スクー 「キムゼミ 第四回 - 言葉の感度 -」

https://schoo.jp/class/5092

<キムゼミの目的>
 『人生を変える、作る』
 人は自分の人生を作っていると感じている時に幸せと感じる。
 自分の人生を作る力は自分の中に内在している、と信じることが大切。
 自分の意思と自分の決断と自分の行動で自分の人生を変えることができる。

<Schoo受講生の「感情と思考のマニフェスト」ベスト3>
No.3 「大局を見る視点、感受性豊かに細微を見る視点、どんなものからも美しさを見出す視点、物事を多面的に見る視点、物事を長期的に見る視点、時代の流れを見極める視点、高次元から類似性を見出す視点、の7つを常に意識し、様々な立場、様々な観点から目の前の物事や社会、人生を捉え思考する。」

No.2 「夫婦関係、日常は万華鏡で、誕生日は顕微鏡で、結婚記念日は良き日も辛き日も「共に過ごした歴史」の長期的視点で見る」
日常はポジティブな視点で、誕生日は相手の機微まで感受性を持って繊細に見る。結婚生活は長い目で見ると全てが良い思い出になる。幸せなパートナーシップの築き方が綺麗にまとまっている。

No.1 「私はどう感じる? どうしたい? どう考える? 心にいつもお問い合わせして、私の気持ちに気づいてあげる」
とてもシンプルだが実践するのは難しい。しかしこれさえ実践できれば自分の人生は自分の意思で作っていくことができる。反省することはあっても、最後に悔いのある人生を生きることはないだろう。自分の思考や感情、本当はどうしたいのかと心に問い合わせて、心の声を反映した形で日常の意思決定をしたり言葉を発したり行動したりする人生を作るためにっても大事なこと。大切なことは、自分の気持ちをないがしろにせずに気づいてあげること。

(徳田さん)この一週間、どっちかと迷う時でも心の中で自分の意思を持つことを意識していた。
(キム先生)自分の意思を持つことは人生を生きる上での必要条件。必ずしもそれを言う必要はないが、常に心の中に持っていることが大切。そういう人こそ相手の思考や感情も大事にすることができるので、常に自分の意思を持ちつつも、それを出す場面を見極め、時には相手に花を持たせるくらいの心の余裕と配慮を持てば、その人の周りには優しい人たちが集まる。自分の強い意思を持つと同時に、優しい心も持っていたいもの。余裕を作り出すのは、外部環境ではなく自分の意識。

全ての物事に対して自分の思考のエネルギーを使うとパンクしてしまうので、思考するに値するものかどうかを判断するところから始める。思考のエネルギーを配分するに値する大切なものと判断した時は、思考停止せずに最後まで考え抜く癖をつけると良い。

心の余裕がないと感じた時には、誰かに感謝すると良い。両親でも友人でも誰かに感謝の気持ちを抱いた瞬間に心の余裕が生まれる。

Q.つい自分に嘘をついて怖くないであろう方を選んでしまい、それが返って悪い方向に行く。こうした負のスパイラルはどう断てば?
A.ノートに書くと良い。ワクワクする怖い道を選んだと。ワクワクと怖さは共存する。今直面している課題を書き出し、ワクワクする道を意図的に選ぶと決断をすると、徐々に治っていく。実際に行動してみることが大事。

Q.最後まで悩み抜く、とは、もやもやが消えるまで、スッキリするまでということ?
A.自分の中で悔いが残らないことが一つの基準。不可抗力についてくよくよ悩まず、自分ができる範囲を明確に認識した上でそれについて悩み抜いた実感があるかどうか。モヤモヤは残るかもしれないが、自分はやれることをやったと実感できる。
不可抗力を変えようと思わないことと、抗力を変えられないと思わないこと。自分が時間をかけて力をつけていけば、やがて不可抗力の範囲は小さくなり、自分ができることは世の中にたくさんある、ということに気づく。

<前回授業の質問>
Q.最悪を想定することで、自分で無意識にブレーキをかけてしまうことにならないか? 少しそこが怖い。思い切りガムシャラに進みたいこともある。
A.本当に自分が強くなりたいと思えば、最悪な状況を想定した上で挑戦をする。最悪な状態にならないようにあらゆる手をうち尽くす感覚を持った時に本当の強さを手に入れる。見て見ぬ振りをすることもできるが、最悪の状態を認識すると、それが生まれないように自分が打つ手もある。初志貫徹、誠心誠意とともに「正面突破」というのを大切にしている。起きうるトラブルに対して逃げ道を考えていくとかえって状況が悪化したりする。そういう時はできるだけ早く素直な言葉で言い訳をせずに言って恥をかいた方が良い。

Q.表現に関して、言語化して伝えることもあれば、「間を置く」ということもある。日本社会で「間を置く」ということは、日本人の心の中では、どのような事柄が表現されていると思われますか?
A.茶道に通じるところがある。岡倉天心が西洋に日本の文化を伝える「茶の本」という本に、「間を置く」「空白・余白・余韻を残す」とある。それは「配慮」「余裕」でもある。対話において「間を置く」ということは、話し手が間を置く時、一つは間を置く前に話したことを聞き手がより深く理解するための時間的余裕を与えることになり、また、聞き手が反応する時間を与えることにもなる。また、話し手が次に語る言葉を選ぶこともある。英語は結論を最初に言ってその後に理由を語るが、日本語は終わり方によって結論が変わる。相手との語り合いの中で落とし所を見つけていくための「間」でもある。日本は「以心伝心」の文化もある。西洋では明示的に言語化しないと相手に伝わらないことがあるが、日本人は、言葉だけが相手に自分の思いを伝える手段ではないことがわかっている(暗黙知)。時には沈黙の方が相手に伝わることもある。心を大切にする日本人ならではの流儀。

「茶の本 The Book of Tea」岡倉天心著 日英訳版 http://amzn.asia/4TL3pLw

西洋はキリスト教もイスラム教も一神教なので、対話が成り立たず原理主義者同士で戦争になる。「茶の本」には「全ての差異を乗り越える」というのがある。全てのものに対して存在意義を認める。「八百万の神」の精神。日常の人間関係や国際情勢を眺められる視点を手に入れられる本。

Q.「自分の意見を持つ」と「自分を大事にする」の違いは? 「自分を大事にしていない」と評されることが多い。
A.「自分の意見を持つ」ことは、「自分を大事にする」ことの一つ。他に「自分の頭で考える」「自分がどう感じているかを理解する」「自分の言葉で語る」「自分で悩み抜いて決断し行動する」「自分の行動に対して責任を持つ」ということが「自分を大事にする」こと。
「自分を大事にしていない」と人に評されるということはあまり気にする必要はないと思う。自分自身にその自覚があるとしたら直す必要がある。その時には「自分の意見を持つ」「自分の意見を話す」「自分の時間を持つ」など「媚びない自分を作る」ことで直していくことが大切。もし「自分を大事にしていない」と感じているのであれば、何よりも優先してちゃんと向き合い、今この瞬間から何ができるかを考え、次の瞬間からそれを実行していくことがとても重要。他人に評されることは気にせず、自分の中の自覚により感受性を持って
敏感になった方が良い。
Q.感受性が強すぎて潰れてる? 感謝を伝えようとしているつもりで嫌われることも多くて...
A.感謝を伝えようとする時は相手からの見返りを求めてはいけない。その時に反応が嫌われたとしても、100%純粋な感謝の気持ちで伝えていけば、最終的には誤解は解ける。

<言葉の感度の5ヶ条 その1>
言葉が人生を創る 思考の表現手段ではなく思考の創造手段である
・言葉によって自分の人生が創られていく。思考が人生を創るということがあるが、思考の表現手段が言葉ではなく、例えば誰かからかけられた言葉や、本で読んだ偉人の言葉が自分の思考を形作り、その思考に基づいて日常の意思判断をし行動して、自分の人生が作られていく。だからこそ作家として自分の読者が良い方向に、自由な、豊かな、幸せな方向にその人の人生を創るための糧となる言葉だけを発しようと決意した。
(徳田さん)「言葉を大事にする」というのは、「言葉を丁寧に発する」「純度の高い言葉を選ぶ」「その場にふさわしい言葉は何か考える」ということ?
(キム先生)そう。言葉に接するということは、「言葉を交わし合う」というのもあれば、「語る時に言葉を気をつける」ということもあるし、相手が発した言葉に込められた思いは何かを考えるということもある。場合によっては、相手が言葉で思いを表し切れていなくても、抜け落ちた部分も補って傾聴するという姿勢も言葉との向き合い方の一つ。言葉というものは、語る人の能力のみならず、聞く人の心がけや傾聴の能力によってもコミュニケーションがうまくいくいかないが決まる。語ることだけを大事にしすぎることがあり、傾聴したり質問したり相手の話をどうやって聞くかということにはエネルギーをあまり使わないことがあるが、それを逆転させると人間関係におけるコミュニケーションはとてもうまくいく。8割を傾聴に、2割はできるだけ相手にスポットライトが当たるように話す。

<言葉の感度の5ヶ条 その2>
話す言葉:対話
聞く言葉:傾聴
訊く言葉:質問
書く言葉:文章
読む言葉:読書
・この5つが我々の言葉の世界を構成している。
Q.先生が自分の言いたいこと、好きなことをたくさん話したいときは?
A.その時は話します。自分がたくさん話す時の判断基準は、相手が自分の話を聞いてくれそうかどうか。人の話を聞く耳を持たない人だとその人との関係性はそこで終わる。人間としての最低限の礼儀だと思っている。

<言葉の感度の5ヶ条 その3>
対話力の決め手は
1.観察力
2.傾聴力
3.質問力
→徹底的に相手のスポットライトになること
・雄弁に話す能力がないとしても、この3つの力があれば、その人は対話力に優れた人だと思う。相手を観察する心がけができているか。相手に注意を向けて傾聴できるか。できるだけ相手に質問を投げてあげる。相手が話しやすいようにとか、相手の可能性を引き出すための質問、自分自身について気づかせてくれる質問というものがある。質問にはパワーがある。質問力が一番難しい。「この人の可能性を引き出すために私は質問をする」という意識を持つ。それを繰り返していけば質問力は高まっていく。

<言葉の感度の5ヶ条 その4>
言葉は、簡潔に、わかりやすく、深く本質的に、美しく、語る
・「簡潔さ」「わかりやすさ」「本質的」「美しさ」の4つの基準で、自分の言葉力はどこが欠けているかがわかる。人が語れることは自分は語らない、というのが理想だと思っている。誰かが語れることではなく、自分が本当に伝えたいことを素直に伝えていくことを心がけたい。

<言葉の感度の5ヶ条 その5>
鞄の中に詩集を!
言葉ノートを作ろう
言葉磨きは写経が一番
・詩集は美しい言葉が一番込められている本。それに日常で接することを心がけるだけで、言葉に対する感度が高まる。言葉のノートは、日常の会話や本を読んでいる中で「この言葉素敵だな」と思ったら、言葉磨きは写経が一番なので、言葉ノートに書き写して言葉集を作っていく。言葉は最初は真似。言葉自体は発明できないので、古い言葉を使って新しい羅列をすることによって、説得力があったり感動させる文章を書くことができるようになる。自分を取り巻く言葉の環境を精査する。手で書くこと。おすすめはリルケとゲーテ。

<推薦図書>
「葉隠入門」三島由紀夫著 http://amzn.asia/fpKt2St
「葉隠」は日本の武士道を語っている本で、三島由紀夫がそれについて解説している。内容も使っている言葉もほぼ完璧。次回の「決断の流儀」とも相通じるところがある。

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