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プレミアリーグクラブのビジネス


£105mでのアーセナル移籍が噂されるウエストハムのMFライス

2011年6月にUEFA(欧州サッカー連盟)のファイナンシャルフェアプレーを導入しました。これは、欧州クラブの財政の健全化を目指して導入されたもので、赤字経営を禁止することが目的です。これまでは、クラブオーナーによるぽっけとマネーで移籍金を支払うこともできていましたが、このルールができたことによって、様々なルールが厳しくなっています。
実際、これまでにはパリサンジェルマンやインテル、パナシナイコスなどが制裁金やUEFAが主催する大会の出場権のはく奪をされたことがあります。

今回は、UEFAのファイナンシャルフェアプレーではなく、プレミアリーグが独自で設定しているルールについて解説していきたいと思います。

Profitability and Sustainability Rules

今回は、プレミアリーグのProfitablitiy and Sustainability(P&S) Rulesについて触れていきたいと思います。このルールでは、クラブが許容される損失について制限が設定されています。
現在のルールでは、以下となっています。

プレミアリーグ・・・・35mポンド/年間
下部リーグ・・・13mポンド/年間

これは、現在年間35mポンドの損失が許容されており、3年間で最大許容損失が105mポンドと設定されています。これらのルールは、下部リーグのクラブにも定められており、所属するリーグによって異なります。コロナの影響を受けた際には、上記のルールを一部緩和させ、クラブの経営をコントロールしていました。

プレミアリーグクラブの営業利益

直近のプレミアリーグクラブのPLをご紹介します。

チェルシーが最も赤字を出しており、この3年間で552mポンドの赤字を計上していることがわかります。次いで、エバートンの380mポンド、アストンビラの281mポンドと、プレミアリーグクラブの経営状態はあまり思わしい状況だとは言えないかもしれません。ちなみにこの期間内で営業利益を計上できたのはトッテナム・ホットスパーズのみとなっており、その額もわずか5mポンドでした。

選手の売却によって数字を作るプレミアリーグクラブ

プレミアリーグクラブに留まらず、巨額な金額を投資するクラブの多くは会計の処理方法によって助けられていると言えます。

8年契約でチェルシーに加入したFWムドリク

プレイヤーを売却した際に得られる利益はすぐに計上されるのに対し、プレイヤーを獲得する際のコストは、償却することができる=契約年数を長くすることによってインパクトを分散することができる仕組みになっています。

2021/22シーズンに£41mでローマに売却されたFWタミー・アブラハム

そして、この仕組みがあるため、チェルシーは2021/22シーズンは269mポンドの売上を計上し、次いでマンチェスターシティの161mポンドという巨額な売り上げを創り上げることに成功しています。

チェルシーの選手取引のモデルは、巨額の営業損失を出しているにも関わらず、FFP規制内に留まることができており、クラブの経営・成長に大きな成果をもたらしました。

その他、クラブの取り組み・・・

スタジアムなど、様々なアセットを活用して収益を上げるクラブもありました。

アストンビラは、スタジアムを別のグループ会社に売却することで、36mポンドの営業利益を生み出しました。他にも、ブレントフォードは新しいスタジアムを建設する上で、土地の譲渡などの関係から14mポンドを稼ぎ出したともいわれています。

まとめ

このようにプレミアリーグのクラブは、選手の売却や自分たちが保有するアセットを活用し、収益を得ることで利益の確保に動いています。

実際に、2021/22シーズンにおいては、ブレントフォード、バーンリー、ウルバーハンプトン、リバプールが税引前利益を黒字化させています。しかし、それ以外のクラブは赤字となっており、その中でもエバートンの-287mポンド、チェルシーの-283mポンドという、プレミアリーグの中でも際立っているクラブは改善が必要です。

プレミアリーグクラブによるスーパースターの獲得は相次ぐ中で、ベッティング企業によるスポンサー禁止など、クラブやリーグにとっては、厳しい条件になりつつあるのも事実です。

今後のプレミアリーグの動向にも注目です!

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