新型クラウン試乗記

第1章 クラウンとは
いつかはクラウン。
なんてキャッチコピーで以前トヨタのフラッグシップモデルであったことは説明するまでもない。以前のトヨタ車は厳格なヒエラルキーの元構成され、カローラ、コロナからマーク2、そしてクラウンというステップアップしていくのが成功者の証、という空気感があった。例えば支店長はクラウンに乗っていいが、部長はマーク2までしか乗ってはいけないなどという、今の人には理解できないヒエラルキーがあった。
クラウンはサラリーマンの憧れだった訳だ。

しかしトヨタ渾身の高級車セルシオが登場し、その後高級ブランドレクサスの展開から、もはやそう考える方はあまりいないだろう。
むしろ地方のマイルドヤンキーな方々には、いつかはアルファード、の方がしっくり来るか。
そんな状況の中、今後のクラウンの立ち位置は相当難しいだろう。
聞けば新しいクラウンはトヨタ自慢のTNGAモジュールを採用し、グローバル水準の高性能車として売り出したいようだ。

クラウンは日本専用車だ。輸出はしない。

トヨタは今後車種整理してグローバル共通のモデルに統廃合していくと言われている。果たして日本専用車のクラウンはどうなのか。

こう言ってはなんだが、クラウンというクルマは過去私の興味の外にあるクルマである。経験と言えば終電乗り遅れて泥酔状態で乗った個人タクシーか、高速機動隊パトカーの後部座席に乗った事があるくらいだ。

さて、ここ10数年のクラウンのトピックといえば、2003年に登場した18代目RS180系、通称ゼロクラウンだろう。
その後のマークXやレクサス各車で採用されていく新設計Nプラットフォーム初採用、そしてそれまでの直6からV6エンジンへの移行が行われた。
少しだけヨーロピアンなクリーンな風貌とカタイスポーティな足回りで、それまでのクラウンの概念を覆した。
旧態依然な雰囲気だったクラウンがイキナリ変わり、若い方々や30代40代サラリーマンも興味を惹くクルマとなった。

次の19代目RS200系(RS190はレクサスGSの型式の為一個飛ばし)はキープコンセプト。V6ハイブリッド(ロイヤルサルーン系のみ)が加えられ辛うじて商品性を保った。

更に次、先代RS210はターボエンジン搭載車追加、ハイブリッドは直4に格下げだがアスリートでも選択できることと、安価となった事から、ハイブリッド車が一気にスタンダード化した。
登場時ピンククラウンなどと無茶苦茶な宣伝で若者の目を惹こうとしたが、若者はそんなのよりアルファード/ヴェルファイアの方がよっぽど気になるだろう。
若返りが図れてるようには到底思えない。
アウディばりのデカいグリルも、アスリートはともかくロイヤルサルーン系はどう見ても不細工。ロイヤル系はハイヤーかパトカーくらいしか需要無かったのではないか。ロイヤル系はこの状態でリリースを止める人間がいなかったのが不思議なくらいだ。

そう言えば、マジェスタはこのRS210型からクラウンを単に全長とホイールベースを引き伸ばしただけとなった。V6ハイブリッドはマジェスタ専用とはいえ、ハイヤーでしか見た事が無い。事実上統廃合と考えて良い。

そんな状況下で新型RS220系クラウン登場である。

第2章 新型クラウン考察

今回TNGAのGA-Lプラットフォームが初採用された。今後のレクサス車は皆コレになるであろう、大型FR車向けグローバルプラットフォームである。
気になるのはフロントサスペンションがマルチリンク式に変わった事だ。

クラウンは1955年登場の初代から一貫してダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用していた。前から見た時、タイヤが上下のアームで支えられている形状である。
このアームは幾何学的にAの形をしている事から、Aアームとも呼ばれる。Aの頭先端がタイヤ、足二箇所が車体にヒンジの様に取り付けられ、前後方向には動かず、細かい話抜きにすれば上下方向にだけ動く形状だ。
Aアームに対してIアームと呼ばれる形もある。この場合車体側は1箇所で取り付けられるので、上下だけでなく前後方向にも動く。なので、タイヤの前後方向位置決めに一本だけでは成立しない為、もう一本のアームを追加して支える形になる。この形はアーム、つまりリンクが複数あるのでマルチリンクと呼ばれたりする。
マルチリンクの定義や形状はもっとあるが、シンプルに言えばそう言う事だ。

A型なら1つで済むものをワザワザI型で複数アームに分割するのにはもちろん意味がある。
1つは動的アライメント変化の管理。例えばタイヤが上下に動く際、各アーム長が違えば、水平長さであるsinカーブが変わる。よってそれぞれのアームが水平方向に引っ張ったり押したりするので、タイヤの角度が変わる。コーナリングで車体が傾いた時、タイヤ接地面を有効に使うため、また路面から進行方向への力が加わってもタイヤの角度がとっ散らからない様に力に対抗できる方向に引っ張りたい、そんな意図だ。
もう一つはキングピンオフセットの解消だ。キングピンオフセットとは、操舵した際の回転軸とタイヤ中心との距離。この距離が長いと操舵時に路面からの反力モーメントが大きくなり、ステアリング操舵が重くなる。更には操舵時にタイヤ接地面が変わる為、タイヤの能力を引き出しにくい。
この問題を解決できれば、ステアリングのフィールとコーナリング能力が高まる。
アームを分割する事で操舵した際、それぞれのアームは独自に動けるので、動的キングピン軸(操舵中に変化する操舵軸)を仮想的に設定できる。この仮想キングピン軸を極力タイヤの中心になるよう設計する事で、事実上のキングピンオフセットを解消するのである。

クラウンのフロントサスペンションはこの後者の解決を目的としてマルチリンクを採用した。コレは最近の欧州高級車で広く使われてる形で、トヨタでも先代レクサスLSから採用されている。

この形式の欠点は、サスペンション取付部の設計と品質管理が難しい事だ。各アームはゴムブッシュ(円筒形のゴム)で取付られ、ゴムブッシュはアームが上下にも前後に動けるようにしなければならない。
しかし、タイヤの路面からの半力、特に路面からの進行方向と逆向きにかかる反力(前後方向)に耐え、タイヤを保持しなければならない。
つまり、自由に動けるような要件と、動きを制限する要件という、相反する要件の両方を解決しなければならない。形状、素材だけでなく製造品質、つまりはコストがかかる。
若しくは狙った性能が出ずにトラブルの元になる可能性があるのだ。
ゴムのしなりに依存するので、メンテナンスの面でも不利だ。この手のフロントサスペンションを持ち、メンテナンスしてないポンコツ欧州車に乗れば痛いほどわかる。

高価なLSならいざ知らず、クラウンで過去に採用しなかったのは、こうした懸念の為だろう。

クラウン、大丈夫だろうか。

そこまで言っておきながら、このサスペンションの是非は、正直新車チョイ乗りではわからない。フロントサスペンションの能力については著名な評論家の方々の評価を参照して頂きたい。

第3章 新型クラウン試乗 実車検分
さて、愚息と2人でクラウンを拝見する。
グレードは2.5LハイブリッドのRS Advance。いわゆる従来のアスリートに安全装備充実のモデルである。

クラウンのグレード展開は大きくスポーティ系のRSとラグジュアリー系のGに分かれ、動力は直4の2Lターボ、2.5Lハイブリッド、V6の3.5Lハイブリッドの3種類がある。
更に廉価なS、Bグレードがあるが、ひとまず省略する。

2.5Lハイブリッドはいわゆるカムリのハイブリッドシステムを縦置きFR用にコンバートしたものだ。
3.5Lハイブリッドは現行レクサスLS/LCと同じ、モーターとエンジン出力側に4段変速機が付いてるマルチステージハイブリッドと呼ばれる高級仕様だ。クラウンの中では700万円の高額モデルだが、LSと同じ動力と考えれば、随分のバーゲンである。
燃費なんてどうでもいい当方は2Lターボが気になるが、残念ながら試乗車は無し。価格が絶妙で、2Lターボに対して2.5Lハイブリッドは約20万円高。しかし、2.5Lハイブリッドはエコカー減税制度により、20万円近く優遇される。なので2Lターボと2.5Lハイブリッドは事実上同一価格となり、そのお得感からみんな2.5Lハイブリッドを選択する、という流れだ。プライシングについて隙がない。さすがトヨタだ。

とは言え、コミコミ600万円のクルマである。決して安価なクルマではない。

クラウンは国際的にはEセグメントに位置すると考える。ベンツのEやBMW5、アウディA6だ。それらとサイズを比較してみる。
クラウン2.5RS メルセデスベンツE BMW5 アウディA6
全長mm 4910 4930 4945 4945
全幅mm 1800 1850 1870 1875
全高mm 1455 1455 1480 1465
ホイールベースmm 2920 2940 2975 2910

クラウンは日本専売という事もあり、幅を気にするユーザーの為に全幅を1800mmに留めている。コレはベンツCやBMW3シリーズと同じ。
それ以外のサイズは他ライバル車に近い。端的に言えば細長い形である。

この細長さを嫌ったのか、クラウンはセダンと言うより、トランクを短くし、ルーフからなだらかにリアエンドまで下がるファストバック形状にして、長さ感を消そうとしている。また、6ライトとして窓を増やしてCピラーを細くしている。
結果どうなったかと言うと、奇形ハッチバックのBMWのGT系のような形となった。

このデザインは賛否両論だろう。
少なくとも歴代クラウンの品行方正な日本のセダンではなく、良くも悪くも軽い印象になっている。
意図的にそこを狙ってると理解しているので、文句は言わない。
イヤなのは、RS系はウインドウモールが全て黒になる所だ。これにより、モールが視覚的に太く見え、低品質に見えてしまう。
更にはリアドアは窓を二分割してるので、6ライトと言いながら8枚の窓が目立ち、窓分割線が煩雑な印象になっている。特にボディカラーがホワイトやシルバーの場合はエグい顔のデザイン含め、端的にカッコ悪い。
G系やS系はウインドウモールがシルバーメッキとなる為、ウインドウの分割線はさほど目立たない。特に黒や紺のような濃色であれば悪くない感じだ。

歴代クラウンでホワイトが1番カッコ悪くなるデザインは初だろう。少し心配になる。

運転席に座ってみる。
シートおよびステアリングチルト、テレスコはメモリー機能付き電動だ。
いつもの様にシート高さを探る。メーターの角度から、結構高い位置が設計イニシャルの様だ。リクライニング、シート角度もセダンらしく立てた所がしっくりくる。意外にキチンとしてる。
シートそのものは従来のクラウンらしくなく、サイド部の横方向サポートがかなり強め。スポーツカー的なシートだ。車格から言えば、背中は肩甲骨辺りを軽くサポートするようなシートがいいような気がするが。
チョイ乗りの為疲労感については未チェック。

さて、恒例の右ハンドルの仕立てについて。
ステアリングホイールはシートのほぼ中央に位置している。ブレーキペダルは明確にステアリングホイールの右に位置し、アクセルペダルも少し間隔を開けてその右に位置する。
右脚を伸ばした先はアクセルとブレーキの間。

つまり、右ハンドルのオフセットは無い。
素晴らしい。

FR車の場合、FF車に比べてタイヤは前方に位置する為、運転席足元への干渉は少ない。
更にGA-Lプラットフォームは運転席をやや後退させて前輪との干渉を避けている。つまり、右ハンドルの仕立てを万全にする構成だ。
もちろん弊害はある。
運転席を後退させた為、これほど全長が長いクルマにも関わらず、後席は広大とは言えない。つまりはクラウンはボディの長さを右ハンドルの適正化に使用しているわけだ。

後席に座ってみる。
座面は想像してたより低い。背面角度(トルソ角)座面角は適切だし、横方向も肩甲骨をサポートして万全、スペースも狭くはない。しかし開放感は薄い。せっかくの6ライトなのだが。
この辺り、先日乗ったカローラスポーツと同じ印象だ。

トランクはこのクラス必須のゴルフバッグ4個載ります的な広さで、そこには不満は無い。ただ、ファストバックなボディ形状から、トランクリッド(蓋)は小さくならざるを得ず、開口部は小さい。
トランクリッドは荷室に張り出さないダブルヒンジ方式の高級タイプで、ソコはいいが、奥の方は取り出しにくい感じだ。まぁ、BMWのGTやVWアルテオンのように開口部を広げる為に安易にハッチバックにする、なんて事をしなかっただけ良しとすべきか。

第4章 クラウン試乗 運転検分
さて、走り出す。
ステアリングホイールに触れると、カローラと同じ材質の革巻きだ。直径も同じ。感触は同じだ。
ステアリングを回してみる。あれ?カローラスポーツと同じようだ。
操舵力そのものはクラウンの方が軽いが、感触は非常に似ている。

当方昔の記憶で申し訳ないが、昔のクラウンやセドリックのステアリングは怖い位に超軽く、慣れないと乗れない感じだった。逆にソコに慣れると、欧州車は重過ぎて乗れない。

今回はそんな事無く、クラウンもカローラも特性のベクトルは同じ感じで、少し味付けが違う、その程度の違いでしかない。
コレは半値以下、ナビ付きでも250万円のカローラスポーツを褒めるべきか。

それにしても、ボディサイズも駆動方式もタイヤサイズも、更に使われ方も違う欧州向けカローラと同じ感触とは、恐れ入った。

後席に座った時にも思ったが、もしかしてトヨタはTNGAでこの辺りの評価軸や要件も統一し、かつ実現してるのだろうか。
だとするとそれ自体は設計効率化としては素晴らしく、恐るべしトヨタなのだが、その評価軸が外れてると影響範囲は広がる。評価軸を作る方の責任は重大だ。

ステアリングに関しては電動パワステの評価軸が統一されてるのだろう。高負荷時の感触は未チェック。

ステアリングインフォメーションという意味ではどうだろうか。せっかく清水の舞台から飛び降りるレベルで大改変した、高性能なフロントサスペンションが持つ、本来秀逸なステアリングフィールを電動パワステが塗りつぶしていないか。
いや、実はフロントサスはコストケチってそこまで能力がないから敢えて塗りつぶしてるのか。
そこが少し気になる所ではある。

相変わらずその辺を転がしただけだが、トヨタのハイブリッドは基本的にエンジンがかかってる事が多い割に、エンジン音は静かである。むしろ人工的に出しているモーター音がの方が気になった。(歩行者にクルマの存在を知らせる為、トヨタはモーターのみの時ワザと音を作って出している)

少し速度を上げる。
パワーそのものに不満は無い。ただ、面白い類ではない。淡々とトルクを出してる感じだ。アクセルに対するレスポンスは決して良くはない。もう少し反応を返して欲しい。

ここで気が付いたが、ある周波数の音だけ室内にこもる感じがした。
決してうるさいわけではないが、そこだけ音の抜けが良くなく、澱んでる感じだ。
防音材で制止してるものの、少し残ってる感じ。コレはボディ共振か。

また、意外にタイヤが路面のザラつきを拾っている。タイヤ銘柄は高級車御用達のブリジストンレグノだ。サイズは225/45R18。チンケなエコタイヤではない。

この後3.5Lハイブリッドの最上級G Executiveにも乗った。こちらは音抜けが良く気にならない。路面のザラつきも感じない。
そりゃ100万円以上違う最上級グレードだから、と言われそうだが、実はこちらはオプションのTRD19インチホイールにハイグリップなミシュランパイロットスポーツ4S装着車だった。サイズは235/40R19。
グレード差があるにしても、レグノがスポーツタイヤに静粛性で負けちゃダメだろう。

カタログを見るとG Executiveはガラス厚を増やし遮音性能を高めてるらしい。
果たしてそれだけか?

実はステアリングフィールも3.5Lの方がスムーズに感じた。2.5Lよりエンジンが重いはずなのに鼻先の動きも良い。

ここでトランクルームを思い出した。
G Executiveの方がトランク奥行きが短い。てっきりリアシートの電動リクライニングのせいかと思っていたが、実は両車でハイブリッド用電池の搭載位置が違う。
2.5L系はトランク床下にニッケル水素電池が搭載される。対して3.5L系はリアシート背面にリチウムイオン電池が搭載されている。
危険なリチウムイオン電池を追突事故時のトランク変形から守る為の位置変更だろう。トヨタらしく慎重かつ万全だ。

リチウムイオン電池ケースの変形は命取りなので、周辺も念入りに補強する。従って格納されるリアバルクヘッド(トランクと後席間の壁)の剛性が高いのだろう。なるほど、ココがボディの補強になってるのか。

コレを知ってしまうと、俄然3.5Lの方が良く見えてしまう。2.5Lはそこから引き算してる感じだ。

ステアリングは可変ギヤ比のようだ。チョイ乗りでは穏やかでスムーズなフィールだが、車線変更で少しステアリングを切ると、予想以上に鼻先が反応する。なるほど、ココがスポーティなのか。確かにクルマが小さく感じる。タイトな室内の収まり含めて、F30型BMW3シリーズっぽい雰囲気か。個人的にはもう少し穏やかなフィールがいいが。

確かに従来のクラウンとはずいぶん異なる。クラウンと言えばロイヤル系はフワフワ、アスリート系はカタイ足、そこにゴム板でもひいて乗っかってるようなフィールであった。
それに比べたら足はスムーズに動き、スッキリしてるのは間違いない。

ちなみに新型クラウンは全車金属バネ仕様で、エアサス仕様は無い。
ショックアブソーバーの減衰力はスポーツモードとやらにするとカタクなるらしいが、興味無いのでノーマルで乗った。そんなのが欲しけりゃオーリンズのショックでも入れた方が幸せだ。

試乗車はカラーヘッドアップディスプレイ付きで、速度やエコメーター、ナビの交差点表示およびカメラ認識の速度や一時停止標識が映し出される。コレが思いの外良い。
齢40を超え、とうとう老眼が始まってる当方は近くの平板な液晶メーターなんぞを見るより圧倒的にヘッドアップディスプレイの方が楽だ。
焦点調節なく見る事ができる。
しかも、メーター角度に合わせてシート高さ調整したら、ヘッドアップディスプレイ位置はドンピシャだ。視界の妨げにもならない。この造り込みは脱帽である。
逆に言えば、メーターパネルは下方で見にくい。ヘッドアップディスプレイは必須かも知れない。

第5章 総括
さて、総括する。
クラウンは以下の点で秀逸なクルマであった。
・右ハンドルのポジション
・クラウンらしくないちょっとスポーティな乗り味

右ハンドルの仕立ては非常に良い。
そのせいでこんなに大きいのにリアシートの広さはソコソコだが、不満と言うほどではない。運転手付きショーファーならレクサスLSを買えと言う事だ。自分で運転するオーナーカーならコレでいいだろう。

気になる点はロードノイズと乗り味だ。ここは3.5L G Executiveが良い。
今回は売れ筋であろう2.5Lの評価だが、3.5Lは加速レスポンスは良く、パワー感もある。コレは排気量と言うより、4段変速付きのハイブリッドユニットのおかげだろう。レクサスLSと同じパワーユニットはダテじゃない。

正直に申し上げれば、2.5Lを買おうと思う方は3.5Lに乗らない方がいい。そのくらいの差を感じた。
自分で運転するなら、超高額なLSなんぞ買わずにクラウン3.5Lで良いのではないか。

もちろんLSは切子風硝子をはじめ豪華な内装(ハッキリ言えば趣味は決して良くない)や、フル二重ガラスかつ超フラットサーフェスなサイドウインドウにより、間抜けな8窓もさほどおかしく見えないという良さもある。
しかしあちらは1120万円からのクルマだ。(切子風硝子は1640万円の最上級モデルに160万円の追加オプションだった。カタログ見て魂消た。)

スタイルは好みであれば良いが、必ず欲しいボディカラーのモデルを実車確認してからが良いと思う。
危うく「RSにG Executiveと同じメッキのウインドウモール付けられない?」って聞くところだった。聞いたら購入意思と見なされそうで思いとどまったが。

クラウン

いつかはクラウン時代の純日本の高級車と言う頃とは随分変わった。
もちろん走りに関してはいい意味で、だ。

ただ、2.5Lと3.5Lの格差は大きい。
エンジンのレスポンスで言えば、2.5Lハイブリッドより2Lターボの方がいいかもしれないし、クルマ全体では間違いなく3.5Lだ。

2.5LハイブリッドのRSは500万円台半ばのクルマだ。安くはない。とても妥協で買える金額ではない。かと言って3.5LハイブリッドのRSは600万円台後半。150万円もの差がある。しかも燃費が少し悪化するためエコカー減税はフルに享受できない。
2Lターボは下取りで不利になるかもしれない。エコカー減税は適用不可だ。

私の印象で言えば、3.5Lハイブリッドはいいクルマだと思う。
でも、この価格相関なら皆さん2.5Lハイブリッドを買うのだろう。

寿司の松竹梅は一般に竹が1番売れる。
なので竹が1番利益率を高くするらしい。
今回クラウンに乗って、そんな事を思い出した。

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