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#110 逆転の発想はこうして生かせ!興味ゼロだから得られるモノ

今回のテーマはスポーツです。あまり扱わないテーマですよね。
私は身長が高い方で、180センチあります。そして、特に太ってるわけでもなく初めて会う人からは、大抵「何か運動されているのですか」と聞かれます。100人中、97人ぐらいから聞かれます。

実は全くしていないんですね。

今でこそ、小学生のときに始めたテニスを再開したぐらいで、でも全然上手くありません。子供のときから本当に運動が嫌いでした。だから、体育の授業は苦痛でしかなくて、特に中学や高校に進むと、なにやらせてもうまい人っているじゃないですか。サッカーができる人間は、走るのも速いし、水泳もできたりする。みんなのヒーローです。

私は全てにおいて駄目なのです。見た目はスラッとしていて、自分でいうのもなんですが、何かこう運動できそうなのだけれども、全くできないのです

今から思うと中高の体育は本当に悪い教育方法だったのでは、と思います。
例えばバレーボールの授業の場合、班分けをしていました。上手い人、中くらいな人、そして下手な人のグループ。下手な人のところに私は分類されます。そのグループでやるのが一番私に見合っているのですが、なんの成長も見込まれません。自身も育ちません。そのようにして過ごしてきたからか、スポーツには本当に関心がなくて、だからもう私は報道に命を捧げようと思い入社し、フジテレビのアナウンサーになり、ニュース番組を担当することになりました。

運動嫌いなのにアウトドア番組に数多く出演

アナウンサーだった当時、会社は面白いことを考えるな、と思わされることがりました。上司を含め、みなも私がスポーツはやらせてもダメだし、知識もない、ということを知っています。興味も関心もない。

逆に、だからアウトドア番組によく連れ出されていました。何もできなかった森下アナが、3日後、こんなにできるようになりました!という構成を作りたくて、です。

たとえばシーカヤックのロケのときは、本当にできないのです。まったく思う方向に進まない。ヤラセでも何でもなくて、まったくできないのだけれども、不思議と教える人が上手いと、3日経つとできるようになるのです。

ま、それは置いといて、夕方のニュース番組をずっとやっていたのですが、森下は何にも、どのジャンルにも興味がない。だからこそ、よし、メジャーリーグの取材に行かせようとなったのです。びっくり仰天。どういうことかというと、ニュース番組の主な視聴者層は主婦の方々です。私と同じぐらい、スポーツにはあまり関心がない人が多い。野球、メジャーリーグもそうです。

でも当時はイチロー選手がアメリカで大活躍していた時代で、これをどのようにしたら視聴者に関心を持ってもらえるか、考えたのです。アメリカで活躍をしている以上、報道はするのですが、どうせなら、みんなに興味を持ってもらいたい。それがなぜか、森下がアメリカに行け、となったわけです。

上司からは「お前が現場に行って、現地で不思議だな、と思った事を全部リポートしてこい」と言われました。つまり、野球実況のプロとか、本当に野球に通じてる人が話しても、プロ目線で見た解説は、知識がない人におっては面白くないのです。

基礎が出来ていて、その上にさらに過去のいろいろな実績があり、それらを踏まえた上での分析をされたら、もうまったく入っていけないのです。だったら、何にも知らない森下が「これ面白いな、不思議だなと思うことを全部リポート取材してこい」となったのです。

これは面白いなと。

「野球の取材」と言われた時は、はじめとても荷が重かったのですが、上司の一言で、一気に軽くなりました。
「これなんだろう?」「なんでこうなるの?」そうした疑問こそが、視聴者が知りたいこと。この考えでOAした結果、とても視聴率が良くて、本当に不思議なのですが、これ以降「メジャーリーグの取材といえば森下」となり、アメリカに何回も行きました。スポーツ実況をしてる先輩アナウンサーからは冗談半分で「なんでいつも森下なんだ!」と言われていました。

ぶっちゃけると日本とアメリカでは野球のルールは違うのではないか、とすら思っていたくらい、ど素人だったのですが。

こうした逆転の発想で、多くの人が楽しんでくれました。

初めて見たサッカーがW杯・日本対ドイツ戦

サッカーのワールドカップの取材もいきました。やはり同じ理論ですね。野球にしても、サッカーにしても、とても詳しい人が行っても面白くない。ということで取材したのが、弾丸ツアー。
関西空港からチャーターしたJALの飛行機がドイツに行きます。日本対ブラジル戦をドイツでみて、それが終わったら直ちに帰国する、というもの。

そもそもサッカーに興味もなければ、ドイツ滞在がそんなに短いの、て…せっかくあんなに遠いところまで行くのに、すぐ帰国かぁと凹んでいたのですが、機内は超盛り上がっていました。なにせ生粋のサッカーファンしかいません。

その中に、何も知らない僕がいる。

むしろ、皆さんが私に興味を持ってくれました。
「森下さんは、どの選手が好きなんですか」
「いや、正直誰もわかりません:
みたいな。でも、そこまで知らないと逆に本当にたくさんいろいろ教えてくださって、多くの人たちと仲良くなりました。

そうこうしているうちに、着きました。バスにの乗り換え、サッカー場に着いて、30後ぐらいには試合が始まりました。ブライル相手に、なんと日本が先制点を取ったんです。さすがにブラジルが比べ物にならないほど強い、ということぐらいは知っていたのですが、先制点をとってしまった。その後、ブラジルまさに切れた状態になりました。一気にブラジルが点を重ねて、日本は完敗。素人目にも明らかな流れの変化でした。

そして、その余韻も何もなく「はい、バスに乗ってください!」と促され、バスですぐさま空港へ。そのまま帰国しました。

これがまためちゃめちゃ視聴率をとったのです。

こうした経験をどのようにして実際の生活に生かすか。
「逆転の発想」とはいうものの、いざ実行に移すとなると結構荷が重かったりしますよね。でも、そういうことをしてみると、意外に周りの人が助けてくれる。応援してくれる。知恵を貸してくれる。

だから皆さんも「これ苦手だな」「あれ嫌いだな」「あんまり好きじゃないな」と思うことこそほどやってみる。

すると、新しい発見があるのです。嫌だったら本当にやらなかったらいいんです。ちょっとやってみて、OKだったならばそれはそれでいいだけの話で、嫌ならやめる。そんな生活を心がけていきたいなと自分で書いておきながら、改めて思ったのでした。

(voicy 2022年11月24日配信)

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