見出し画像

情報共有は、デイリースクラムのように

こちらは、私の所属する株式会社レッドジャーニーのアドベントカレンダー5日目の記事となります。

今年もレッドジャーニーのメンバーが毎日記事を投稿します。ぜひ、気になる記事をチェックしてみてください!

本編

先日、「上司との情報共有がうまくいかない」というお悩みを聞きました。
話をよくよく聞くと、自分たちのプロジェクトがうまくいっておらず、その進行状況について組織内報告をする際に、上司にわかりやすく伝えられておらず、結果として、プロジェクトがうまくいく方向へ持っていきにくい、という内容でした。

周囲の関係者とうまく情報共有し、プロジェクトが前進するような状況にできるか、考えてみました、というのがこの記事の内容です。

情報を、相手の関心の粒度に合わせる

チームの中では、タスクや進行の想定について、バックログや線表を用いて可視化し、スクラムイベントを通して、透明性を高めていることかと思います。

具体的には、「いつ、誰が、なにをやるのか」「どうなっていたら、タスクは完了なのか」「大きな流れとして、これに取り組んだら、次はこんなことに取り組む想定である」といったことを常時共有しながら、プロジェクトは進みます。

チーム外の人、特に上位層や協力会社の方々とは、プロジェクト自体の大きな線表 (プロジェクトスケジュール) を共有することは多いでしょう。
(むしろ、プロジェクト立ち上げ時や協力依頼をする際に、必要なドキュメントとして作成を求められる方が多いかもしれません)

チーム内で日々使う線表とこのプロジェクトスケジュールは、必然的に情報の粒度は異なるかと思います。
たとえば、プロジェクトスケジュールの方に「仮説検証」という粒度で2ヶ月をおいていたとしても、チームの動きとしてはこの2ヶ月の「仮説検証」のなかでさまざまなことをしなければなりません。透明性を高める必要のある、解像度が違う、ということです。

このように、共有すべき相手が必要とする粒度に合わせて、情報を取捨選択・抽象化することが大事です。

上司への報告を行う際に、上司が知りたい・上司に知っておいてほしいことに合わせて、ポイントをしぼることで、チーム外との透明性を高めることができるのではないでしょうか。

報告の狙いを明確にする

情報の透明性が担保できたら、報告の狙いを明確にしましょう。

組織内での上司報告は、ただの「共有」であるというより、なにかしらの「判断」を求めるケースが多いと思います。もしくは、「相談」なのかもしれません。報告をするチームの側で、上司にどうしてほしいのか、が明確になっていないと、報告を受ける上司もどうすればいいかわからないですよね。

報告の狙いを明確にする、ということはつまり、論点を明らかにする、ということです。

「今回の報告で、上司にどうしてほしいのか」。
単に、「今はこういう状況であり、問題なし (または、問題はあるが、チームで解決可能) です」なのか「今はこういう状況で、ここに困っています (ので、助けてください)」なのか、さまざまかと思います。

冒頭でお話ししたケースでは、論点を明確にしていなかったため、チームの状況だけをとにかくお伝えし、上司の方も「気になること」を五月雨に指摘・コメントするため、チームもすべてを宿題として持ち帰り、本当の相談ポイントが埋もれていく、という状態でした。

判断に必要な情報をまとめる

では、普段からプロジェクトに入り込んでいるわけではない上司に、なにかしらの判断をしてもらうためには、どうすればいいでしょうか。

これには、判断ポイントたる論点に合わせて、判断に必要な情報を整理して伝えることが不可欠となります。

  • 今どういう状況か (どういう想定で、今なにが起きているか)

  • この先、どんな展望か (なにをしようとしているか)

  • 判断ポイント・論点 (現状起きている問題、この先進めようとしたときに生じる課題、相談ポイント、悩み・懸念 etc…)

これらは実は、スクラムイベントのひとつ「デイリースクラム」で用いられる「3つの質問」と同じものです。
(現在最新のスクラムガイドには記載がありませんが、過去版では記載されていました)

開発チームがスプリントゴールを達成するために、私が昨日やったことは何か?
開発チームがスプリントゴールを達成するために、私が今日やることは何か?
私や開発チームがスプリントゴールを達成する上で、障害となる物を目撃したか?

スクラムガイド スクラム公式ガイド:ゲームのルール
P. 10 デイリースクラムより抜粋
2017
https://scrumguides.org/docs/scrumguide/v2017/2017-Scrum-Guide-Japanese.pdf

デイリースクラムはもちろん開発チームで行いますので、互いの文脈もよく理解しており、毎日開催するため時間軸としての粒度も細かい内容ですが、情報共有のための構造としては必要にして十分な内容となっているのですね。

今回は、上司の方への情報共有をひとつの例としてまとめましたが、「他者へなにかを伝える」という際には、「デイリースクラムのように」を意識していきたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?