ・レズビアンの説明の中で、身体が男性・女性とは限らないと説明したのは、トランスジェンダーの人も存在するからです。
 他の人から見ると、男性と女性の異性愛カップルでも、もしかしたらMtFレズビアンと女性のレズビアンカップルだったり、FtMゲイと男性のゲイカップルだった、という可能性もあります。
 セクシュアルマイノリティは、LGBTの4つのカテゴリーだけではなく、本当に色々なカテゴリーが存在します。LGBTは数が多いので、とりあえず代表として語られることが多いのです。
 今回は、簡単にセクシュアルマイノリティの中でも代表的なLGBTについて説明をさせていただきました。
 次回からは、タイトルにもなっています私の性別(性自認)の紆余曲折について、自分の子どもの頃からの話を交えて、少しずつお話をさせていただきたいと思います。

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