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恋は空中戦 [物語編]

恋愛関係ないし肉体関係にある人々を、上手く描写できる気がしません。二人の間の感情の動きが、私にはどうもよく分からないからです。
学生の頃から、本を読んでいて
「この二人、急に寝たな?」と思うことがあります。
さっと体を交えたな?そういう関係だっけ?

かまととぶっている訳ではなく、もちろん人によって定義は様々なことは理解しています。特に「付き合おう」とも言わずに交際を始める二人もいれば、交際しなくともカジュアルに身体の関係を楽しむ人もいます。虚実入り混じった小説ならなおさらバリエーション豊かでしょう。しかし当時学生だった私は、読みながら静かに動揺していたのです。作中の登場人物たちが自然に振舞えば振舞うほどその動揺は大きくなりました。「頼もう!」「応!(or否)」ぐらいの分かりやすい意思表示が欲しい。

そんな私も大人となり、ある日こんな言葉を目にしました。
「大人の恋は空中戦」。
目から鱗が落ちるようでした。そうか、あの物語の中にも言葉に出さない二人の情緒の応酬があったんだな。その戦いを、私は読み落としているのだな。

(現実では、例え空気を読むのに長けた人だって、事件や事故を防ぐためにも明確な言葉での意思表示があったほうがいいと個人的に思っています。ですが、今回は物語の話ということでご了承ください)

この言葉に出会ってから、唐突に感じられる展開に動揺することはなくなりました。ただ、自分には読み取れなかった空中戦があったのだなと理解してページを遡るだけです。(読み返しても件の描写を見つけられない)

読書を趣味とする者として、さらに今後書くことも趣味にしようとしている者として、この空気の読めなさはいかがなものかと思います。できるものなら恋愛とか書きたい。でも書くとしたら、おそらくそれは駆け引き上手な人々のスマートなやりとりではありません。イケると思ったのにただの勘違いで恥をかく人だったり、性体験があるか否かで虚勢を張り合う少年少女の話です。いびつで無様な自分の延長上にある話です。

万が一 シュッとした恋愛を書くことがあったら、しれっとこの投稿を消して、当然そんな機微は分かっていますという顔をしようと思っています。

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