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ガイドブックをお供に歩く

後輩がイタリアに短期留学する。

世界情勢は相変わらず不安定だが、いつかいつかと最善の時期を待っていてもそれは訪れないもので、機会があればそのときに行くべきだと思う。それに学生である時間にも期限がある。

後輩の留学先は、私が2019年にお世話になった場所と同じである。私のときの様子は、日本バーチャルリアリティ学会誌のワクワク留学体験記に書いたので、興味があれば読んでほしい。

留学に際してお世話になったものはいくつかあるが、その一つが「地球の歩き方」ガイドブックである。今はオンライン検索でなんでも調べられる時代だが、見知らぬ海外に行くとなると、紙の情報がまとまって手元にあるのは心強い。私は「地球の歩き方 ガイドブック A12 フィレンツェとトスカーナ」を購入して旅のお供とした。

観光ガイドブックは様々あるが、主要な都市の主要な観光地とモデルコースを大きな写真で並べたような情報は、案外役に立たない。一方で、ネットで片っ端から調べるのも大変である。地球の歩き方は、程よい分量で情報がまとまっている。滞在したシエナの情報も数ページではあるが詳細に書かれていた。文字の多さが気にならないのであれば、おすすめできる一冊である。

当然のことだが、観光地ではガイドブックを大っぴらに持ち歩いてはいけない。明らかに慣れない観光客のような振る舞いをしていると、スリやカモに遭う。お守りのようにカバンにしまっているくらいがいい。

私がイタリアに行ったのは、コロナ感染症流行の前である。現在、ある程度落ち着いてきたとはいえ、海外渡航に関する状況はかなり変化してしまった。そんな中で、地球の歩き方は、「地球の歩き方ムー~異世界(パラレルワールド)の歩き方~」や「地球の歩き方 JOJO ジョジョの奇妙な冒険」といったユニークな書籍を発売している。はたして、これは観光ガイドブックなのだろうか?

考えてみれば、私たちは、異国の地に訪れることで貴重な体験を得る。そしてそれは、異文化に触れることで新しい情報との遭遇も楽しんでいるとも解釈できる。ガイドブックは、その体験の一部を担っているように思う。であるならば極論、文化や情報が集積しているのであれば、それが実在しているか否かは最重要ではなくなるのかもしれない。

そもそも、古くから地獄や極楽の案内図が考えられたりするのだから、実際に行けるかどうかよりも行きたいかどうか、その魅力が大切なのかもしれない。その意味ではユニークな地球の歩き方もありなのかもしれない。とはいえ、それはもはや海外旅行とは関係ないのだが。

さて、地球の歩き方の話から空想世界の旅へと話が脱線してきたので、そろそろ筆を置こう。また誰もが気軽に世界を巡れる世の中が訪れて、ガイドブックをカバンに入れて街歩きができる日を願いながら。


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