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#93 飲料水も価格変動制に!AIの進化でお金が吸い取られていく

今回のテーマはダイナミックプライシング。利用する人の多さ、少なさ、そうしたものを考慮して値段が変わっていく仕組みですね。

東京ディズニーランド、シー、これに導入されたときは驚きでした。今どうなっているのかといいますと、ディズニーチケット、大人の場合、ワンデーパスポートの一番安いときは7900円。その後、8400円、8900円とあがっていき、ハイシーズンは9400円になります。この価格差は大きいですよね1500円あります。

そしてユニバーサルスタジオジャパンでも導入されています。一律7900円、これ一昔前なんですけれども、それが新しい価格、2022年の10月から一番安いときは8900円、真ん中9400円、一番高くて、9800円。

ディズニーもUSJも、ともに一番高いときは1万円近くします。家族で行くとなるとこれ結構大変ですよね。

僕がダイナミックプライシングに一番驚いたのはアメリカに赴任したときでした。アメリカの航空運賃が季節によって全然違うんです。目を見張るぐらいの差があって、確かにここまで差をつけられると時期を選んで旅行するなと思わされました。かなり大きな価格差だったことを覚えています。

でも、当時日本ではそこまで航空運賃で、ダイナミックプライシングと言えるようなもの、そんな大きな差はなかったと思います。
わかりやすいのがマイレージです。
むかしマイレージでよく旅行に行っていました。というのも、アナウンサー時代はリポーターとしての国内出張がものすごく多かったんですね。ANAを主に使うようにして集中的にマイレージを貯めていました。当時はたしか1万5000マイルで、全国各地往復できました。

少しうろ覚えですが、2ヶ月前の午前10時とか11時とか、決まった時間から受付が開始されていました。だから、自分が行こうとする日付の2ヶ月前にアラームをセットして、パパっと押さえる、ということをしていたのですが、今はもうだいぶシステムが変わっています。

距離に応じて必要マイル数が変わる時代になっています。今は一番短い区間でローシーズンだと往復1万2000マイル。一番遠い地域でハイシーズンだと2万3000マイル。だから最も少なくて1万2000マイルから最大2万3000マイル。1万1000マイルもの差が生まれるようになりました。

この変動性が導入される前は1万5000マイルだったんですよね。

AIの進化でお金がよりかかる時代に?

このように、どんどん生活にダイナミックプライシングやその類のものを、いろいろな企業が導入しているんです。一つにこれが可能となったのは、AIが進化したことによって、人の出入りであったり、そうした増減、それが計算できるようになった。

そしてついに、私達にすごく身近な自動販売機。飲み物を売っている自動販売機にも、なんと2023年1月から、富士電機がダイナミックプライシングを導入するというんです。日経新聞に載っていました。記事を紹介します。

富士電機は2023年、自社の飲料自動販売機に需給に応じて価格を柔軟に変えるダイナミックプライシングを導入する。賞味期限が迫る場合は、飲料メーカーなどが商品を値下げできるようにする。猛暑などで需要が高まる際は、値上げする機能も順次追加する。

日経新聞

だそうです。時期に関しましては、2023年1月に発売する新製品「サステナ自販機シリーズ」で、同年中にダイナミックプライシングに対応するということで、2023年中には、街にこの自動販売機が登場するということですね。日持ちしにくいホット飲料用中心に値下げするとあります。

冒頭で書いたアメリカの航空会社のものすごく大きな価格変動に対しては、なんて世知辛いんだ、と僕は当時思ってしまいました。ただ、子供もいませんでしたし、海外の場合は日本ほど、何曜日にこれをやらなくてはいけない、という決まりがないんです。毎日番組を放送しているわけではないので取材が主となります。

だから逆に言うと、柔軟に、記者同士で話し合って、自由に休みをとることができました。なのえ、あえて安い期間を見定めて旅行に行ったりしていたのです。だから、アメリカの航空会社のダイナミックプライシングは僕にとっては、その行動、予定を決定する大きな要因になっていました。しかし、子供ができると、なかなかそうも言ってられないですよね。学校がありますし、習い事もある。そして、自分自身の仕事の問題もあります。

だから、僕はこうしたものが導入されることによって企業のイメージってどうなるんだろうと考えてしまうんですよね。

猛暑だからといって、いつも140円で買えていたドリンクが250円とかになったら「うわ、えげつない」と僕だったら思ってしまいます。ディズニー、USJもそうですが、導入されたとき、これもまた「えげつないな」と、どうしても思ってしまいました。ただ、それができるのはやはり大手だからというのもあると思います。

値上げしても、お客さんが来る。逆に言うと、それだけ魅力があるからできるという見方もできると思いますが、飲み物となってくるとね。だって、熱中症を予防するために、こまめに水分補給をしましょう、なんて呼び掛けているのに、その最中に猛暑だからって値上げされると、ちょっと僕としてはモヤモヤしたものが残ります。もちろん、企業のサービスであるからでは買わなければいいじゃん、という話なのですが。

時代に自分が付いていけていないだけなのか。

こうしたサービスや商品にダイナミックプライシングが導入される流れというのは、もう止まらないと思うんですね。AIが進化する、そしてそういった日時に応じた価値を見定める技術がどんどん身近なものになっていく。
だから、ひょっとしたらモヤモヤしている、とは私は言っているものの、皆さんも含めて、こうしたものが日常になっていくということに頭を切り替える、慣れていかなくてはいけない時代なのかもしれませんね。

(voicy 2022年10月21日配信)

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