セレナ試乗記その2

家族総出の旅行という事で、レンタカーでセレナを借りた。
以前e-POWERをチョイ乗り試乗したが、今回は5人乗車かつ3泊4日の行程である。

グレードはCVT付きで最廉価なX。
S-HYBRIDという超マイルドハイブリッド搭載車。
雪国で借りた事もあり、4WD仕様だ。
平成29年式で63,000キロ。中古車なら相当安いだろう。もちろんかなり安い費用で借りたので文句は無い。

早速乗ってみる。
ステアリングホイールはウレタン。ノートとおんなじ無意味なDシェイプの安いやつ。
ただ、シートはなかなかいい。面圧が均一でサポートも宜しい。

セレナはシートのロングスライドがウリだが、その割に支持剛性は決して低くなく、スライドもスムーズ。ベアリングが入ってるのか。
配下にRECAROを持つアディエント製シートは結構奢ってるように感じる。

以前e-POWERの時に確認したように、右ハンドルのペダルレイアウトも正常。

とりあえず6人乗車なら心地よく移動できる構成になっている。

走り出して、エンジン音の煩さに驚いた。
アイドリングストップのせいもあるが、エンジン音が車体で増幅されてる感じだ。
ミニバンで多い、所謂箱鳴りだ。ハイエースよりは遥かにマシだが、過去に乗ったe-POWERが静かだった事もあり、当初気になった。

パワートレインは2L直噴ガソリンのMR20DDに、ベルト駆動のモーターによるスーパーマイルドハイブリッド。トランスミッションはCVTだ。
コレが予想外によく走る。
CVTは加速中ギヤ比を保持する設定で、違和感は無い。モーターがどの程度アシストしてるのか不明だが、とりあえず五人乗車プラス荷物積載で加速に不満は無い。
加速中は3000回転超位まで引っ張るが、その後1200回転程度でスルスル巡航する。高速での巡航中はエンジン音も気にならない。

意外だったのは、車体剛性と脚だ。
e-POWER試乗時には車体剛性が高いイメージはなかったのだが、今回のレンタカーは結構しっかりしている印象だ。

相変わらず操舵力が軽過ぎてインフォメーションがほとんどない電動パワステには辟易するが、高速でのコーナリングでは安心感さえ感じるほどに後ろの脚がしっかりしている。
スタビリティは結構高い。

そういえば、コイツは4WDだ。FFと比べて車体センターにドライブシャフトが入ったおかげで剛性が上がってるのだろうか。

セレナの4WDシステムはオンデマンド方式の為、通常は後輪に駆動力はかからない。
運転しても後ろから押される感じは皆無で全くFFの動きしかしてくれない。それでも乗り味に影響するのだろうか。

タイヤも違う。
今回銘柄はダンロップのエナセーブだ。
e-POWERは省燃費タイヤで有名なエコピアだった。
昨年から何台か試乗したが、エナセーブに悪い印象は無い。その辺りも効いているか。

路面の状態が悪い所でもダンピングは効いており、乗り心地も悪くない。
ダンパーの性能も良く、荒れた路面でもドンの1発で収まり、進路がフラつく事もない。

あれ?セレナいいじゃないか。

細かい事を言えば、リアのハッチが二分割のせいか、時々バタバタ言う。しかし、不満はその程度しかない。

挙動はハイエースのような商用車のそれに近く、変な感じがない。ワークホースといった風情で素直だ。

長距離を乗ってみて、特に素晴らしいと感じたのはシートだ。しっかり身体を預けられ、疲労がほとんどない。少なくとも二列目までは取付剛性もしっかりしており、ヨレたり振動したりなんてのは無い。欧州ミニバン風だ。
コレは国産車ナンバーワンではないだろうか。

セレナのXグレードは250万円。
この価格ならバーゲンと言わざるを得ない。
今回600キロほど運転したが、ソコで致命的な欠点は見当たらなかった。疲労も少ない。
新車が250万円で買えるクルマでそんなのはそうそうない。

このグレードでも前後席オートエアコンにクルーズコントロールも付く。コレでいい。

ホイールキャップが気になるなら好きなアルミホイールに変えたらいい。
オーディオのスピーカーはショボく、外板パネルも音圧で振動しているのでソコは手を入れたい。
とは言え、そんなのは上級グレードも同じ。

e-POWERのEV的な走りも捨てがたいが、
普通のモデルの完成度は相当高い。
多人数車として、佳作だと思う。

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