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上手に掴めるかな?

2022国際ロボット展に行ってきた。

ロボットがガチャガチャと忙しなく動く姿を眺めているのは楽しい。久しぶりに現地開催のイベントに参加したというのもあるが、東京ビックサイトが視界に入るときの高揚感は何度でも味わいたいものである。

今回のロボット展は東ホールを8棟、西ホールを2棟使って開催され、産業用ロボットやサービスロボットをはじめ、ロボット本体に限らず、その構成部品の供給やソリューションの提供といったさまざまな分野の企業や大学、研究機関が出展している。こういったイベントは、主には商談目的で開催されるが、本展はロボットを扱うために一般向けを意識したものも多くある。

個人的には、高速で動くリニアアクチュエータや直径500mmもある減速機、無限回転できるエンドエフェクタ用ロータリージョイントといった要素部品にも見どころが多かったが、一般的には、やはりロボット本体の展示が興味を引くだろう。そこで、展示されていたアバターロボットを紹介する。

Hondaアバターロボット

ひとつめは、本田技研工業株式会社Hondaアバターロボットである。

展示ブースは、生活環境を意識した内装になっており、デモンストレーションでは、操縦者の視点映像、ロボット制御画面をそれぞれモニターに表示していた。

ハードウェアの特徴として、ワイヤー駆動のロボットハンドがある。これは、アクチュエータを手の中ではなく腕側に配置する点で、人間の手に近い構成であり、繊細な動作と高出力を両立するためのアプローチである。ただし、一般的にワイヤー駆動はメンテナンスが大変なので、ハードウェアの完成度が求められるのだろうなと感じた。

ソフトウェアでは、視線を用いた操縦者の意図推定が行われており、その推定結果を用いてどの物体を把持するのかを決定している。ハンドによる把持はロボット側の自動制御が主体になることも多いようなので、人間による直接操作とロボットの自動操作をうまく組み合わせているようである。

また今回は、初号機のような位置付けのためか、顔部分は機能優先の配置になっていた。広角カメラ2つと深度カメラが4つ取り付けられており、深度カメラがなんとなく眉とも捉えられるような配置をしていた。

人機一体 零式人機 ver.2.0

ふたつめは、株式会社人機一体の零式人機 ver.2.0である。

クレーン車の先端にヒューマノイドロボットが取り付けられ、操縦者は後ろの操縦席から操作する。パワー増幅バイラテラル制御があるので、おそらく操縦者は力覚フィードバックを受けながらアームを操作できる。

クレーンが上方向に天井に届きそうな程伸びた状態でロボットが動いている様子は圧巻であった。展示の見せ方やデザインなど、ロボットアニメが好きな人にはたまらないデモンストレーションになっていたかと思う。

アバターロボットの時代へ

2017年の国際ロボット展では、トヨタ自動車株式会社がヒューマノイドロボットT-HR3を公開していた。

上で紹介した以外のアバターロボットの展示や、今回出展していないいくつかの企業も研究開発を進めている。私はこのような状況を経て、ヒューマノイドロボットは新しい時代に移っていくのだと考えている。

もちろん、今でもヒューマノイドロボットの未解決問題は少なくない。例えば、モラベックのパラドックスのようなものや産総研で行われてきた人型ロボットの話は梶田氏のこちらに詳しい。しかしながら、これらの取り組みの中で育まれた技術は、アバターロボットと名前を変えて引き継がれていくのだろう。

最後に余談だが、アバターロボットのデモンストレーションでは、操縦者の演技力が実は少し重要である。私も過去にテレイグジスタンスロボットの展示の際に操縦したが、身振り手振りを大袈裟にするといった工夫が必要だったりする。こういうのは、マスコットキャラクターの中の人に通じるものがあるかもしれない。話が脱線したので、この辺りで筆を置くことにする。







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