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#57 2000人超に取材!話が盛り上がり仲がよくなる簡単な3つのテク

今回 のテーマは「聞く技術」です。

アナウンサーを9年やってました。その後、NY特派員も含めると10年ぐらい記者をやっていたので、ほとんど毎日、人と接する仕事をしてきました。
今になってこそ、プロデューサーという立場で番組を作っていますが、それまでの8割9割の僕の社会人人生は、人と話をする、そして仲良くなる、まさに、聞く力が試される仕事でした。

その際、どういった点に注意をしていたのか。三つポイントがあると思っています。

聞く力が試される3つの重大ポイント

一つは目線
目を合わせたほうがいいのか、合わせないほうがいいのか。話を聞いているとき、どこに目を合わせたらいいのか悩む人結構多いと思います。

二つ目は質問のタイミング。

どのタイミングで質問をするのか、つまり、割って入るのはNGなんですけれども質問をするのは正しい。この割合、僕なりに導き出した答えがありますので、後ほど説明します。

そして三つ目はどのようにして話している人、つまり私達が聴く側になったとき、話している人が面白く楽しく幸せな気持ちになれるか。

これはまさに、聞く側の力量が試されます。

まず一つ目、目線。ずっと見る必要はまったくもってありません。お互い疲てしまいます。ではどういうときに目線を合わせるのか。例えば、相手の方が何かを説明していたとする。当然疑問が湧いてきます。ずっと説明を聞いてる間、目を見てると疲れてしまうので、僕がよくやるのは考えてるふりをして、ちょっと長めに斜め上を見たり、自分の手元を見たりします。

やはり目線を外すことはすごく重要なんです。そして質問をするとき、ここぞというときに目線を合わせ、その相手の方の目を見て「すみません、先ほどおっしゃったこれなんですけれども…」と切り出す。相手に質問をするときは目を合わせる。そして相手が説明をし始める。しばらく目を合わせて聞いてるんだけれども、どこかのタイミングでちょっと、横の方に目をずらす。それで十分だと思います。

ここぞというときに目線を合わせればいいんです。そして、例えば相手の方の説明なり、話が佳境に入ってきたなと思ったときにちょっと目を合わせる。なので、ずっと合わせる必要は全くないんです。

質問する割合は3対1

質問するときは必ず目線合わせてほしい。この人関心がある、ということが伝わります。

そして、質問する割合ですが、僕が今までやってきた感覚でいうと、例えば話しをしている相手が三つの要素を話していたとしたら、そのうちの一つについて質問するとちょうどいいと思います。3対1ぐらいの割合です。というのも、全部説明することに対していちいち質問していたら話が全然進みません。それに、そんなに自分、つまり聴く側の私達にとって、相手はまったくもって訳のわからない話をしているわけではありません。お互い共通のテーマだったり、なんらかの共通項に関して話をしています。

なので、これは何なんだろうか、もし思ったことがあったとしたら、三つに一つの割合で質問する。すると、ほどよく会話が弾んでいきます。

そして相手もここに関心があるんだな、ちゃんと聞いてくれてるんだな、と思います。そのように相手が思うことによって、お互いの関係性がより良くなります。聞きっぱなしも疲れちゃいますからね。

ちゃんと脳みそ働かせる、そういった意味でも、程よい質問ってのは重要です。

気持ちよく話してもらう方法

そして最後に、気持ちよく話してもらう方法。

これは一人一人、例えば好みであったり、笑いのセンスであったり、関心時も本当に1人1人違うから、1人1人に合わせていく必要があります。

過去の経験例ですが、政治部の記者は自分が担当する政治家さんの自宅を、朝、夜に回ります。いわゆる、朝回り、夜回り、というものです。朝、永田町行く前に自宅に行き、そして、朝出てきたところ話を聞く。そして夜、自宅に帰ってくるところを待つ。基本、何時に帰ってくるかわかりません。雨の日も雪の日もひたすら待ちます。

朝回り、夜回りは自分1人でやってるわけではなくて、各テレビ局そして新聞社、雑誌社含めて十五、六人でやります。僕が記者になったときは、既に番記者の人たちは、対象の政治家と一定の関係を築いていました。

途中から入ると、イチから関係を作らなくてはいけません。これが、なかなかハードルが高いんです。だって、他社のライバルたちはもう1年とか2年毎日やっている。当然顔見知りになります。新参者がそこに入っていくには工夫がいります。

僕が担当した政治家さんは、政府の要職に就いていましたが、関係性でもって差別したり、贔屓したりすることはない人だったのですが、僕個人的には人間性、考えていることとかが大好きで、どうにかして仲良くなりたいな、と思いました。では、どうやって食い込んでいくのか。

夜回りでは政府の方針であったり、補足事項であったりそういったことを説明してくれます。マル秘ネタを話すわけじゃなくて、例えばその日の官房長官の会見だったり、さまざまな出来事に関して、実はこういう背景があるんだよ、などのレクチャーをしてくれるんです。

日々の出来事を整理し、新しい情報をインプットできる場なんです。でも、やっぱり個人的に仲良くなりたい。

彼もお酒飲んでご機嫌な雰囲気で帰ってくることがあります。彼はダジャレが好きなので、ちょいちょい挟んでくるのですが、面白いときもあれば正直つまらないときもある。でも、各社みんなとりあえず笑います。

これじゃないかなと僕は思ったんですつまり。彼のが一番楽しんでるのはダジャレ。政府の方針の説明をしてくれますが、楽しんでいるのはダジャレ。それを記者が聞いてくれる。だから、勝手に採点することにしたんです。

偉い人ですよ。名前を挙げたら必ず皆さん知ってる人です。

でも採点をすることにしました。つまらないのもあるので。なので、彼がつまらないダジャレを言った時「先生すいません、今のは10点です」と言ってみました。

字面でみると厳しい表現ですが、彼の性格もわかっていましたし、多分こういうコミュニケーションを楽しんでくれるだろうな、と思い採点をしました。そしたらものすごく笑ってくださいました。そのうち、ダジャレを言うたびに「森下、いまのは何点だ?」なんて聞いてくれるようになりました。

これが良かったんです。僕もダジャレが楽しみになっちゃって。面白いときはちゃんと高得点を出します。「80点です!」とか。こんな会話のやりとりで関係性が、一気にぐっと僕の中で縮まりました。

会話が楽しいじゃないですか、聞く力というのは、会話をする力でもあるんですね。

なので、相手がどこに最大の関心をもっているのか、何を話してるとき一番楽しそうなのか、嬉しそうなのか、それをきちんと見て聞いて、理解して、性格も理解して、そこを膨らませていくことにより、より関係性が高まっていくわけです。聞く力が最も試されているシチュエーションとも言えます。

まとめになりますが、相手が話してること、特にどこに力を入れてるのか、そこをきちんと見極める力、そしてそこに対して疑問をきちんとをぶつける。

加えて、もしちょっとゆとりがあるならば、先ほどのダジャレの採点ではないですけれども、相手のプライベートな部分で興味を持っているところに話を振る。そうしたら盛り上がるし関係も近くなると思います。

今日は2000人以上を取材してきた経験をもとにした「聞く技術」をテーマに書かせていただきました。

(voicy 2022年7月21日配信)

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