トムジィ

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最近の記事

崔如琢美術館

 伊東から伊豆高原のあたりを国道135号で走っていると、左手にけっこう壮大な建物が見える。崔如琢美術館という大きな看板もあり、以前から気になっていた。しかし崔如琢ってなんだ。 美術館のホームページにはこうある。 その他のサイトをいくつか見てみると。  ようは現代中国を代表する山水画家ということらしい。もっとも80年代にアメリカに移住してアメリカ国籍を得ている中国系アメリカ人画家ということになる。といっても彼のマーケットは間違いなく東アジア中心のようだ。  なぜ現代中国の作

    • 府中市美術館「ほとけの国の美術」展

       恒例の「春の江戸絵画まつり」企画展「ほとけの国の美術」に行ってきた。この春の企画展に行くのは4年目になる。 2021年 「動物の絵 日本とヨーロッパ」展 2022年 「ふつうの系譜 『奇想』があるなら『ふつう』もあります-京の       絵画と敦賀コレクション」展 2023年 「江戸絵画お絵かき教室」展  そして今回はどんな切り口から江戸絵画をみせてくれるか。  仏教画中心にということである。「菩薩来迎図」、「曼荼羅」、「地獄極楽図」、「禅画」、そして「仏陀涅槃図」とそ

      • 『エリック・クラプトン : ライヴ・イン・サンディエゴ〜伝説の一夜』

         友人と立川で昼のみをすることにしていたのだが、急遽友人がクラプトンのライブ映画をやっているので観ようという。まあクラプトンは嫌いじゃないし、この友人とは以前クラプトンとスティーブ・ウィンウッドのライブを武道館で観ているくらいだしということで、昼12時15分からの回を観ることにした。  しかしこんなに早い時間帯の回の映画を観るのは何年ぶり、いや何十年ぶりだろうか。映画館に入るとちょうど午前の回が終わったところで、人が出てくる。全部で10人くらいか。まあウィークデイだしね。クラ

        • 都内周遊~お墓巡り(谷中霊園篇)

           三ヶ月ぶりの定期通院。数値はさほど悪くないが、血糖値が少しずつ上昇気味。脂っこいものを少し控えてとは主治医の先生のお言葉。  健保のビルを出てからいつものごとくお茶の水の丸善による。最近は本屋に入っても一冊も本を買わないで出てくることが多い。今回もそうだった。先日、友人たちと話をしていて太田愛が面白いという話が出ていてちょっと興味を覚えたのだが結局買わずじまい。本をぜんぜん買わない、読まないのかというと、そうでもない。テキスト類は2~3冊併読しているし、レポートとなると関連

        崔如琢美術館

          東京国立近代美術館へ行ってきた

           2月29日、そうか今年は閏年か。4年後、自分はこの世にいるんだろうか。   そんなちょっとした感慨を覚えつつ、今年最初の東京国立近代美術館(東近美)に行ってきた。企画展は写真家中平卓馬の回顧展。MOMATコレクション展「美術館の春まつり」は3月15日からの予定なのだが、先行して「桜」や「花」をモチーフにした作品がすでに展示されていた。 中平卓馬 火―氾濫 この名前には聞き覚えがある。と、写真を見て思い出した。去年の夏に神奈川県立近代美術館で、森山大道と中平卓馬の二人展を観

          東京国立近代美術館へ行ってきた

          「ベイビーわるきゅーれ」は面白かった

           なんの予備知識もなくAmazonプライムで観た。低予算のB級アクション映画だが思いのほか面白かった。女子高校生二人組の殺し屋が高校卒業後、組織から表向きは社会人として生活することを要請される。殺しについてはプロだが、生活力ゼロに等しい二人は、バイトは首になる、そもそも面接で落ちるを繰り返す。  キレの良いアクションシーンやハイテンポな展開と、二人のグダグダな日常生活、そういう緩急がうまく処理されていて一気に観ることができる。設定の面白さ、不自然さをアクションと俳優の演技でう

          「ベイビーわるきゅーれ」は面白かった

          マリー・ローランサンと堀口大学

          アーティゾン美術館の「マリー・ローランサン」の回顧展の解説キャプションに興味深い記述があった。メモをとっていたのでそのまま引用する。今は、iPhoneのカメラからテキスト生成できたりする。とても便利な世の中。  さらにこれに黄色がまざるという。マリー・ローランサンのパレットがこの7色プラス黄色の彩られているのを想像しながら実際の絵を観てみると、妙に納得感があったりもする。  堀口大学は仏文学者として有名なあの堀口大学である。我々の世代にはお馴染みで、自分などもヴェルレーヌ

          マリー・ローランサンと堀口大学

          アーティゾン美術館「マリー・ローランサン—時代をうつす眼」

          アーティゾン美術館「マリー・ローランサン—時代をうつす眼」を観てきた。  個人的にはマリー・ローランサンはあまり興味がなかった。パステルカラー使いのいかにも乙女チックな雰囲気とかがなんとなくしっくりこない。さらにいえば、この人とココ・シャネルはパリがドイツ占領下にあった時に対独協力者だったとか、そういう話を聞いたことなどから。  今回はというと、友人がアーティゾン美術館に行ったことがないこと、マリー・ローランサンが見たいとそういうことだったので、チケットを取ってやったりとか諸

          アーティゾン美術館「マリー・ローランサン—時代をうつす眼」

          ポップスが最高に輝いた日

            懐かしい。そして流行ったなという記憶。   1985年、当時のスーパースターたちが集まって録音された、アフリカの飢餓、貧困救済のためのキャンペーン・ソング「We are the World USA for AFRICA」の録音シーンを撮ったドキュメンタリーだ。  ミュージックビデオを撮影するために、様々が撮影が行われていた。それに現在の関係者のインタビューを合わせて再編集されたものだ。  もともとは同じ企画でイギリスのミュージシャンによって行われた「バンドエイド」に触発

          ポップスが最高に輝いた日

          映画『薔薇の名前』を観た

           映画『薔薇の名前』を久々に観た。  もちろん公開当初に劇場で観ている。その後、一度くらいはレンタルDVDで観ていたかもしれないが、それからでもだいぶ経つ。たぶん20年以上かそこらか。哲学者、記号論者ウンベルト・エーコによる哲学・歴史小説の映画化である。  中世末期の14世紀、北イタリアの修道院を訪れたフランシスコ会の修道士パスカヴィルのウィリアムとその弟子アドソが、修道院内で起きる奇妙な殺人事件に遭遇しその謎を解く。中世末期の修道院を舞台にしたミステリーであり、そこにフラン

          映画『薔薇の名前』を観た

          「印象派 モネからアメリカへ」     東京都美術館

          企画展概要とウスター美術館のもろもろ【公式】印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵 (閲覧:2024年2月4日)  2024年は第一回印象派展(1874年)が開かれてから150周年になるのだという。それに当てつけて—もとい—因んで印象派展がいくつかあるようだ。先だって大盛況だった上野の森美術館の「モネ 連作の情景」展もそんな触れ込むだったか。   今回の企画展が新しい切り口は、印象派のアメリカでの受容ー「アメリカ各地で展開された印象派の諸相」にスポットライトをあて

          「印象派 モネからアメリカへ」     東京都美術館

          『TAR/ター』を観て思ったこと

           これは昨年暮れに観た。  ケイト・ブランシェットが女性指揮者の演じ、アカデミー主演女優賞にノミネートされた作品。受賞したのは『エブエブ』のミシェル・ヨー。  映画としての評価は高く、特にケイト・ブランシェットの演技は最高評価といわれている。また様々な伏線あり、オカルトチックな部分あり、などで二度、三度と観ないと判らないという批評もけっこうあったりする。まあ非常に評価が高く、特に映画好きな方にはたまらん的な映画だという。  重厚な演出、ケイト・ブランシェットの演技も素晴ら

          『TAR/ター』を観て思ったこと

          『哀れなるものたち』を観た

          哀れなるものたち | Searchlight Pictures Japan  (閲覧:2024年2月3日) 哀れなるものたち (映画) - Wikipedia  (閲覧:2024年2月3日)  アカデミー賞11部門にノミネートと話題になっている作品ということで観てみた。特に主演女優賞にエマ・ストーンがノミネートされている。今回は贔屓にしているキャリー・マリガンが『マエストロ その音楽と愛』でノミネートされている。個人的には何度も賞を逃しているキャリー・マリガンの受賞をなん

          『哀れなるものたち』を観た

          キュビスム展 美の革命

          昨年10月12日に行った時の感想を再褐。 上野西洋美術館で開催されている「パリ ポンビドゥーセンター キュビスム展美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」を観てきた。 【公式】パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ国立西洋美術館 (閲覧:2023年10月21日)  もっと早くに感想をまとめたいと思っていたのだけど、諸々と重なってもそれどころじゃなかった。そしてこの企画展、内容的にも充実しているし、情

          キュビスム展 美の革命

          ロス・インディオス・タバハラス

           車のiPodからこのアルバムの曲が流れた。ロス・インディオス・タバハラス、懐かしい。このアルバムをポチったのは多分、ザ・ピーナッツの伊藤ゆみさんが亡くなったときのことだった。  YouTubeでザ・ピーナッツの動画を見ていた最後に「シャボン玉ホリデー」のエンディン・テーマに触れた。いつもスタジオの街頭の下でザ・ピーナッツがホーギー・カーマイケルの「スターダスト」を歌う。そこにハナ肇が出てきてMCを務め、下品なジョークを言ってザ・ピーナッツの肘鉄砲を喰らう。画面から三人がはけ

          ロス・インディオス・タバハラス

          『君たちはどう生きるか』を観てきた

           宮崎駿の『君たちはどう生きるか』を観てきた。  近所のシネコンで20時45分の最終回、風呂入って夕食食べてからのんびりと。いつも思うことだけど、地元に映画館があるのはこういうのができるとこ。普段着の映画鑑賞的というか。  宮崎駿のキャリア最後の作品、前宣伝がまったくなくトレイラーもない。情報がまったくない中で出てきたのが一枚のイラスト。  そうしたなかいざ公開されると、「面白い」、「難解」、「意味不明」などなどの感想がネットにとびかっていた。でもやっぱり宮崎駿のネームバリ

          『君たちはどう生きるか』を観てきた